心理学の世界にコロがりこもう!

自動思考とは?スキーマとの関係と自動思考を止める・変える方法は?

自動思考

自動思考とは

自動思考とは、認知行動療法における概念の一つで、ある状況に置かれたときに、意思とは無関係に瞬時に頭に浮かぶ思考です。

英語では「automatic thought」と表記し、日本語では「自動思考」と訳されています。

自動思考を簡単に言い換えると「ふいに頭に浮かんでくる考え」です。

通常は、何らかのストレス状況下で頭に浮かぶ考えやイメージを指して使用されます。

自動思考によって浮かんだ考えやイメージは、言動や態度に影響を及ぼすため、ネガティブな内容ばかり思い浮かぶと、言動や態度もネガティブになります。

状況(外界の刺激)→自動思考→反応(気分、感情、身体、行動)

自動思考の例

自動思考は、私たちの日常生活の至るところで起こっており、注意を向けると容易に意識することができます。

自動思考の例1:嫌われている

会社の同僚に話しかけてそっけない対応をされたときに、「自分は同僚から嫌われている。」という考えが浮かんだとします。

「仕事の成果を横取りした。」、「仕事上のミスで迷惑をかけた。」など、同僚に嫌われるような事情があれば合理的な考えですが、嫌われる事情が思い浮かばないにも関わらず「嫌われている」という考えが浮かんだのであれば、自動思考です。

自動思考の例2:怒られている

会社の上司に仕事上の報告をして返事がなかったときに、「上司に怒られている。」という考えが浮かんだとします。

「報告が聞こえていなかった。」、「他の仕事が忙しく、反応できなかった。」などの可能性が考えられますが、「上司に怒られている。」という考えだけ浮かんだとすれば、自動思考です。

スキーマと自動思考

自動思考が想起される背景には、考え方のクセである「スキーマ」の影響があります。

スキーマ(schema)とは、認知心理学で用いられる概念の一つで、物事などに関する一般的かつ抽象的で枠組み的な知識(認知の枠組み)です。

物事に関するスキーマが知られていますが、行為、状態、出来事、典型的な出来事の系列、文章構造などのスキーマも存在すると考えられています。

私たちは、生育環境や経験によってスキーマを形成し、スキーマによって外界の情報を一般化して認識することができます。

つまり、ある状況下における刺激をスキーマという認知の枠組みを通して取り入れることにより、自動思考が起こるのです。

状況(外界の刺激)→スキーマ→自動思考→反応

スキーマの例として、「顔」に関するスキーマを考えてみましょう。

生まれたばかりの頃は人の顔に関する知識を持っていませんが、日常生活の中でたくさんの人の顔を見るうちに、顔に共通するものを抽出し、顔に関する一般的な知識(顔スキーマ)が形成されます。

顔スキーマには、「目は2つ」、「目の上に眉毛がある」、「鼻は1つ、鼻の穴は2つ」、「口は1つ」、「輪郭は楕円形」などの情報が含まれています。

顔スキーマが形成されることで、それを通して見知らぬ人の顔を認知し、顔に関係する情報を理解できるようになるのです。

【無料】心理カウンセラー講座の資料請求

自動思考を変える・止める方法

自動思考によって浮かんだ考えやイメージは言動や態度に影響を及ぼすため、ネガティブな考えやイメージが自動思考として想起され、結果としてネガティブな言動や態度が現れる頻度が増えます。

そして、そうした状況が継続すると、徐々に日常生活に支障を及ぼすことがあります。

自動思考を変えるまたは止めるには、認知行動療法が活用されています。

認知行動療法とは

認知行動療法とは、「人の感情や行動は、状況に対する解釈の仕方(認知)の影響を受ける」という認知モデルに基づき、認知の歪みと行動に焦点を当てる心理療法です。

一般的には、1970年代にアメリカ合衆国の精神科医ベック,A.Tが開発した認知療法などが発展したものですが、認知療法と認知行動療法を区別せず使用されることもあります。

認知行動療法では、不安や不適応的な行動の原因が個人の考え方や認知の歪み、また、それらの背後にある不合理な判断、信念、価値観などにあると考えます。

その上で、個人が苦痛を感じている症状や不適応的な行動の改善を目指し、考え方や認知の歪みを個人が自力で修正できるように働きかけを行います。

認知行動療法により自動思考を変える・止める流れ

認知行動療法では、まず、クライエントから事情を聴取し、どのような状況でどのような苦痛や困難が生じているかのアセスメント(見立て)を行います。

具体的には、クライエントの自動思考を把握し、自動思考に歪みや不合理な傾向が認められる場合、自動思考の背後に潜む考え方や認知の歪みにも注目し、治療の対象として抽出します。

その上で、アセスメントの内容をクライエントに説明し、改善すべき問題、治療法、治療の結果などを話し合ってクライエント自身の治療へのモチベーションを高めて、治療を開始します。

クライエントが自ら治療に取り組むことが大切であり、クライエントが希望しない限り治療を開始することはありません。

認知行動療法では、ロールプレイ、モデリング、リラクゼーション・トレーニングなどの治療プログラムが開発されており、問題や症状に応じて複数のプログラムを組み合わせて治療が行われます。

認知行動療法の治療プログラムには、以下の共通点があります。

  • クライアントに自分の認知や行動を観察させ、自覚させる
  • 不適応的な症状や行動が生じる場面における具体的な対処法をトレーニングする
  • クライアントに自分の認知の歪みを自覚させ、それらを修正して適応的な考えを身につけさせる
【無料】心理カウンセラー講座の資料請求

まとめ

自動思考とは
ある状況下において、瞬時に、意思とは無関係に頭に浮かぶ思考
自動思考を変える・止める方法
認知行動療法:認知の歪みと行動に焦点を当てる心理療法

治療の流れ:アセスメント→治療への動機づけ→治療(ロールプレイ、モデリングなど)

【参考】

  • 認知心理学キーワード|森敏昭、中條和光編|有斐閣