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バウムテストとは?やり方は「実のなる木」が一般的?解釈の方法は?

バウムテスト

バウムテストとは

バウムテストとは、スイスの心理学者・産業カウンセラーコッホ,K.が考案した、樹木を描くという投影法(投影樹木画法)のパーソナリティ検査です。

英語では「baumtest」と表記され、日本語ではバウムテストとカタカナ表記されるか「樹木画テスト」と訳されます。

被検査者の内面(無意識)を探ることを目的として作成された心理検査で、「1本の実のなる樹木を描くだけ」の簡便かつ迅速に実施できますが、描かれた樹木を描いた人の自己像と捉えてパーソナリティや自我状態を査定することに役立ちます。

コッホのバウムテスト

コッホは、1949年(コッホが43歳の頃)に、当時の樹木画テストに独自の改良と解釈を加味して「バウムテスト」を完成させました。

コッホのバウムテストは、A版の画用紙に「1本の実のなる木」を描くよう被検査者に指示し、時間・用紙を使用する向き・消しゴムの使用などの制限を設けず、好きなように描かせるというシンプルなものです。

検査者は、樹木全体の形態、樹木全体のバランス、樹木の大きさ、枝の方向性、根の形状、筆圧の強弱、絵の勢い、陰影などを一つひとつ丹念に確認し、①樹木の形態分析、②鉛筆の動態分析、③樹木の空間配置と空間象徴の分析によって被検査者のパーソナリティを分析します。

バウムテストの長所と短所

バウムテストは心理学の世界ではよく知られた心理検査であり、実務で活用されることも多いですが、実施するにあたっては長所と短所を理解しておかなければなりません。

バウムテストの長所

バウムテストの長所は、簡便かつ迅速に被検査者のパーソナリティを検査することができることです。

投影法の多くは、実施にも分析にも相当な時間と手間がかかり、被検査者と検査者の負担が大きいですが、バウムテストは鉛筆・消しゴムと画用紙と落ち着いて絵が描ける場所さえあれば手軽に短時間で実施することができます。

また、言語的な表現が必要ないため、子ども、言語表現が苦手な人、障害などの影響で言葉が話せないまたは拙い人でも実施できますし、集団実施も可能です。

バウムテストの短所

バウムテストのデメリットは、極めて自由度が高いテストであり、分析や解釈が検査者の力量に左右されやすく、主観が入りやすいというデメリットがあります。

また、バウムテストで測定できるのはパーソナリティや発達的側面の一部に過ぎないため、他の心理検査とテストバッテリーを組む必要があります。

実務上は、他のテストを実施する前の導入として使用されたり、補助的な検査として実施されたりすることが多くなっています。

バウムテストの長所と短所のまとめ

バウムテスト
長所
  • 簡便・迅速に実施できる
  • 被検査者と検査者の負担が軽い
  • 年齢を問わず実施できる
  • 言語表現が苦手・拙い人にも実施できる
  • 集団実施が可能
短所
  • 分析や解釈が検査者の力量に左右される
  • 解釈に検査者の主観が入りやすい
  • 習熟が必要
  • 測定できるパーソナリティは限定的

バウムテストのやり方

バウムテストの一般的なやり方は、以下のとおりです。

場所落ち着いて絵が描ける場所
準備するもの鉛筆(2B)、画用紙(A4)、消しゴム
教示「(鉛筆を使って画用紙に)実のなる木を一本描いてください。」
時間制限なし

実務上、「実のなる木を一本描いてください。」と教示すると、室内にある絵画や植物を見ながら描き始めたり、窓から見える木々を写生したり、おもむろにスマホを取り出して樹木の画像を検索したりする人が少なからずいます。

しかし、バウムテストでは、被検査者が頭の中にイメージした木を書いてもらう必要があり、写生を始めた場合は、何も見ないで描くように伝えなければなりません。

どうしても描けない、実のなる木が描けないという人もいますが、その場合は無理に描かせようとせず、描けないというのが被検査者の反応であると受け止めます。

バウムテストの解釈

バウムテストの解釈は、まず描かれた絵の全体的な特徴に目を向けて、そこから細かい部分へと移り、様々な角度から解釈していきます。

全体明るい-暗い、若々しい-老いた印象、伸びやか-萎縮しているなど、描かれた樹木全体から受ける印象を直感的につかむ
位置画用紙に樹木が描かれている位置によって、被検査者の認知の特徴や家族関係などを解釈する

・グルンウォルドの空間図式:左上は「受動性」、右上は「生への能動性」、左下は「幼児期のトラウマへの固着や退行」、右下は「本能や衝動、葛藤」

・ボーランダーの空間図式:用紙の左側は「母性、女性性、受動性、過去」、用紙の右側は「父性、男性性、能動性、未来」、上方ラインは「未来、想像」、中央ラインは「現在、情緒」、下方ラインは「過去、本能的欲求」

