目次
生後2ヶ月の赤ちゃんの姿勢
生後2ヶ月の赤ちゃんの運動機能の発達は、背臥位(仰向け)と腹臥位(うつ伏せ)をとらせたときに、標準的な体勢や動きを見せるか否かで確認します。
この時期の赤ちゃんは、生後1ヶ月と比較すると首や手足の筋肉が発達しますが、首すわりは完成しておらず、自力で身体を支えることは困難です。
また、うつ伏せに寝かせたり抱き起こしたりする機会は増えますが、赤ちゃんが自力で姿勢を変えることもできません。
背臥位(仰向け)
生後2ヶ月の赤ちゃんは、1日の多くの時間を布団などで仰向けに寝て過ごします。
顔を正面に向けていられるようになる
生後1ヶ月頃は、顔を正面に向けておくことが難しく、左右いずれかに向けた状態が基本でした。
生後2ヶ月頃になると、首周りの筋肉が発達し、短時間であれば顔を正面に向けておくことができるようになります。
顔を左右に動かす頻度が増える
首の筋肉が発達したことで、頭を左右に動かして右を向いたり左を向いたりできるようになります。
未熟ながら追視ができるようになるのも、生後2ヶ月頃です。
非対称性緊張性頸反射が起こる頻度が下がる
非対称性緊張性頸反射とは、仰向けまたはうつ伏せに寝た赤ちゃんの顔を左右いずれかに向けた場合に、顔を向けた側の手足が伸び、反対側の手足が内側に曲がる原始反射です。
非対称性緊張性頸反射は、新生児期から生後1ヶ月頃に頻繁に見られますが、顔を正面に向けておけるようになると、徐々に頻度が下がっていきます。
反射の消失は生後4~5ヶ月頃ですが、赤ちゃんが顔を正面に向けている時間が長くなることで、反射による反応が起こる頻度が下がるのです。
左右対称の姿勢で過ごす時間が増える
非対称性緊張性頸反射が起こる頻度が下がる一方で、反射とは関係なく両腕両足を動かせるようになります。
生後2ヶ月頃には、顔を正面に向けた状態で両腕両足を身体の中心に近づけるように曲げ、ほぼ左右対称の姿勢がとれるようになります。
指しゃぶり(手しゃぶり)を始める
生後1ヶ月頃は、非対称性緊張性筋反射の影響で顔を向けた側の腕が伸びていました。
生後2ヶ月頃になると、顔を向けた側の腕を口元に持ってきて、口の中に入れる動きが見られるようになります。
指しゃぶり(手しゃぶり)の始まりです。
赤ちゃんは、指しゃぶり(手しゃぶり)を繰り返すことにより、口に入れたのが自分の手であることを認識します。
膝を立てる
膝を立てる動きがよく見られるようになるのも、生後2ヶ月頃からです。
脳性麻痺児・低緊張児(フロッピーインファント)
仰向けに寝た赤ちゃんを見て脳性麻痺や低緊張に気づくポイントは、以下のとおりです。
脳性麻痺児
- 両肩が後ろに下がっている
- 両腕を身体の真ん中に近づけ、手の平は外に向ける
- 両足を伸ばして内股になる
低緊張児
- 顔が正面を向くことが少ない(正面に向けていられない)
- 両腕が顔から離れている(伸ばしていることが多い)
- 短い間だけ片膝を立てる
腹臥位(うつ伏せ)
うつ伏せは、仰向けの状態では使わない筋肉を使うことができる、赤ちゃんの筋肉や運動機能の発達を促す効果があると考えられています。
そのため、生後2ヶ月頃になると、赤ちゃんにうつ伏せの姿勢をとらせる親が増えます。
ただし、うつ伏せの状態で寝かせるうつ伏せ寝は、乳幼児突然死症候群の危険が高くなると考えられており、常に見守りができる状況以外では控えなければなりません。
乳幼児突然死症候群:健康状態に問題のなかった乳幼児が突然死に至る疾患(Sudden infant death syndrome、SIDS)
お尻の位置が下がってくる
生後1ヶ月頃の赤ちゃんをうつ伏せにすると、膝がお腹につくくらい両足を曲げて身体を丸め、お尻が持ち上がります。
しかし、生後2ヶ月頃になると、両足を外側に広げて伸ばすことができるようになるため、お尻の位置が下がってきます。
短時間だけ頭を持ち上げる
お尻が下がって身体の重心が下に移ったことや、首の筋肉が発達したことにより、赤ちゃんは頭を持ち上げようとするようになります。
しかし、頭を持ち上げるのに必要な背中や胸の筋肉はまだ未熟で、頭を持ち上げる角度は小さく、頭を持ち上げた状態を維持できるのは数秒から数十秒程度です。
両腕を身体の中心に近づけて身体を支えようとしますが、肘が肩よりも後ろにあるためうまく支えることができません。
脳性麻痺児・低緊張児(フロッピーインファント)
うつ伏せに寝かせた赤ちゃんが以下のような体勢や動きを見せた場合、脳性麻痺や低緊張を疑います。
脳性麻痺児
- 頭を左右いずれかに向けたまま、持ち上げようとする(正面を向けたままでは持ち上げない)
- 両肩が後ろに下がる
- 両足は伸び、内股になっている
低緊張児
- 顔を左右の一方に向けたままにしている
- 頭を持ち上げようとするが、うまく持ち上げることができない
- お尻が少し高くなっている
まとめ
背臥位(仰向け)と腹臥位(うつ伏せ)をとらせたときの体勢や動きで運動機能を確認
- 顔を正面に向けていられる
- 顔を左右に動かす頻度が増える
- 非対称性緊張性頸反射による反応が起こる頻度が下がる
- 左右対称の姿勢で過ごす時間が増える
- 指しゃぶりを始める
- 膝を立てる
- お尻の位置が下がってくる
- 短時間だけ頭を持ち上げる