赤ちゃんの運動発達(生後3ヶ月)

生後3ヶ月

生後3ヶ月の赤ちゃんの姿勢

赤ちゃんの運動機能の発達は、特定の姿勢をとらせて標準的な体勢や動きができるか否かで確認します。

3ヶ月健診では、医師が赤ちゃんに以下の姿勢をとらせて体勢や動きを見ることで、運動機能の発達に異常がないかをチェックします。

  • 背臥位(仰向け)
  • 腹臥位(うつ伏せ)
  • 座位(お座り)
  • 立位(立つ)

以下、生後3ヶ月の赤ちゃんが見せる標準的な体勢や動きと異常がある場合の特徴を解説します。

背臥位(仰向け)

生後3ヶ月頃になると、首がすわる赤ちゃんが出てきて運動機能も向上しますが、生後1~2ヶ月と同様、1日の多くの時間を仰向けの姿勢で過ごします。

顔を正面に向けているのが普通になる

生後1ヶ月頃までは顔を左右いずれかに向けていますが、生後2ヶ月頃には首の筋肉が発達して正面を向いていられるようになります。

生後3ヶ月頃には、顔を正面に向けているのが普通になり、そこから左右に顔を向けて周囲を確認するようになっていきます。

指しゃぶり(手しゃぶり)の頻度が上がる

顔が正面を向いている時間が長くなると、非対称性緊張性頸反射による反応の頻度が下がり、両手が口元や頬の近くに来るようになります。

そのため、赤ちゃんが自分の手に興味を持ち、口に入れたり舐めたりして形や大きさなどを確認する頻度が上がります。

MEMO
非対称性緊張性頸反射:仰向けまたはうつ伏せに寝た赤ちゃんの顔を左右いずれかに向けると、顔を向けた側の手足が伸び、反対側の手足が内側に曲がる原始反射

目と手の協応性

両手を口元に近づけたときに手と手が触れ合うことが繰り返されると、両方の手が自分の身体の一部だと認識し、両手を触れ合わせて遊ぶようになります。

また、手と手が触れ合う様子を目で見るうちに、目と手の協応性の基礎が身についていきます。

MEMO
目と手の協応性:目で対象を見ながら手で操作するなど、目と手を協調させて動かす運動。

両足を上げたり、両足の裏を合わせたりする

足腰の筋肉が発達し、膝を曲げた状態で両足を持ち上げられるようになります。

また、両足を持ち上げた状態で足の裏を合わせる動きも身につけます。

脳性麻痺児・低緊張児(フロッピーインファント)

仰向けに寝かせた赤ちゃんを見て、脳性麻痺や低緊張に気づくポイントは、以下のとおりです。

脳性麻痺児

  • 顔は横を向けていることが多い
  • 顔が向いた方の手足を伸ばし、反対側の手足を曲げる(非対称性緊張性頸反射の姿勢)
  • 手を口元に近づけることが少ない
  • 両足は伸びて内股になり、指先を伸ばしている

低緊張児

  • 顔は横を向けていることが多い
  • 顔を左右に向けて手を口に入れる(顔を正面に向けて手を口に入れることは少ない)
  • 短い間しか両足を持ち上げておけない

腹臥位(うつ伏せ)

生後3ヶ月頃には、うつ伏せにしておく時間も長くなります。

ただし、仰向けの状態よりも窒息のリスクが高まるため、赤ちゃんをうつ伏せにして運動機能の発達を確認する場合、必ず近くで見守り、傍を離れるときは仰向けに戻さなければなりません。

また、うつ伏せで寝かせるうつ伏せ寝は、乳幼児突然死症候群との関連が指摘されており、見守りができる状況以外では控えてください。

MEMO
乳幼児突然死症候群:健康状態に問題のなかった乳幼児が突然死に至る疾患(Sudden infant death syndrome、SIDS

両肘とお腹で身体を支えられるようになる

生後2ヶ月頃よりもお尻の位置が下がり、身体の重心もおへそ付近になります。

また、首や身体の筋肉の発達に伴って、背中を伸ばして両腕を前に出したり、両肘を肩の真下付近まで出したりできるようになり、両肘とお腹の3点で身体を支える姿勢を身につけます。

頭を持ち上げて前を向けるようになる

筋肉の発達や身体の支え方を覚えることで、頭を持ち上げて前を向けるようになり、短い間ならその状態を維持できるようになります。

両足を伸ばす

生後2ヶ月頃と比較すると、両足を後ろに伸ばすことができるようになります。

ただし、足の指で床を蹴ったり、踏ん張ったりするのはもう少し先です。

脳性麻痺児・低緊張児(フロッピーインファント)

うつ伏せに寝た赤ちゃんに以下のような体勢や動きが見られる場合、脳性麻痺や低緊張を疑います。

脳性麻痺児

  • 頭は持ち上げるが、両肘が後ろに下がるため身体を支えられない(両肘とお腹で身体を支えて姿勢を維持できない)
  • 両足を伸ばし、つま先を立てている

低緊張児

  • 筋肉の緊張が弱く、頭をしっかり持ち上げることができない
  • 両足を曲げて、膝が腰の横辺りに来る

座位(お座り)