【解釈の例】

・真ん中:情緒安定

・上側:夢見がち、飽きっぽい

・下側:堅実、実直、現実主義

・右側:自己肯定感が高い、他者支配欲求が強い

・右上:計画的、慎重派

・右下:ナルシスト

・左側:内向的、現実逃避的

・左上:引きこもり、空想しがち

・左下:過去を気にする、前に踏み出さない

形式・丁寧さ:形態水準、陰影の有無、幹の表面の模様など

・不安:幹の不連続、傷、紋切り型など

・歪み:ふくらみ、くびれ、不均衡、枝が不統一など

・貧困:筆圧が弱い、樹木が小さい、弱い筆圧、幹が一本線で描かれるなど

(解釈の例:木の大きさ)

・大きい:積極的、自信がある

・普通:協調性がある、安定している

・小さい:消極的、自信がない

(解釈の例:木のかたち)

・左右対称:不安、抑うつ、自尊心が低くなっている

・左右非対称:イライラしがち、気分が不安定

・写実的:完璧主義、神経質

・木が描かれない:防衛的、秘密主義

・木が2本:過去の自分を肯定的に受け止められない

・木が3本以上:「自分とは何か」が確信できず、選ぶこともできない

・風(右から左へ):外の圧力にさらされている

・風(左から右へ):やらされている感が強い

・押しつぶされた感じ:外の圧力に負けそう

ヴィトゲンシュタイン指数ヴィトゲンシュタイン指数:木の長さ(mm)÷生活年齢(月)

幹のウロなど特徴的なものを外傷体験と捉えて、被検査者が何歳頃に外傷体験をしたのか計算することができる

内容分析被験者が描いたものと描かなかったものを個別に分析する

形式分析では、描き方(用紙の使い方、筆圧、絵を描く早さ、絵を描く順番)にも着目します。

内容分析

内容分析で確認するポイントは、以下のとおりです。

生命力の象徴と考える

・まっすぐ:頑固、負けず嫌い

・右に曲がる:イエスマン、人に嫌われるのを恐れる

・左に曲がる:対人関係が苦手、消極的

・太い:活力にあふれている

・細い:疲れている

・黒く塗る:自尊感情が低い、自己嫌悪

・模様:他人の評価を気にする

・一部が折れる:挫折

・幹だけ(枝葉や根がない):元気がない、抑うつ

知性や情緒の表れと考える

・多い:高揚している、空想しがち

・広がりがある:寛容

・先が尖る:攻撃性が強い

・曲がって四方にまたがる:没頭しがち、執着が強い

・枝がない:自分に満足していない、変身願望

気分や感情を表すと考える

・はっきり描く:社交的、人好きがする

・小さく曖昧:内向的

・1枚ずつ描く:承認欲求が強い、完全主義

・尖る:排他的、論理的

・宙を舞う:自己顕示欲が強い、自意識過剰

・落ち葉:挫折体験がある

・葉がない:孤独

検査時点における生命力を表すと考える

・しっかり張る:気分が安定している、落ち着いている

・根がない:緊張や不安が強い

地面人間関係を表すと考える

・平坦:良好な人間関係が築けている

・歪み:人間関係の問題を抱えている

・石を敷き詰める:信用しない、用心深い

・塗りつぶし:対人不信

・草:人間関係への疲れ

・柵:自己中心的

・地面がない:周囲に人がいることに慣れている

目標や希望を表すと考える

・実を描く:目標がある、目標に向かって努力している

・枝から離れている:目標はあるが到達を阻まれている

・落ちている:目標を諦めた挫折経験がある

・実の種類が豊富:大げさな夢を抱いている

木以外

木以外のものが描かれている場合、それらも踏まえて解釈します。

公認心理師試験の出題歴

バウムテストは、第1回公認心理師試験に出題されました(正答は赤字)。

問16 バウムテストについて、正しいものを1つ選べ。

①K.Kochが精神疾患の診断を目的に開発した。

②形状の年齢的変化では、二線幹のバウムは6歳までには減少する。

③樹冠の輪郭の有無によって、心理的発達の成熟又は未成熟が把握できる。

④M.Grünwaldの空間象徴理論に基づいて解釈を行うことを基本とする。

⑤対人関係や感情表出の特徴を示す指標として、枝の先端の処理に注目する。

引用:第1回公認心理師試験問題

公認心理師試験については、「公認心理師とは?受験資格と特例措置、試験合格率は?臨床心理士との違いは?」で詳しく解説しています。

まとめ

タイトル
文章
バウムテストの長所と短所
  • 長所:簡便・迅速、負担が軽い、年齢を問わない、言語能力を問わない、集団実施が可能
  • 短所:検査者の力量に左右される、解釈に検査者の主観が入りやすい、習熟が必要、分かることが限定的
バウムテストのやり方

本文記載のとおり

バウムテストの解釈

本文記載のとおり

公認心理師試験の出題歴

第1回試験・問16