心理学用語や心理学を活かせる仕事を解説

公認心理師とは?受験資格と特例措置、試験合格率は?臨床心理士との違いは?

公認心理師

公認心理師とは

公認心理師とは、公認心理師法を根拠とする、日本における心理職の国家資格であり、同資格の有資格者のことです。

日本では臨床心理分野における初めての国家資格であり、資格を取得することで、「保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術(公認心理師法第2条)」を持つことが証明されます。

また、これまで臨床心理士や心理カウンセラーが担ってきた業務について、公認心理師を名乗って行うことができるようになります。

英語表記はばらつきがありますが、公認心理師の会が使用する「Certified Public Psychologist(略称:CCP)」が定着しつつあるようです。

公認心理師の法的根拠(公認心理師法)

公認心理師の根拠法は、2017年9月15日施行の公認心理師法(平成27年法律第68号)です。

この法律は、公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする。

(公認心理師法第1条)

公認心理師法は、文部科学省及び厚生労働省の共管となっており、公認心理師制度の主務官省も2つの省です。

これは、公認心理師の活動領域が多岐にわたることが想定されるためです。

公認心理師の仕事内容

公認心理師の仕事内容は、公認心理師法第2条に以下のとおり規定されています。

この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

  1. 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
  2. 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
  3. 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
  4. 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

(公認心理師法第2条)

公認心理師の職域が「保険、医療、福祉、教育その他の分野」と規定されています。

その他には司法、犯罪、矯正、産業、労働、研究、学術など多岐にわたる領域が含まれており、複雑化・多様化する心の健康の問題について、関係職種や関係機関と有機的に連携しながら、心理的支援を行うことが求められています。

公認心理師法第1項から第3項までは、臨床心理に携わる心理職の職責を定義したものであり、これまでの臨床心理士や心理カウンセラーの職責と変わるところはありません。

しかし、法律で明記されたことにより、一定以上の知識と技術を持った臨床心理職が増加し、有資格者全体ひいては臨床心理職全体の質の向上が求められていると言えます。

第4項の「心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供」は、公認心理師が国家資格になるために追加された項目です。

つまり、公認心理師には、目の前のケースに対応するだけでなく、心の健康に関する知識を広く世の中に広めるという役割を担うことも求められているのです。

公認心理師になる方法

原則として、公認心理師になる方法は3つあります。

順序 A B C
1 4年制大学で規定科目履修 A、Bと同等以上の知識と技術を持つとの認定を受ける
2 大学院で規定科目履修 一定期間の実務経験
3 公認心理師試験
4 公認心理師資格登録

規定科目、実務経験を受ける施設と期間、認定の方法は、いずれも公認心理師法施行規則に規定されています。

Aルート

4年制大学に入学し、公認心理師法施行規則第1条(以下「施行規則」という。)に規定された科目を履修し、大学院で同施行規則第2条に規定された科目を履修した上で、公認心理師試験を受けるルートです。

公認心理師になるための標準的なルートです。

大学及び大学院で履修しなければならない科目は、以下のとおりです。

大学 大学院
  1. 公認心理師の職責
  2. 心理学概論
  3. 臨床心理学概論
  4. 心理学研究法
  5. 心理学統計法
  6. 心理学実験
  7. 知覚・認知心理学
  8. 学習・言語心理学
  9. 感情・人格心理学
  10. 神経・生理心理学
  11. 社会・集団・家族心理学
  12. 発達心理学
  13. 障害者(児)心理学
  14. 心理的アセスメント
  15. 心理学的支援法
  16. 健康・医療心理学
  17. 福祉心理学
  18. 教育・学校心理学
  19. 司法・犯罪心理学
  20. 産業・組織心理学
  21. 人体の構造と機能及び疾病
  22. 精神疾患とその治療
  23. 関係行政論
  24. 心理演習
  25. 心理実習(80時間以上)
  1. 保健医療分野に関する理論と支援の展開
  2. 福祉分野に関する理論と支援の展開
  3. 教育分野に関する理論と支援の展開
  4. 司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開
  5. 産業・労働分野に関する理論と支援の展開
  6. 心理的アセスメントに関する理論と実践
  7. 心理支援に関する理論と実践
  8. 家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践
  9. 心の健康教育に関する理論と実践
  10. 心理実践実習(450時間以上)

講義科目の単位数については、大学と大学院のいずれも規定されていませんが、必要科目は1科目について2単位以上の履修が想定されています。

一方で、実習科目については、大学と大学院のいずれも時間数の下限を規定することとなっています。

大学と大学院のいずれも実習科目が規定されており、「保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働(医療機関実習は必修)」に関する施設での実習を行う必要があります。