生後3ヶ月の赤ちゃんは、自力でお座りすることができないため、身体を支えてあげなければなりません。

3ヶ月健診(地域によっては4ヶ月健診)では、赤ちゃんの運動機能の発達を見るために、医師が赤ちゃんの身体を支えてお座りの姿勢をとらせます。

うなだれなくなる

生後1ヶ月頃の赤ちゃんにお座り姿勢をとらせると、骨盤が後ろに下がって身体が曲がり、頭が前に垂れてうなだれるような姿勢になります。

しかし、生後3ヶ月頃になると、骨盤が地面に垂直になり、身体を曲げないで起こしていられるようになります。

顔がまっすぐ前を向く

首すわりが完成していないと、頭部が前後左右にゆっくりと揺れることがありますが、顔をまっすぐ前に向けた状態を維持していられるようになります。

姿勢をまっすぐに保とうとする

両足は、しっかり曲げてあぐらに似た姿勢になったり、膝を立てたりします。

赤ちゃんの身体を前の方に傾けると、頭を伸ばしてまっすぐの姿勢に戻ろうとし、後ろの方へ傾けると、身体を曲げてまっすぐの姿勢に戻ろうとします。

脳性麻痺児や低緊張児(フロッピーインファント)の見分け方

お座り姿勢の赤ちゃんが以下の体勢や動きを見せた場合、脳性麻痺や低緊張の可能性を考えます。

脳性麻痺児

  • 顔が正面よりも上を向く(頭が後ろに垂れている)
  • 両腕が曲がって、外に広がっている
  • 両足が伸びて内股になり、つま先は伸びている

低緊張児

  • 骨盤が後ろに下がり、身体が曲がっている
  • 顔は正面よりやや下を向く(正面を向いた状態を保っていられない)
  • 両足は伸ばしてがに股になる

立位(立つ)

3ヶ月健診(地域によっては4ヶ月健診)では、医師が赤ちゃんの両脇を支えて立たせ、運動機能の発達を確認します。

両足が曲がる

生後1ヶ月の赤ちゃんの両脇を支えて立たせると、両足を伸ばして身体を支えようとする反応が起こります(陽性支持反射)。

しかし、生後3ヶ月の赤ちゃんは、同じように立たせても身体を支える動きは見られません。

具体的に言うと、両足を曲げ、足の裏も床にしっかりつきません。

「できていたことができなくなるなんて、何か異常があるのではないか。」と思うかもしれません。

しかし、生まれ持った原始反射が、高次の脳の発達によって消失(統合)した結果であり、健常に成長している証なので、心配する必要はありません。

MEMO
陽性支持反射:赤ちゃんの両脇を支えて立たせ、足の裏を床につけさせると、つま先を突っ張って身体を支える原始反射

歩行反射が消失する

歩行反射とは、両脇を支えて立たせた赤ちゃんの足の裏を床につけさせ、陽性支持反射を起こした状態で、身体を前方へ傾けると、歩いているように足を交互に出す原始反射です。

引用:歩行反射(自動歩行)|psycho-lo

歩行反射が消失することにより、赤ちゃんの身体を前に傾けても、足を動かさなくなります。

陽性支持反射と同じく、健常な発達を遂げて原始反射が消失した証です。

なお、水中では歩行反射による反応に似た動きが起こるという実験結果から、生後3ヶ月には消失していないと主張する研究者もいます。

脳性麻痺児・低緊張児(フロッピーインファント)

立った状態の赤ちゃんの運動機能を確認し、以下のような体勢や動きが見られる場合、脳性麻痺や低緊張を疑うことになります。

脳性麻痺児

  • 両足が伸びて、つま先立ちのような状態になる(陽性支持反射が消失しない)
  • 赤ちゃんの身体を前に傾けると、両肩を後ろに下げる

低緊張児

  • 身体が曲がって頭もやや下を向いている(正面を向いていられない)
  • 両足を伸ばして、身体を支えようとする(筋肉の緊張が低いため)
  • 歩行反射は見られない

まとめ

生後3ヶ月の赤ちゃんの姿勢

背臥位(仰向け)腹臥位(うつ伏せ)、座位(お座り)、立位(立つ)姿勢をとらせて標準的な体勢や動きを確認

背臥位(仰向け)
  • 顔を正面に向けている状態が普通になる
  • 指しゃぶりの頻度が増える
  • 目と手の協応性
  • 両足を上げる、両足の裏を合わせる
腹臥位(うつ伏せ)
  • 両肘とお腹の3点で身体を支える
  • 頭を持ち上げて前を向く
  • 両足を伸ばす
座位(お座り)
  • うなだれない
  • 顔が正面を向く
  • 姿勢を維持しようとする
立位(立つ)
  • 両足が曲がる(陽性支持反射の消失)
  • 歩行反射の消失