心理学の世界にコロがりこもう!

心理学を活かせる仕事:心理系公務員(心理職)の職種と勤務先、就職方法を解説

心理系公務員 心理職

心理系公務員の職種

心理学を活かせる就職先の一つが「公務員」です。

公務員には、心理学を活かした仕事がしたいという人におすすめの職種がたくさんあります。

主な心理系公務員(心理職の公務員)の職種は、以下のとおりです。

公務員の種類心理系公務員の職種
国家公務員・国家公務員総合職(人間科学)

・法務省専門職員(矯正心理専門職、保護観察官、法務教官)

・裁判所専門職員(人間科学)(家庭裁判所調査官)

地方公務員・心理判定員

・児童心理司

・心理技官

・相談専門員

【主な勤務先】

児童相談所、福祉事務所、精神保健福祉センター、知的障害者施設、児童自立支援施設など

地方公務員については、自治体によって採用職種の名称や採用の有無、採用基準が異なります。

MEMO

この記事では、採用試験の科目に心理学があり、採用後は心理学を活かせる専門職になる公務員を心理系公務員としています。

 

なお、独立行政法人などでも心理系公務員の採用枠がありますが、割愛しています。

心理系公務員(心理職):国家公務員になる方法、勤務先、仕事

国家公務員の心理職になるには、以下の3つの採用試験のうち、どれかに合格する必要があります。

  • 国家公務員総合職(人間科学)
  • 法務省専門職員(人間科学)
  • 裁判所総合職(家庭裁判所調査官補)

合格した試験によって、その後の心理系公務員(心理職)としての進路が変わってきます。

国家公務員総合職(人間科学)採用試験

国家公務員総合職採用試験には、「院卒者試験」と「大卒程度試験」の2つがあり、それぞれ分野による区分があります。

試験の区分分野による区分
院卒者試験・行政

・人間科学

・工学

・数理科学・物理・地球科学

・化学・生物・薬学

・農業科学・水産

・農業農村工学

・森林・自然環境

・法務(秋試験)

大卒程度試験・政治・国際

・法律

・経済

・人間科学

・工学

・数理科学・物理・地球科学

・化学・生物・薬学

・農業科学・水産

・農業農村工学

・森林・自然環境

・教養(秋試験)

心理系公務員(心理職)を目指す場合、人間科学区分で国家公務員総合職採用試験を受験することになります。

平成31年度の人間科学区分の採用数

平成31年度の国家公務員総合職採用試験(人間科学)の採用予定数は、院卒者試験が約15名、大卒程度試験が約15名(平成30年度は約25名)です。

法律区分の採用予定数が約160名など、採用予定数で見ると他の区分よりも狭き門といえます。

ただし、倍率は10倍程度で、他の区分と比較して高いというわけではなく、法律区分の約20倍程度よりも低くなっています。

国家公務員総合職の就職先

国家公務員総合職(人間科学)の主な就職先は、以下のとおりです。

  • 法務省
  • 厚生労働省
  • 警察庁
  • 文部科学省
  • 農林水産省など

国家公務員総合職の仕事内容

勤務先となる省庁によって異なりますが、各分野において心理学の知見を活用した個別ケースの支援方法を身につけた上で、総合職として制度の企画立案や設計に携わることが多くなっています。

例えば、厚生労働省に採用された場合、福祉・医療・雇用分野において心理学の知見を活用して個別ケースを支援する方法を身につけます。

その後は、国民により良い支援を提供する環境を整えるための制度の企画・立案・設計に関わるようになります。

法務省専門職員(人間科学)採用試験

法務省専門職員(人間科学)採用試験には、3つの区分(職種)があります。

  • 法務技官(心理)
  • 保護観察官
  • 法務教官

いずれも心理学の知見を活用して犯罪をした少年や成人の犯罪者の鑑別・矯正・更生を支援する仕事ですが、勤務先や仕事内容が異なります。

法務技官(心理):矯正心理専門職

法務技官(心理)とは、少年鑑別所や刑務所などに勤務し、心理学の知見を活用して非行・犯罪の原因分析をしたり、非行少年や犯罪者の立ち直りのための向けた処遇指針を示したりする心理職です。

一般的には「矯正心理専門職」と呼ばれることもありますが、実務上は単に「技官」と呼ばれることが多いです。

法務技官(心理)は、少年鑑別所に収容された少年が非行に至った原因を探り、更生のために施設収容が必要かどうかを検討した上で、収集した情報を鑑別結果にまとめて家庭裁判所に提供しています。

必要に応じて、法務教官や医師、家庭裁判所調査官などと情報を共有することもあります。

また、少年院を訪問して担当少年の再鑑別を行ったり、成人の拘置所や刑務所などで勤務したりすることも珍しくありません。

法務技官(心理)について詳しく知りたい場合は、以下の記事を読んでみてください。

矯正心理専門職(法務技官)とは?法務技官になるには?採用の難易度は?

