赤ちゃんの運動発達(生後1ヶ月)

生後1ヶ月

生後1ヶ月の赤ちゃんの姿勢

赤ちゃんの基本姿勢は、両腕を「W字」のように曲げ、両足を「M字」のように曲げた姿勢だと思われがちです。

しかし実は、MWの姿勢は緊張した状態に見せる姿勢です。

本当にリラックスした状態の赤ちゃんは、身体の力が抜けて両腕両足を軽く曲げ、手の平を握りしめた姿勢になります

赤ちゃんの運動発達を確認するための姿勢

赤ちゃんの運動機能の発達は、特定の姿勢をとらせたときに標準的な体勢や動きを見せるかどうかで確認します。

生後1ヶ月の赤ちゃんは、自分の意思で身体を動かすことができないため、姿勢を変えるには、親が抱っこしたり支えたりしなければなりません。

1ヶ月健診では、以下の4つの姿勢を確認します。

  • 背臥位(仰向け)
  • 腹臥位(うつ伏せ)
  • 座位(お座り)
  • 立位(立つ)

以下、生後1ヶ月の赤ちゃんが背臥位、腹臥位、座位、立位それぞれの姿勢で見せる標準的な体勢や動きを解説します。

背臥位(仰向け)

生後1ヶ月の赤ちゃんは、一日のほとんどを布団の上で仰向けに寝て過ごします。

顔は横を向く

生後1ヶ月の赤ちゃんは、仰向けの状態で顔を正面に保つことが難しく、左右いずれかに向けています。

正面を向くように寝かせても、すぐ右または左を向きます。

正面を見た状態を0度とすると、真横(90度)ではなく、斜め右前または斜め左前(45度~60度)を向くのが特徴です。

非対称性緊張性頸反射(原始反射)が起こる

非対称性緊張性頸反射とは、仰向けまたはうつ伏せに寝た赤ちゃんの顔を左右いずれかに向けた場合に、顔を向けた側の手足が伸び、反対側の手足が内側に曲がる原始反射です。

引用:非対称性緊張性頸反射|psycho-lo

非対称性緊張性頸反射による反応が起こると、頭部が左右に動くのに合わせて腕と足を曲げたり伸ばしたりします。

ただし、自分の意思で、顔を向けた側の手を口や頬の近くまで持ってきたり、膝を立てたり、足を持ち上げようとしたりすることもあり、100%反射による反応というわけではありません。

脳性麻痺児・低緊張児(フロッピーインファント)

1ヶ月健診では、脳性麻痺や低緊張の症状の有無や程度を確認します。

脳性麻痺児や低緊張児に見られやすい症状は、以下のとおりです。

脳性麻痺児

  • 顔が横を向く角度が大きい
  • 両肩が背中側に下がっている
  • 両腕を強く曲げ、手を握ったまま手の平を外に向ける
  • 両足を伸ばして内股になる
  • 両腕両足が単調な動きを繰り返す

低緊張児

  • 顔を真横(90度)に向けている
  • 非対称性緊張性頸反射が弱い(両腕両足を外に向け、だらっと伸ばしている)
  • 手の指が開いたまま

腹臥位(うつ伏せ)

1ヶ月健診では、赤ちゃんの運動機能の発達を見るために、うつ伏せに寝た状態の体勢や動きも確認します。

うつ伏せの姿勢は、仰向けよりも窒息のリスクが高いため、家庭で赤ちゃんをうつ伏せにする場合、必ず傍で見守らなければなりません。

なお、赤ちゃんをうつ伏せに寝かせる「うつ伏せ寝」は、乳幼児突然死症候群(SIDS)との関係が指摘されているため、見守りができる状況にないときは控えます。

MEMO
乳幼児突然死症候群:健康状態に問題のなかった乳幼児が突然死に至る疾患(Sudden infant death syndrome、SIDS

胎児期の姿勢をとろうとする

生後1ヶ月の赤ちゃんをうつ伏せに寝かせると、両腕両足を曲げて身体を丸め、胎内にいた頃の姿勢をとろうとします。

しかし、羊水に浮かんでいられた胎内とは異なり、お腹の下には床があって重力の影響も受けるため、完全に丸まることはできません。

両腕両足を曲げる

両腕を曲げ、握りしめた手を口元や鼻付近に持っていきます。

両足を膝がお腹につくくらい曲げ、身体の中心部に近づけます。

足の指は床に着くか、外を向きます。

身体が丸まり、お尻が高い位置に来る

両足を曲げることで身体が丸まります。

骨盤が後ろに下がって腰が丸まり、お尻が持ちあがります。

顔は横を向く

仰向けに寝かせた場合と同じく、顔を左右いずれかに向けます。

うつ伏せの姿勢では、お尻が高い位置にある分だけ頭に体重がかかり、自力で顔の向きを変えにくくなります。

膝で床をこする動き

生後1ヶ月の赤ちゃんは、曲げた両足を動かして膝で床をこする動きを見せることがあります。

脳性麻痺児・低緊張児(フロッピーインファント)

