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目標設定理論とは?ロック・ベンサムの理論と自己効力感の関係は?

目標設定理論

目標設定理論とは

目標設定理論とは、アメリカ合衆国の心理学者ロック,E.とレイサム,G.が提唱した、目標設定という要因に着目したモチベーション(動機づけ)理論です。

従前のモチベーション理論は、人材のやる気を引き出すメカニズムに着目し、人材の欲求や行動の動機など心の分析が盛んに行われてきました。

例えば、マズローの欲求5段階説、マクレガーのXY理論、ハーズバーグの動機づけ・衛生理論(二要因論)などを挙げることができます。

一方でロックは、アメリカ合衆国の社会心理学者バンデューラ,A.の提唱した「自己効力感(セルフ・エフィカシー)」という概念に着目しました。

自己効力感とは、「ある状況において、自分が行動の主体であり、行動をコントロールできており、外部からの要請にも対応できるという自分自身の認知」のことです。

「自分がこれからしようとしている行動について、どれくらいできると思っているかという自信」と言い換えることもできます。

引用:自己効力感(セルフ・エフィカシー)|バンデューラの社会的認知理論|psycho-lo

バンデューラは、自己効力感に基づいて、人が何らかの行動を予定している場合、その行動を成し遂げられるという自信があるほど、困難な状況に直面しても粘り強く挑戦し、より高い成果を残す傾向があると主張しました。

ロックは、この自己効力感という概念が組織の人材管理に応用できると考え、レイサムとともに目標設定理論をまとめました。

目標設定理論では、目標設定によって人材のモチベーションが変動すると説明されます。

目標設定理論は、以下のような循環で説明されることが多くなっています。

目標設定→自己効力感(効果予期)→具体的で困難な目標を達成するための学習と努力→結果→フィードバック→モチベーションの維持・向上→自己効力感→目標達成のための学習と努力(以下循環)

人材が自ら納得した上で困難な目標を設定することで自己効力感が得られ、目標設定のための学習や努力を継続して結果が出ます。

結果が人材へフィードバックされることでモチベーションが維持・向上し、それが自己効力感を高めて、さらに目標達成に向けて取り組むという好循環が生じるのです。

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目標設定理論における目標設定に必要な4つの要件

目標設定理論では、目標を設定するだけではモチベーションを高める効果は得られず、人材の自己効力感を高めるような目標設定が必要だと説明されます。

そして、人材の自己効力感を高める目標設定には、目標の困難度、目標の具体性、目標の受容、フィードバックという4つの要件が重要とされています。

目標の困難度

目標の困難度とは、目標設定の難易度に関する要件です。

目標設定理論では、難易度の高い目標を設定する方が、難易度が低い目標を設定するより人材のモチベーションを引き出す効果があり、業績も高くなると説明されます。

つまり、人材の能力によって何とか達成できる程度の高めの目標設定をする方が、簡単に達成できる目標設定をするよりも自己効力感が得られやすく、努力を継続して目標を達成しようというモチベーションを持続させやすいということです。

難易度の高い目標とは、参加メンバーの人間関係調整を要するプロジェクト、通常より納期が短いプロジェクト、人材の特殊技能を活用しないと達成が難しいプロジェクトなど、創意工夫や知識・経験・スキルの活用が求められる目標設定などを挙げることができます。

ただし、人材の能力では到底達成できない目標設定を掲げてしまうと、自己効力感が得られずモチベーションは向上しにくくなってしまいます。

目標の具体性

目標の具体性とは、目標設定の具体度に関する要件です。

明確かつ具体的な目標を設定する方が、曖昧に目標を設定するよりも自己効力感が得られやすく、モチベーションが向上・持続して業績も向上するとされます。

つまり、何のためにその目標を設定するのか(何のために仕事をするのか)を具体的に示した場合と、何も示さなかった場合では、前者の方がモチベーションが高くなるのです。

例えば、具体的な数値目標や期間目標を設定することにより、人材が達成可能か否かや自らの進捗状況や業績を実感しやすくなり、モチベーションの維持・向上につながります。

一方で、「できるだけ売り上げを伸ばそう」「なるべき早期に仕上げよう」などの曖昧な目標では、何をどの程度取り組めばよいのか分かりにくく、人材が自ら頑張ろうという気になりにくいものです。

目標の受容

目標の受容とは、人材自らが設定された目標を受容する程度に関する要件です。

目標設定は、人材が自ら設定に関与して納得した方が、上意下達によって一方的に設定されるよりも、モチベーションを向上・持続させやすいと考えられています。

つまり、自ら目標設定に関与して納得した方が自己効力感が得られ、仕事へのモチベーションが高まり、持続させることができるのです。

フィードバック

フィードバックとは、設定した目標の達成度やそれに伴う業績を人材に還元することに関する要件です。

目標設定理論では、人材に対して適切にフィードバックを行うことがモチベーションの持続に大きな効果をもたらすと説明しています。

目標設定をして終わりではなく、フィードバックを組み合わせて設定した目標の達成のためにサポートが行われることで、モチベーションを持続させる効果があるのです。

また、設定した目標の進捗具合が芳しくない場合には、目標設定の見直しや業務への取り組み方の見直しを行うこともできます。

目標設定理論では、フィードバックの回数よりも時期が重要視されます。

つまり、目標設定から期間を空けすぎずにフィードバックされる方が、期間が空いてからフィードバックされるより、業績が向上すると考えられているのです。

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まとめ

目標設定理論とは

ロックとレイサムが提唱した、目標設定によってモチベーションが変動するという理論

目標設定理論における目標設定に必要な4つの要件
  • 目標の困難度:目標の難易度に関する要因
  • 目標の具体性:目標の具体度に関する要因
  • 目標の受容:設定した目標を人材が受け入れているかどうかに関する要因
  • フィードバック:設定した目標に対するフィードバックに関する要因

【参考】