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中途障害者とは?中途障害者の障害受容と心理の変化について

中途障害者

中途障害者とは

中途障害者とは、生まれた後に病気や事件・事故などによって障害を負った人のことです。

障害の内容や程度に関わらず、後天的に負った場合は中途障害者と呼ばれます。

例えば、脳血管性障害、原因不明で現在の医療では治療できない難病、交通事故、傷害事件、災害、テロなどで後天的に障害者になった人です。

障害の内容は半身麻痺、言葉を話せなくなる、歩けなくなる、記憶力の低下、理解力や判断力の低下、コミュニケーション能力の低下など様々です。

中途障害者の障害受容過程(心理)

障害受容とは、障害者が、障害を直視して立ち向かい、障害と寄り添って生きることが自分の生き方の一部であることを受け入れることです。

「障害という個性を持った一人の人間として自分を位置づける」と言い換えることもできます。

中途障害者が、障害を負ったことをどのように受け止め、障害を自分の中にどう位置づけ、障害のある自分をどのように受け入れるのかということは、その後の生活に大きく影響を及ぼします。

障害を受容することで、障害と折り合いをつけて共存しながら前向きに生活を送れるようになります。

障害受容理論

日本のリハビリテーション心理学の現場では、「人生の途中に負った身体機能の障害を受容することで、心理的に回復する」という障害受容理論に基づいて、中途障害者への支援が行われています。

また、中途採用者の障害受容過程には5つの段階があるとされています。

障害受容過程具体的な内容
ショック期・病気を発症したり、事故や事件に巻き込まれたりした直後の時期

・強いショックを受けているが、自分の身に何が起こったのか理解できておらず、障害が残るかどうかも分かっていない状態

否認期・治療が進み、自分の身に何が起こり、どのような状態なのかを理解するが、心理的な防衛反応として否認が生じ、障害が残ることを認めることができない時期

・回復への希望を過剰に抱きやすい

・心理的なショックを和らげるために必要な時期だが、障害を認めていないのでリハビリなどに積極的になれない

・否認期が長引くとリハビリ拒否などの影響が出る

混乱期・抱えた障害を受け止めることができず、気持ちが混乱する時期

・気持ちのやり場がなく、他人に感情をぶちまけたり、一方的に攻め立てたりする

・抑うつ症状が現れ、自殺企図も見られることがある

・家族や病院関係者との衝突して関係が悪化しやすい

努力期・障害を乗り越えるために自分が努力する必要があると気付き始める時期

・他人に八つ当たりしても、絶望や無力感を抱いても障害はなくならないと理解する

受容期・障害を受け止め、障害のある自分を受け入れて、残った機能の活用に向けた行動や価値観の変化が起こる時期

・「障害が自分の価値を下げるわけではない」という価値観を持つ

・他人との比較や、一般的な価値観に左右されるのではなく、障害という個性を持った自分をポジティブに受け入れれる

障害受容の過程では、ショック期から受容期まで一方通行で進み、とんとん拍子に障害を受容していけるわけではありません。

障害受容は「3歩進んで2歩下がることができれば上出来」と言われますが、各時期を行きつ戻りつしながら、少しずつ少しずつ受容に向かって進んでいくものであり、最後まで受容できない人も少なからずいます。

また、障害の受容と周囲の偏見の克服は互いに影響しあいながら進んでいきます。

その他の障害受容に関する理論

障害受容の過程については、他にもコーン,N.やフィンク,S.I.の危機モデルが有名です。

  • コーン:ショック→回復への期待→悲嘆→防衛→適応
  • フィンク:ショック→防御的退行→承認→適応と変化

公認心理師試験の出題歴

中途障害者は、第1回公認心理師試験で出題されました(正答は赤字)。

問21 中途障害者の障害受容について、正しいものを1つ選べ。

①他責を示すことはない。

②一旦前進し始めると、後退することはない。

③他者や一般的な価値と比較して自分を評価することが必要である。

④障害によって自分の価値全体を劣等だと認知することが必要である。

⑤ショック期の次の期では、障害を認めつつも、一方で回復を期待した言動がしばしばみられる。

引用:第1回公認心理師試験問題

公認心理師試験については、「公認心理師とは?受験資格と特例措置、試験合格率は?臨床心理士との違いは?」で詳しく解説しています。

まとめ

中途障害者とは

後天的に障害を抱えた人

中途障害者の障害受容過程(心理)
  • 上田:ショック→否認→混乱→努力→受容
  • コーン:ショック→回復への期待→悲嘆→防衛→適応
  • フィンク:ショック→防御的退行→承認→適応と変化
公認心理師試験の出題歴

第1回試験・問21

【参考】

  • 障害の受容-その本質と諸段階について|上田敏 他
  • Understanding the process of adjustment to disability.|Cohn, N. |Journal of Rehabilitation
  • Crisis and motivation: A theoretical model. |Fink, S.I. |Archives of Physical Medicine and Rehabilitation