うつ伏せに寝た赤ちゃんに以下の体勢や動きが見られる場合、脳性麻痺や低緊張を疑います。

脳性麻痺児

  • 両肩が背中側に下がる
  • 身体が丸まらずに反り返る
  • 両腕を曲げ、手の平を握って下に向ける
  • 両足を伸ばして内股になる

低緊張児

  • 両腕両足が伸びている
  • お尻が持ち上がらない
  • 顔が真横を向く

座位(お座り)

生後1ヶ月の赤ちゃんは自力でお座りできず、1ヶ月健診では、赤ちゃんの身体を支えてお座りの姿勢にして状態を確認します。

しかし、首すわりが完成しておらず、全身の筋肉もお座りの姿勢を維持できるレベルまで発達していないため、家庭でお座り姿勢をとらせる場合は細心の注意を払わなければなりません。

上半身が前にうなだれる

生後1ヶ月の赤ちゃんは、お座りの姿勢を維持する筋肉がついていません。

そのため、骨盤が後ろに下がって身体が曲がり、頭部が前に垂れ、うなだれた姿勢になります。

両足が曲がる

両足は筋緊張によって曲がり、身体の中心に近づきます。

その結果、身体が不安定になり、お座りの姿勢を維持しているのが困難になります。

両肩を支えると頭を起こす

頭が前に垂れた状態の赤ちゃんの両肩を支えると、30秒以内にふらつきながら頭を持ち上げようとします。

しかし、頭を持ち上げた状態は数秒程度しか維持できず、再び頭が前もしくは後ろに垂れます。

なお、発達がゆっくりな場合は、頭を持ち上げようとするだけのこともあります。

脳性麻痺児・低緊張児(フロッピーインファント)

お座り姿勢では、以下の態勢や動きを確認します。

脳性麻痺児

  • 骨盤が大きく後ろに下がり、身体が大きく曲がる
  • 両足を伸ばして内股になる
  • 両肩を支えても頭を起こすことができず、後ろに垂れたままになる

低緊張児

  • 健常な赤ちゃんより骨盤の位置が後ろになる
  • 上半身が前に大きくうなだれている
  • 両足は、膝が床につくくらい開いて曲がっている
  • 顔は横向きのまま、頭を垂れている

立位(立つ)

1ヶ月健診では、赤ちゃんの両脇を支えて立たせ、運動機能の発達を確認します。

陽性支持反射が起こる

生後1ヶ月の赤ちゃんは、両脇を支えて立たせると、陽性支持反射による反応で両足を伸ばして身体を支えようとします。

陽性支持反射とは、両わきを支えて立たせた赤ちゃんの足の裏を床につけると、つま先を突っ張るようにして身体を支える原始反射です。

引用:歩行反射(自動歩行)|psycho-lo

ただし、筋肉が未熟なため、両足を伸ばして身体を支えていられるのは数秒から数十秒程度です。

歩行反射が起こる

歩行反射とは、両脇を支えて立たせた赤ちゃんの足の裏を床につけさせ、陽性支持反射を起こした状態で、身体を前方へ傾けると、歩いているように足を交互に出す原始反射です。

引用:歩行反射(自動歩行)|psycho-lo

赤ちゃんを立たせた状態で陽性支持反射を起こした状態で身体を前の方へ傾けると、歩行反射が起こります。

脳性麻痺児・低緊張児(フロッピーインファント)

立たせた状態で以下の症状が見られる場合、脳性麻痺や低緊張を疑います。

脳性麻痺児

  • 両足を伸ばして内股になり、つま先を伸ばす
  • 身体を前に傾けると、より両足を伸ばして内股になり、つま先を伸ばす(歩行反射が起こらない)
  • 頭と上半身が前にうなだれている

低緊張児

  • 両足を伸ばすが、身体を支える動きは起こらない(陽性支持反射が起こらない)
  • 身体を前に傾けても歩行反射が起こらない

まとめ

生後1ヶ月の赤ちゃんの姿勢

MWの姿勢は緊張した状態で、身体の力が抜け、両腕両足を軽く曲げ、手の平を握っているのがリラックスした状態

1ヶ月健診では、以下の4つの姿勢を確認

  • 背臥位(仰向け)
  • 腹臥位(うつ伏せ)
  • 座位(お座り)
  • 立位(立つ)
背臥位(仰向け)
  • 顔は横向き
  • 非対称性緊張性頸反射が起こる
腹臥位(うつ伏せ)
  • 胎児期の姿勢をとろうとする
  • 顔は横向き
  • 膝を擦る動き
座位(お座り)
  • 上半身が前にうなだれる
  • 両足が曲がる
  • 両肩を支えると頭を起こす
立位(立つ)
  • 陽性支持反射が起こる
  • 歩行反射が起こる