大学の実習は施設見学が中心ですが、大学院の実習では、3分野以上の施設の見学を行うとともに、ケースを担当することになります。

また、大学院では演習科目が規定されており、面接や心理検査の実施、ロールプレイ、ケース検討など実際の業務を想定した演習を行います。

Bルート

Aルートと同じく大学で規定科目を履修した後、大学院には進学せずに就職し、就職先の施設で心理職として実務経験を積んだ上で公認心理師試験を受けるルートです。

受験資格を得るためには、施行規則第5条規定の主要5施設(文部科学省と厚生労働省が指定する以下の施設)で、2年間以上の実務経験を積む必要があります。

保健医療 病院、診療所など
福祉 児童相談所、児童養護施設、老人福祉施設など
教育 小学校、中学校、高校、大学、教育委員会など
司法・犯罪 家庭裁判所、少年院、刑務所、拘置所、更生保護施設、少年鑑別所など
産業・労働 健康管理センター、生活支援センター、地域障害者職業センターなど

ただし、実務経験の2年以上は2年ちょうどで良いというわけではなく、通常は3年程度の実務経験を要するものとされています。

Cルート

大学院(修士課程)卒業または大学+実務経験と同等以上の知識と技術がある場合と認定された場合にも、公認心理師試験の受験資格が与えられます。

受験資格の特例措置

現在、大学や大学院に在籍している人や、心理職として働いている人については、受験資格の特例措置が設けられています。

順序 D E F G
1 法施行前に大学院で規定科目履修 法施行前に大学で規定科目履修 特定の施設で5年間の実務経験
2 大学院で科目履修 一定期間の実務経験 現認者講習受講
3 公認心理師試験
4 公認心理師資格登録

Dルート

公認心理師施行前に大学院で施行規則規定の科目を履修済みだった場合、公認心理師試験を受験することができます。

また、法施行前に大学院に入学し、法施行後に科目を履修した場合も受験資格があります(履修中の場合は履修後)。

正式には、区分D1と区分D2の2つがあります。

D1 平成29年9月15日より前に大学院を修了した人
D2 平成29年9月15日より前に大学院に入学した人

Eルート・Fルート

法施行前に大学で施行規則規定の科目を履修していた場合、大学院で規定科目を履修するか、所定の期間で2年以上の実務経験を積むことにより、受験資格を得ることができます。

Gルート

特定の施設において心理職として5年以上の実務経験がある場合、大学や大学院で規定科目を履修していなくても、公認心理師現認者講習会を修了することにより、受験資格を得ることができます。

公認心理師制度ができる以前から心理職として業務をこなしていた人のために設けられた特例措置です。

特定の施設とは、Bルートの項目で記載した主要5施設です。

また、5年以上の実務経験については、週1日以上勤務している期間が通算で5年以上ある必要があります。

ただし、Gルートの特例措置は、法施行後5年間に限られています。

公認心理師現認者講習会とは

公認心理師現認者講習会とは、上で解説したGルートで公認心理師試験の受験資格を得るために受講する講習会です。

特定の施設(主要5施設)において心理職として5年以上の実務経験がある人が、公認心理師となるために必要な水準を満たすために実施されます。

主催 日本心理研修センター、日本精神科病院協会など
所要日数 4~5日
所要期間 約30時間
受講料 70,000円(教材費は別)
科目
  • 公認心理師の職責
  • 職域分野に関する制度
  • 職域分野に関する課題とケース検討
  • 精神医学など医学に関する知識
  • 心理的アセスメント
  • 心理支援
  • 評価と振り返り

職域分野とは、保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働のことです。

2019年度に開催される現認者講習会については、厚生労働省ウェブサイトの「平成31年開催公認心理師現任者講習会」を確認してください。

公認心理師資格試験の内容

公認心理師資格試験の内容について確認しておきましょう。

出題範囲 公認心理師として具有すべき知識及び技能(科目特定なし)
出題形式 5肢または4肢択一を基本とする多肢選択形式
出題数 第1回試験は154問(一般問題116問、事例問題38問)
配点 一般問題1点/1問、事例問題3点/1問
試験時間 240分
合格基準 正答率60%以上

合格率

厚生労働省の発表では、第1回公認心理師試験の合格率は79.6%でした。

受検者数が35,020人、合格者数が27,876人です。

第2回公認心理師試験について

2019年2月13日発行の官報で公示されました。

試験日 2019年8月4日
試験地 北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、岡山県、福岡県
出題形式 5肢または4肢択一を基本とする多肢選択形式
受験資格 区分C、区分D(区分D1及びD2)、区分G
必要書類 受検申込書

写真(縦4.5㎝、横3.5㎝、裏面に氏名と生年月日を記載)

公認心理師試験受験資格認定書の写し(区分C)

修了証明書(区分D)

科目履修証明書(区分D)

