心理学用語や心理学を活かせる仕事を解説

ハイダーのバランス理論(認知的均衡理論、P-O-Xモデル)とは?具体例は?

バランス理論

バランス理論とは

バランス理論とは、心理学者のハイダー,F.が提唱した、対人関係における人の心理状態に関する理論です。

英語では「balance theory」と表記され、日本語では「バランス理論」または「認知的均衡理論」と訳されます。

ハイダーは、人が「認知の主体である自分」、「自分と関係のある他人」、「認知の対象である事物」の認知関係のバランスがとれた状態を好み、バランスが崩れると何とか回復させようとするというバランス理論を提唱しました。

バランス理論では、他人や事物との関係性が心情関係と単位関係に分けられ、それぞれにプラスの要素とマイナスの要素を設定しています。

心情関係 対象に対する情緒的な関係性

プラス:好き、尊敬、興味関心など

マイナス:嫌い、軽蔑、否定など

単位関係 自分と対象にまとまり(類似点や共通点など)を感じられるかどうかの関係性

プラス:学校や会社が同じで親近感が持てるなど

マイナス:学校や会社が違うなど

ハイダーのP-O-Xモデル

ハイダーは、P-O-Xモデルを使ってバランス理論を説明しています。

P-O-Xモデルとは、自分と他人と事物(認知の対象)の認知関係のバランスをPーOーXと(+)(-)を用いて視覚的に表したものです。

P-O-X 意味
P 認知の主体である「自分」
O 自分と関係のある「他人」
X 認知の対象である「事物」
+- 意味
(+) P-O-Xの関係性に肯定的な感情を抱くこと
(-) P-O-Xの関係性に否定的な感情を抱くこと

事物(X)は物だけでなく、イベント、趣味、アイデア、第三者なども含まれます。

ハイダーは、P-O-Xの関係性を表す符号(+-)の掛け合わせが「正」の場合は認知関係のバランスがとれており(均衡)、「負」の場合はバランスが崩れている(不均衡)と説明しています。

認知関係 P-O-Xの関係性
均衡 P+O、P+X、O+X

P-O、P-X、O+X

P-O、P+X、O-X

P+O、P-X、O-X

不均衡 P+O、P-X、O+X

P+O、P+X、O-X

P-O、P+X、O+X

P-O、P-X、O-X

バランス理論(P-O-Xモデル)の例

バランス理論における認知関係の均衡・不均衡について、具体例を見ながら確認していきましょう。

P-O-Xのままでは分かりにくいので、以下、Pを「私」、Oを「彼女」、Xを「映画」に置き換えます。

バランス理論の例:均衡

認知関係のバランスがとれているのは、「P-O-Xの3つの関係が全て+の状態」または「P-O-Xの1つが+で2つが-の状態」です。

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P-O-X 私-彼女-映画
P+O、P+X、O+X 私は彼女が好き、私は映画が好き、彼女も映画が好き
P-O、P-X、O+X 私は彼女が嫌い、私は映画が嫌い、彼女は映画が好き
P-O、P+X、O-X 私は彼女が嫌い、私は映画が好き、彼女は映画が嫌い
P+O、P-X、O-X 私は彼女が好き、私は映画が嫌い、彼女は映画が嫌い

3者の関係性がすべて+であれば、当然、認知関係のバランスがとれています。

また、3者の関係性のうち2つが-でも、1つがプラスであれば、認知関係のバランスはとれていると考えられます。

例えば、私が「彼女(O)のことが好き、映画(X)は嫌い」でも、彼女が「映画(X)が嫌い」であれば、認知関係のバランスは保たれます。

趣味(映画)が一致するために彼女を好きでいるときと、趣味が一致しないために彼女を嫌っているときに、認知関係のバランスは保たれるのです。

バランス理論の例:不均衡

認知関係のバランスが崩れているのは、以下の4つのパターンです。

P-O-X 私、彼女、映画の関係
P+O、P-X、O+X 私は彼女が好き、私は映画が嫌い、彼女は映画が好き
P+O、P+X、O-X 私は彼女が好き、私は映画が好き、彼女は映画が嫌い
P-O、P+X、O+X 私は彼女が嫌い、私は映画が好き、彼女は映画が好き
P-O、P-X、O-X 私は彼女が嫌い、私は映画が嫌い、彼女は映画が嫌い

つまり、趣味が一致しないのに彼女が好きなときと、趣味が一致するのに彼女を嫌っているときに、認知関係のバランスが崩れた状態となります。

私(P)は、認知関係が不均衡な状態(認知的不協和の状態)に不快さを感じ、それを解消するために「彼女に対する認知(P-O)」、「映画に対する認知(P-X)」、「彼女の映画に対する認知(O-X)」のいずれかを変えようとします。

彼女に対する認知(P-O)を変える 映画が好きな(趣味の合わない)彼女を嫌いになる
映画に対する認知(P-X)を変える 彼女が好きな映画を好きになろうとする
彼女の映画に対する認知(O-X)を変える 彼女に映画を嫌いになってもらう

一般的には、できるだけ少ない負担で変更できるものが選択される傾向にあります。

私-彼女ー映画の例で言えば、多くの場合、私の彼女または映画に対する認識を変える選択がなされることが予想されます。

認知的不協和については、「認知的不協和とは?具体例とフェスティンガーの認知的不協和理論」で詳しく解説しています。

まとめ

バランス理論とは

ハイダーが提唱した、人は自分(P)、他人(O)、事物(X)の認知関係のバランスが保たれた状態を好み、不均衡が生じると均衡状態に戻そうとするという、対人関係に関する理論

ハイダーのP-O-Xモデル

自分・他人・事物の認知関係のバランスをPーOーXと+-を用いて視覚的に表現

バランス理論(P-O-Xモデル)の例

本文記載のとおり

【参考】

  • 徹底図解社会心理学|山岸俊男|新星出版社
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