保護観察官

保護観察官とは、保護観察所や地方更生保護委員会事務局に勤務して、家庭裁判所が保護観察処分を受けた少年などの指導・教育を行う心理職です。

保護観察官は、本人の資質や能力を引き出しながら周辺環境の力も活用して、非行少年や成人の犯罪者が再び犯罪をせず社会内で自立できるよう指導や援助を行います。

心理学の知見をフル活用して担当少年などのサポートにあたる他、必要に応じて家庭裁判所、少年鑑別所、児童相談所、学校などの関係機関とも連絡を取り合いながら活動しています。

非行少年だけを相手にすると思われがちですが、地方更生保護委員会に勤務して成人の仮釈放審理の準備調査をするなどの仕事もあります。

保護観察官については、仕事の特徴から保護観察官になる方法まで、以下の記事で詳しく解説しています。

保護観察官とは?保護観察官になるには?採用試験の難易度と仕事内容は?

法務教官

法務教官とは、少年院や少年鑑別所などに勤務し、心理学の知見を用いて、非行少年などを健全に社会復帰させるための指導・教育を行う心理職です。

収容中だけという限られた期間ではありますが、非行少年などと密に関わり、きめ細かく指導・教育を行うことができます。

例えば、少年院においては、生活指導、教科指導、職業補導、対人関係指導など、社会で健全に生きていくために必要な知識やスキルを対象者に身につけさせる指導を行います。

担当する非行少年などと接する機会が多い分、心理学の知見だけでなく「人間性」や「人としてのあたたかさ」が求められることになります。

法務教官について詳しく知りたい場合は、以下の記事を読んでみてください。

法務教官とは?試験の難易度と合格率、転勤などの待遇は?

裁判所総合職(家庭裁判所調査官補)

裁判所総合職(家庭裁判所調査官補)とは、主に家庭裁判所に勤務し、心理学の知見を活用して非行少年や離婚紛争中の夫婦などに関わる「家庭裁判所調査官」になるための試験です。

ここ10年間の間に何度も名称が変更されていますが、現在は裁判所総合職(家庭裁判所調査官補)で落ち着いています。

試験に合格すると家庭裁判所調査官補として採用され、約2年(1年11ヶ月)の研修を受けることになります。

研修は採用された裁判所で実施される実務研修と、裁判所職員総合研修所で実施される研修に大別され、各研修において、対人援助に必要な心理学を含む人間科学と、裁判所で働くうえで必要な法律の知識を学びます。

研修を修了すると家庭裁判所調査官に任官し、家庭裁判所が扱う少年事件や家事事件において調査事務を担うようになります。

例えば、少年事件では、非行少年やその保護者、学校などの関係機関の調査を実施し、少年の処遇について裁判官に意見を述べます。

また、家事事件では、離婚する夫婦の板挟みになった子どもの意見を聞いたり、家庭の実情を調査したりし、離婚訴訟や離婚調停の進行を助けることがあります。

「家庭裁判所は調査官でもっている」といわれるほど、家庭裁判所の事件の多くで中心的な役割を果たす仕事です。

家庭裁判所調査官とは?調査官補になるには?試験の難易度と仕事内容は?

