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文脈効果とは?心理学の例と身近な例は?

崩れたB

文脈効果とは

文脈効果とは、対象となる刺激(情報)の持つ意味が、前後の文脈や状況などの影響を受けて変化することです。

例えば、誰かが「かいとうしてください。」と言ったとします。

その発言がテスト会場でなされたものであれば、テストの問題に「回答してください。」という意味です。

しかし、台所での発言であれば、肉や魚を「解凍してください。」という意味になります。

同じ言葉なのに発せられた状況によって意味が変化しています。

このように、前後の文脈や状況の影響を受けて、刺激の意味が変化することが文脈効果です。

文脈効果の実験

文脈効果は、アメリカ合衆国の認知心理学者ブルーナー,J.S.が、1955年に「Journal of General Psychology」で発表したことで世の中に知られることになりました。

ブルーナーは、先行刺激として与えた文字群によって「崩れたB(Broken B)」がどのように読まれるかを調べる実験を行い、文脈効果を提唱しました。

崩れたB

  1. 被験者を2つのグループに分ける
  2. 1つめのグループには先行刺激として「L・M・Y・A」というアルファベットを見せた後に「崩れたB」を読ませる
  3. 2つ目のグループには先行刺激として「16・17・10・12」という数字を見せた後に「崩れたB」を読ませる

実験の結果、先行刺激として「L・M・Y・A」を与えられた被験者の多くが「崩れたB」を「B(ビー)」と読み、「16・17・10・12」を与えられた被験者の多くが「崩れたB」を「13(じゅうさん)」と読みました。

ブルーナーは、この実験結果から、「人がある対象を認知するとき、対象そのものの刺激(情報)だけでなく、その周辺の刺激も踏まえて認知している。」と結論付けました。

ポイント
  • 「L・M・Y・A」の後に「崩れたB」:「B」と読まれやすい
  • 「16・17・10・12」の後に「崩れたB」:「13」と読まれやすい

ブルーナーは、言語、記号、文章を理解するときに、先行刺激と後続刺激の関係によって知覚が明確化または変容する現象を文脈効果と名づけました。

しかし現在は、知覚や記憶の対象となる刺激を取り巻く環境、その前後の時間軸まで含めて「文脈」に含まれると考えられています。

また、文脈効果が持つ意味も、知覚や記憶などに生じる促進的効果や抑制的効果を含むものに拡大されています。

マーケティングにおける文脈効果の活用例

文脈効果は、マーケティングにおいて活用されています。

AといえばBという文脈を作成する

マーケティングにおいて最も基本的な文脈効果の活用は、「AといえばB」という文脈を作るものです。

例えば、以下のような例が考えられます。

  • 「北海道」といえば「夕張メロン」
  • 「夏」といえば「スイカ」
  • 「ビアガーデン」といえば「生中」

「A(場所、季節、状況など)といえばB(商品)」という文脈を作って消費者に認識させることにより、Aという先行刺激に接するとBという商品が思い浮かべるようになります。

対象を取り巻く環境を変える

対象商品を取り巻く環境を変えることも、文脈効果を活用したマーケティングの方法です。

  • スーパーで、野菜や果物を陳列棚に並べる→特設コーナーを設け、産地が書かれた木箱に入れて並べる
  • たこ焼きを紙皿に入れて出す→高級感のある陶器の器に入れて出す
  • 商品見本として素人が撮影した写真を見せる→プロのカメラマンが撮影した写真を見せる

 

いずれも対象商品そのものは変化していません。

しかし、対象商品が置かれた環境を変えることにより、消費者が抱くイメージは変化し、購買意欲を高まります。

イメージを付与する

対象商品にキャッチコピーやイメージを付与することも、販売促進効果が得られます。

「24時間戦えますか。」-リゲイン

「前略、僕は日本のどこかにいます。」-青春18きっぷ・2000年冬(JR)

「日本の女性は、美しい」-TSUBAKI(資生堂)

「英語が話せると。10億人と話せる。」-ジオス

対象商品と関係のない内容でも、長期にわたって同じキャッチコピーで宣伝を継続して印象づけたり、商品の特徴を一言で表現したりすることで、消費者の中に商品のイメージができあがります。

そして、できあがったイメージがプラスであれば、消費者を「買ってみようか。」という気にさせることができます。

文脈効果とプライミング効果

文脈効果と類似した現象にプライミング効果があります。

プライミング効果とは、先行する刺激(学習や記憶の課題)の処理が、無意識のうちに、後続の刺激に対する処理を促進または抑制する効果です。

英語では「priming effect」と表記され、日本語では「プライミング効果」や「先行刺激呈示効果」と訳されています。

プライマー先行する刺激
ターゲット後続の刺激

プライミング効果は、プライマーとターゲットの関係によって直接プライミング効果と間接プライミング効果に分類されます。

直接プライミング効果

(反復プライミング効果)

間接プライミング効果

(連想プライミング効果)

説明プライマーとターゲットで同じ刺激(学習や記憶の課題)が繰り返されることで生じるプライマーとターゲットの刺激が異なるが、連想される関係にある場合に生じる
観察されるレベル知覚レベル意味レベル
具体例プライマーとして「サイコロ」という単語を提示すると、ターゲットである「サ◯コ◯」の単語完成課題の正答率が上がるプライマーとして果物の写真を見せた後に、「赤て丸い食べ物は?」と聞くと「リンゴ」と答える。

プライミング効果は、長期記憶(非宣言的記憶)の1つで、文脈効果にも影響を及ぼしていると考えられています。

プライミング効果については、「プライミング効果とは?具体例と心理学の実験内容は?」で詳しく解説しています。

まとめ

文脈効果

対象刺激の持つ意味が、前後の文脈や状況などの影響を受けて変化する現象

マーケティングにおける活用例
  • AといえばBという文脈を作成する
  • 対象を取り巻く環境を変える
  • イメージを付与する
プライミング効果

先行する刺激(学習や記憶の課題)の処理が、無意識のうちに、後続の刺激に対する処理を促進または抑制する効果

【参考】

  • 認識の心理学 与えられる情報を乗り越える|ブルーナー著、平光昭久訳|明治図書