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ハーズバーグの動機付け・衛生理論(二要因理論)とは?動機づけの方法は?

ハーズバーグの動機づけ・衛生理論

ハーズバーグの動機づけ・衛生理論(二要因理論)

ハーズバーグの動機づけ・衛生理論とは、アメリカ合衆国の臨床心理学者ハーズバーグ,F.が提唱した、仕事への満足や不満足を生じさせる要因(モチベーション)に関する理論です。

1959年に刊行された「作業動機の心理学(The Motivation to Work)」で発表されて注目を浴び、現在も代表的なモチベーション理論の一つとされています。

ハーズバーグの動機づけ・衛生理論(二要因理論)の特徴

ハーズバーグの動機づけ・衛生理論の特徴は、職務の満足に関係する要因(動機づけ要因)と、職務の不満足に関係する要因(衛星要因)は全く別のものだと考えるところです。

つまり、特定の要因が満たされると満足度が上がり、同じ要因が不足すると満足度が下がるわけではないと考えられています。

例えば、一般的には「給料が上がると満足度が上がり、下がると満足度が下がる。」と思われがちです。

しかし、ハーズバーグの動機づけ・衛生理論では、「給料が下がると満足度は下がるが、給料が上がっても満足度が下がらないだけで上がることはない。」、つまり、「(給料という要因の過不足で満足度が上下するわけではない。)」と考えます。

ポイント
  • 給料が下がる→職務満足度が下がる
  • 給料が上がる→職務満足度が下がらない(職務満足度は上がらない)

ハーズバーグの動機づけ・衛生理論(二要因理論)の実験

ハーズバーグの動機づけ・衛生理論は、1959年にハーズバーグとピッツバーグ心理学研究所が行った研究結果に基づいています。

研究では、約200人の技術者と経理担当事務員に対して、「仕事上のどのようなことに幸福や満足を感じたか。」、「仕事上のどのようなことに不幸や不満足を感じたか。」と質問し、その結果が分析されました。

分析の結果、回答者が職務に満足や幸福を感じたと答えた要因と、職務に不幸や不満足を感じたと答えた内容は全く別のものであることが分かりました。

つまり、職務に満足を感じる要因の反対は、不満足を感じる要因ではないことが明らかになったのです。

ハーズバーグは、分析結果から、人の欲求には低次の欲求と高次の欲求の2種類があると仮定しました。

低次の欲求苦痛や欠乏を避けたいという欲求
高次の欲求精神的に成長したいという欲求

そして、低次の欲求は満たすが高次の欲求は満たさない要因を「衛生要因」、高次の欲求は満たすが低次の要因は満たさない要因を「動機づけ要因」と名づけました。

衛生要因低次の欲求を満たす要因
動機づけ要因高次の欲求を満たす要因

また、人が仕事に満足を感じるときはその関心が「仕事そのもの」に向いており(動機づけ要因が影響を及ぼしている)、人が仕事に不満を感じるときはその関心が「職場環境」に向いている(衛星要因が影響を及ぼしている)という考えを示しました。

以下、衛生要因と動機づけ要因の内容を具体的に確認していきます。

衛生要因

衛生要因とは、苦痛や欠乏を避けたいという低次の欲求に影響を及ぼす要因です。

衛生要因は、職場環境や待遇と密接に関連しています。

  • 会社の方針・政策
  • 会社の管理方式
  • 監督方法
  • 職場の対人関係
  • 作業環境
  • 作業条件
  • 身分
  • 安全保障
  • 福利厚生
  • 給与

衛生要因が不足すると、職場への不満足を生じます。

しかし、衛生要因が満たされていても、職務の満足感を向上させることには直結しません。

衛生要因は、仕事に対する不満足を生じさせないという予防的な役割は果たしますが、仕事に関する知識・スキルの習得や業績向上へのモチベーションを向上させる要因にはなりにくいと考えられています。

つまり、いくら衛生要因を満たしても(不満を取り除いても)、仕事への満足感を向上させてモチベーションを向上させることは難しいのです。

また、衛生要因が一度満たされると、徐々に当然の権利だと考えられるようになり、満足感を高めるには継続的に補充しなければならない衛生要因もあります。

例えば、作業条件、作業環境、安全保障、福利厚生などは、一度満たされると当然のことだと考え、より良い条件や環境を求めやすいものです。

動機づけ要因

動機づけ要因とは、精神的に成長したいという高次の欲求に影響を及ぼす要因です。

動機づけ要因は、仕事の内容そのものと密接に関連しています。

  • 仕事上で成功や達成を経験すること
  • 評価されること
  • 仕事の内容
  • 責任と義務を与えられること
  • 昇進
  • 成長の可能性

動機づけ要因が満たされていると、仕事への満足度が高い状態で維持され、自己研鑽や業績向上へのモチベーションを向上させる要因となります。

一方で、動機づけ要因が不足しても、必ずしも職場への不満足が生じるわけではありません。

ハーズバーグの動機づけ・衛生理論に基づくと、従業員のモチベーション維持には、適度に衛生要因を満たして職務不満足を抱かせないようにしながら、動機づけ要因を与えて職務満足を高めるという2重の対策が必要になります。

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ハーズバーグ語録

ハーズバーグが動機付け・衛生理論の説明で使用した「KITA」と「アダムとアブラハム」という言葉について触れておきます。

KITA(Kick In The Ass)

KITA(Kick In The Ass)とは、ハーズバーグが、ひとまとめにした衛生要因に対してつけた名前です。

KITAは、1968年のハーバードビジネスレビューに掲載された論文「モチベーションとは何か(One more time: how do you motivate employees?)」の中で、ハーズバーグが使用した単語です。

ハーズバーグは、論文の中で、管理職が従業員に対して仕事へのモチベーションを与えることができない理由を説明するため、以下のとおり説明しています。

「従業員の尻を蹴っても、給与や利得をたくさん与えても、職場環境を快適にしても、勤務時間を減らしても、モチベーションを高めることはできないことを、彼らは再び論証した。そうしたことでは苦痛を避けることしかできない。モチベーションを真に高める要因は、目に見えないか、仕事そのものに内在するものである。」

出典:One more time: how do you motivate employees?

比喩的な表現ではありますが、衛生要因を満たすだけでは従業員の仕事へのモチベーションを向上させられないことを端的に示す言葉として知られています。

アダムとアブラハム

アダムとアブラハムとは、ハーズバーグが、人の基本的欲求を反対方向に向いた2本の矢印にたとえて説明するときに、矢印につけた名前です。

アダムとアブラハムという表現が登場するのは、1966年の「仕事と人間性―動機づけ―衛生理論の新展開(Work and the Nature of Man)」においてです。

ハーグバーグは、反対方向に向いた2本の矢印のうちの1本を「アダム」として衛生要因に関連づけ、もう一本を「アブラハム」として動機づけ要因に関連付け、動機づけ・衛生理論を説明しています。

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まとめ

ハーズバーグの動機づけ・衛生理論(二要因理論)

ハーズバーグが提唱したモチベーション理論

  • 衛生要因:苦痛や欠乏を避けたいという欲求に影響を及ぼす要因
  • 動機づけ要因:精神的に成長したいという欲求に影響を及ぼす要因
ハーズバーグ語録
  • KITA
  • アダムとアブラハム

【参考】

  • One more time:how do you motivate employees?
  • 仕事と人間性―動機づけ―衛生理論の新展開(Work and the Nature of Man)|北野利信訳|東洋経済新報社