実務経験証明書(区分G)

公認心理師現任者講習会修了証明書又は公認心理師現任者講習会修了書の写し(区分G)

受付期間 2019年4月17日~2019年5月17日まで

日本心理研修センターの指定先へ簡易書留郵便で提出(5月17日消印有効)

手数料 28,700円
受験票 2019年7月12日以降、郵送により交付
合格発表 2019年9月13日

厚生労働省と日本心理研修センターに合格者の受験番号を掲示

日本心理研修センターウェブサイトに合格者の受験番号を掲載

公認心理師になれない人(欠格事由)

公認心理師法第3条では、公認心理師の欠格事由が規定されています。

次の各号のいずれかに該当する者は、公認心理師となることができない。

  1. 成年被後見人又は被保佐人
  2. 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない
  3. この法律の規定その他保健医療、福祉又は教育に関する法律の規定であって政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
  4. 第三十二条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者

(公認心理師法第3条)

いずれかの欠格事由に当てはまる場合、公認心理師試験の受験資格があっても、公認心理師になることはできません。

心理師と臨床心理士の違い

公認心理師と臨床心理士の違いを一覧表にまとめました。

公認心理師 臨床心理士
資格区分 国家資格

(名称独占資格)

民間資格
所管 文部科学省と厚生労働省の共管 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会(内閣府認可)
医師の指示 主治医が必要なケースでは指示を受ける 受けない
受験資格 大学の学部で心理学などの必要科目を修めて卒業した人 臨床心理学系修士号取得者または医師免許取得者
養成課程 養成学部と養成大学院

(養成学部+指定施設で一定期間の実務経験)

臨床心理士指定大学院
免許更新 有(5年ごと)

資格区分

公認心理師は日本で初めての臨床心理職の国家資格、臨床心理士は民間資格です。

所管

公認心理師は文部科学省と厚生労働省の共管、臨床心理士は内閣府が認可した公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会です。

協会は元々は文部科学省の所管でした。

医師の指示

公認心理師は、心理的支援の対象者に主治医が必要と判断される場合は、主治医の指示を受けます。

公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。

(公認心理師法第42条第2項)

一方の臨床心理士は、心理職としての独立性が確保されており、医師の指導を受けることはありません。

ただし、臨床心理業務は関係機関との連携や協力が重要であり、実務上、医師との連携や協力を行うケースは少なくありません。

受験資格

公認心理師は「大学の学部で心理学などの必要科目を修めて卒業した人」、臨床心理士は「臨床心理学系修士号取得者または医師免許取得者」です。

養成課程

公認心理師は「養成学部+養成大学院」または「養成学部+指定施設で一定期間の実務経験」、臨床心理士は「臨床心理士指定大学院」です。

臨床心理士を受験するには、原則として、学部で4年間と大学院で2年間の期間を要します。

免許更新

公認心理師資格は更新する必要はありません。

一方の臨床心理士資格は、5年ごとの更新が義務付けられています。

まとめ

公認心理師とは

公認心理師法を根拠とする、日本初の臨床心理分野における国家資格、また、同資格の有資格者

公認心理師の仕事内容
  • 保険、医療、福祉、教育、司法、犯罪、矯正、産業、労働、研究、学術などの領域で、要支援者の心理状態の観察と分析
  • 要支援者などの相談に応じるかたちでの助言や指導
  • 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供
公認心理師になる方法
  • Aルート:大学+大学院で規定科目を履修する
  • Bルート:規定科目を履修して大学を卒業し、所定の施設で2年以上の実務経験を積む
  • Cルート:AまたはBと同等以上の知識と技術があると認定される
受験資格の特例措置
  • Dルート:公認心理師法施行前に大学院で規定科目を履修(履修済みまたは履修中)
  • Eルート:公認心理師法施行前に大学で規定科目を履修しており、大学院で規定科目を履修する
  • Fルート:公認心理師法施行前に大学で規定科目を履修しており、所定の施設で2年以上の実務経験を積む
  • Gルート:所定の施設で5年以上の実務経験があり、現認者講習会を修了する(法施行後から5年間限定)
公認心理師現認者講習会とは

Gルートで受験資格を得るために必要な講習会

公認心理師資格試験の内容

本文記載のとおり

公認心理師になれない人(欠格事由)
  • 成年被後見人、被保佐人
  • 禁固以上の刑に処され、刑の執行が終わってから2年が経過しない人など
  • 罰金の刑に処され、執行が終わってから2年が経過しない人など
  • 登録を取り消されてから2年が経過しない人
公認心理師と臨床心理士の違い
  • 資格区分(国家資格か民間資格か)
  • 所管
  • 医師の指示を受けるか否か
  • 受験資格
  • 養成課程
  • 免許更新

【参考】