心理系公務員(心理職):地方公務員になる方法、勤務先、仕事

地方公務員の心理職になりたい場合、原則として、地方公務員採用試験に合格して採用される必要があります。

地方公務員には様々な心理系公務員の職種がありますが、自治体によって採用職種の名称や採用区分が異なるので、全てを網羅的に解説するのは難しいところがあります。

MEMO

一般の行政職のみ採用する自治体と、心理職や福祉職の試験区分を設けている自治体があります。

この記事では、地方上級心理職試験の心理職区分について書いていきます。

地方上級心理職

地方上級心理職として採用されると、都道府県や政令市などの自治体に児童福祉士や心理判定員などとして配置され、心理学の知見を活かして様々なサポート活動を行います。

児童相談所、精神保健福祉センター、県立病院、子ども家庭支援センターなどで心理面接、心理診断、心理学的な援助、ケースワークなどの業務を行います。

地方上級心理職の採用数

地方上級心理職の採用数は、自治体によって異なりますが、その多くが「若干名」または「数人」程度です。

ただし、心理職の配置に積極的な自治体では、毎年20~30人程度採用しており、そうでない自治体でも、心理職ポストに空きが出た場合は多く採用されることがあります。

また、地方上級の心理職区分を設けず、一般の行政職のみ採用し、採用後に心理職のポストに配置する自治体も少なくありません。

地方上級心理職の受験資格

地方上級心理職の受験資格として、四年制大学の心理学科卒業または心理系科目の単位取得を設定している自治体が多くなっています。

詳細については、受験を検討する自治体の採用情報を確認してください。

通常は30歳までの年齢制限がありますが、30歳以上または就労経験のある人を採用する枠を設けている自治体もあります。

児童心理司

児童心理司とは、児童相談所において心理判定業務などを行う心理系の地方公務員(心理職)です。

児童相談所に係属した児童やその保護者と面接し、心理検査などを用いて児童の心理状態をアセスメントして、必要に応じてカウンセリングや関係機関の紹介などを行います。

例えば、相談にやってきた子供やその保護者と面接して、知能検査や心理検査を実施して心理判定を行います。

心理判定の結果、サポートが必要だと判断された場合には、児童やその家族が抱える問題を解決するためにカウンセリングやプレイセラピー、箱庭療法などを行うこともあります。

児童心理司は、他の心理系公務員と同じく、児童福祉司や医師などの専門職員と有機的に連携しながら仕事を行うのが基本です。

MEMO

児童相談所では、18歳未満の児童を対象として、発達・行動・性格・非行・児童虐待など児童に関する様々な問題の相談を受け付け、必要に応じて、子供やその家庭をサポートする行政機関です。

 

ニュースでは不祥事や不適切な対応が話題になりやすいですが、日本の児童福祉行政の中心機関であり、児童に関する問題や解決方法の知見やノウハウが集約されています。

MEMO

児童相談所に勤務する児童心理司は、以前は心理判定員と呼ばれていました。

 

2005年に厚生労働省が児童相談所運営指針を改正したことに伴って、児童心理司と呼ばれるようになっています。

心理判定員

心理判定員とは、発達障害相談支援センターなどにおいて心理判定業務を行う心理系の地方公務員(心理職)です。

主な勤務先は、以下のとおりです。

  • 児童相談所(名称は「児童心理司」)
  • 発達障害相談支援センター
  • 身体障害者更生相談所
  • 知的障害者更生相談所
  • 市役所の発達相談所
  • 四肢不自由児更生施設
  • 重症心身障害児施設など

勤務先によって発達障害、心身の障害、虐待や非行など様々な問題を幅広く取り扱う職種で、関わる対象も本人、保護者、関係機関など多岐にわたります。

就職は心理系公務員(心理職)がおすすめ

心理学を活かせる仕事に就きたいなら、心理系公務員(心理職)がおすすめです。

収入が安定している

民間の医療機関や学校などでも心理学を活かせる仕事はたくさんありますが、問題なのが収入面です。

例えば、臨床心理士資格を持っている人の50%以上が年収300~500万台で、100万以下という人も5%以上いるというのが現状です。

収入が低い水準にとどまる背景には、診療報酬の関係で正規雇用として採用されにくい、予算の都合で勤務時間が制限されるといった事情があります。

しかし、心理系公務員(心理職)として就職すれば、安定した収入を得ることができるようになります。

国家公務員の平均給与月額は410.940円(平均年齢43.5歳)、地方公務員でも401,142円(42.2歳)で、民間勤務した場合の平均を大きく上回っています。

臨床心理士の年収・収入については、別の記事で詳しく解説しています。

臨床心理士(心理職)の年収・収入は?公務員と民間勤務では年収が9000万円違う?

福利厚生が充実している

公務員のメリットの一つが充実した福利厚生です。

心理系公務員(心理職)になれば、公務員として手厚い福利厚生を利用することができるようになります。

女性の場合、育児休業が最大で3年間取得できる、長期の育児休業を取得しても職場復帰しやすいなど、出産育児場面で公務員のありがたさを感じることが多いようです。

家庭裁判所調査官とは?調査官補になるには?試験の難易度と仕事内容は?

試験は難関

ただし、心理系公務員(心理職)の試験は難関が多い上、採用人数が他の公務員と比べて少ないので、狭き門を潜り抜ける必要があります。

独学での突破が難しいと思うなら、予備校などを利用するのも一つの方法でしょう。

まとめ

心理系公務員の職種

本文記載のとおり

心理系公務員(心理職):国家公務員になる方法、勤務先、仕事
  • 国家公務員総合職(人間科学)
  • 法務省専門職員(人間科学)
  • 裁判所総合職(家庭裁判所調査官補)
心理系公務員(心理職):地方公務員になる方法、勤務先、仕事
  • 地方上級心理職(児童心理司、心理判定員)
就職は心理系公務員(心理職)がおすすめ

心理系公務員(心理職)は、心理学を活かして働くことができ、収入が安定していて福利厚生も充実している