心理学用語や心理学を活かせる仕事を解説

帰属理論とは?ハイダーの理論、原因帰属理論、共変動モデル、対応推論理論

帰属理論

帰属理論とは

帰属理論とは、物事の因果関係を特定の原因に求める過程(帰属過程)に関する理論の総称です。

簡単に言えば、「ある結果の原因を推測して判断する認知のプロセス」についての理論をまとめたものです。

英語では「attribution theories」と表記され、日本語では帰属理論と訳されます。

帰属理論を最初に提唱したのは心理学者のハイダー,F.です。

ハイダーの理論を皮切りに、1960年代から1970年代にかけて、原因帰属理論、共変動モデル、自己知覚理論など、帰属理論に関する心理学的研究が積み重ねられました。

原因帰属の影響

原因帰属は、人の行動やモチベーションに大きな影響を与えることが分かっています。

例えば、テストで良い点数を取った子どもが、原因を「努力」に帰属させれば「もっと頑張ろう」という気になりますが、「偶然」に帰属させればモチベーションは高まりません。

また、原因帰属のあり方によっては、様々な認知バイアスを生じさせることもあります。

認知バイアスについては、「認知バイアスとは?種類と身近な例、修正方法を解説」で詳しく解説しています。

心理学における代表的な帰属理論

帰属理論の代表的なものとして、ハイダーの帰属理論、原因帰属理論、ケリーの共変動モデル、対応推測理論、自己知覚理論について解説します。

ハイダーの帰属理論

ハイダーは、人の行動やその結果は、個人の能力や意思などの「内的原因」と、状況や課題などの「外的原因」に原因を求めることができると考えました。

そして、2つの原因のいずれに帰属されるかによって行動やその結果の意味合いが異なるとし、原因の帰属先(統制の所在)を外的帰属と内的帰属に分類しました。

統制の所在 行動や評価などの原因をどこに求めるかという概念
内的帰属 因果関係の原因が個人の内面にあると推測する
外的帰属 因果関係の原因が個人の外側(環境)にあると推測する

原因帰属理論

原因帰属理論とは、心理学者のワイナー,B.が提唱した帰属理論です。

ワイナーは、ハイダーの原因帰属を発展させて、達成場面における成功または失敗の原因を何に帰属させるかを3次元に整理し、原因帰属が認知や行動に影響を及ぼすことを明らかにしています。

原因帰属理論における3次元は位置(内的-外的)、安定性(安定-不安定)、統制可能性(統制可能-不可能)であり、その組み合わせによって原因帰属のスタイルが分類されています。

統制可能 統制不可能
安定 不安定 安定 不安定
内的 努力

(普段)

努力

(一次的)

能力 気分
外的 偏見 他者の援助

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(非日常)

課題

困難度

引用:Weinerの達成動機づけに関する帰属理論についての研究|奈須正裕|Japanese Journal of Educational Psychology,1988,37,84-95

原因帰属理論は、帰属の先行条件にとどまらず、帰属の結果として生じる感情や動機付けの変化も検討しており、代表的な帰属理論となっています。

成功や失敗の原因帰属として望ましいとされるのは、努力(普段)、努力(一次的)、能力、課題の困難度です。

努力(普段) 日常的な努力に帰属させる

理由:努力を振り返り、さらなる努力につながる

努力(一次的) 一次的な努力に帰属させる

理由:基本的には努力(普段)と同じ

能力 自分の能力に帰属させる

理由:成功時に自己肯定感が高まる(失敗時は無力感が高まるリスク)

課題の困難度 課題の難しさに帰属させる

理由:失敗時に自己肯定感の低下を防ぐ

ケリーの共変動モデル

ケリーの共変動モデルとは、心理学者のケリー,G.A.が提唱した帰属理論です。

ケリーは、共変原理(物事の原因は物事が生じるときに存在し、生じないときは存在しないという原理)に基づき、行動の原因帰属は結果が出たときのみ生じ、結果がなければ帰属要因は存在しないと考えました。

共変動モデルでは、 行為の対象、行為の主体、状況の三つを原因帰属の対象とし、行動と共に存在する共変要因(一貫性、弁別性、合意性)の高低の組み合わせで帰属先が決まると説明されます。

一貫性 別の状況でも反応は変化しないか
弁別性 対象が変化しても同じ反応をするか
合意性 他人も対象者と同じ反応をするか

3つの共変要因が全て高い場合は行為の対象に帰属され(外的帰属)、弁別性と合意性が低くて一貫性だけ高い場合は行為の主体に帰属されます(内的帰属)。

対応推測理論

対応推測理論とは、心理学者のジョーンズ,E.とディヴィス,K.が提唱した、人の行動の原因を推測するときに人の特性と行動の結果を考慮することにより、行動が意図的か偶発的かを判別でき、性格や特徴を推測できるという帰属理論です。

対応推測理論では、行動から性格や態度などの内的属性を推測し、行動が行為者の内的属性を反映している程度を対応性という概念で表します。

個人が選択した行動に他の行動には見られない特別な効果が多数含まれる場合は、行動の意図を推測することは困難となります。

特別な効果(非共通効果)が多いほど対応性は低く、少ないほど対応性が高い(意図を推測しやすい)と説明されます。

まとめ

帰属理論とは

帰属過程(ある結果の原因を推測して判断する認知のプロセス)に関する理論の総称

心理学における代表的な帰属理論
  • ハイダーの帰属理論:ハイダー
  • 原因帰属理論:ワイナー
  • ケリーの共変動モデル:ケリー
  • 対応推測理論:ジョーンズ、ディヴィス
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