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内言と外言(内言語と外言語)とは?心理学者のピアジェとヴィゴツキーの主張

内言と外言

内言と外言とは(内言と外言語とは)

心理学においては、私たちは、日常生活の中で内言(内言語)と外言(外言語)という2つの言語活動を行っていると考えられています。

内言(内言語)とは

内言(内言語)とは、音声などを伴わない思考のための内的な言語活動であり、そこで用いられる言語(思考や概念など)です。

英語では「inner speech」と表記され、日本語では「内言」や「内言語」と訳されます。

内言(内言語)は、「音声や書字などで外部へ表出される言語(外言、外言語)」と同じ形式の言語が内なる発話として表出されることもあれば、思考やイメージなど言語以前の形式で行われることもあります。

外言(外言語)とは

外言(外言語)とは、音声などを伴う外界へ向けて発せられる言語活動です。

英語では「outer speech」と表記され、日本語では外言(外言語)と訳されます。

一般的に言語といえば外言語のことです。

内言と外言の区別

言語学者のソシュール,F.は、内言語と外言語は性質の異なる言語活動であり区別すべきだと主張し、外言語を「ラング」、内言語と似た用語として「ランガージュ(象徴機能、意識下・無意識化における思考の体系)」という用語を使用しました。

また、言語学者のチョムスキー,N.は、内言語を「I言語、脳と心に備わった知識体系」、外言語を「E言語、内言語の産出物として外界へ表出される言語」として区別しました。

チョムスキーは、内言語を「子どもが言語獲得の初期に得る言語の青写真」と定義し、表出された外言語ではなく、内言語を対象として言語に関する人の普遍的能力を明らかにすべきと考えて生成文法の研究を行っています。

内言と外言(内言語と外言語)に関する心理学の研究

心理学の世界においては、子供の言語発達の中で内言と外言のどちらが先に獲得されるかという議論が有名です。

ピアジェの内言と外舷に関する考え方

スイスの発達心理学者ピアジェ,J.は、思考には「言語を必要としない、行動を伴う思考や具体的な対象に関する思考」と「言語を必要とする、抽象的かつ論理的な思考」があるとし、内言と外言を定義しました。

内言音声を伴わない、頭の中で概念を操作するための言語
外言音声を伴うコミュニケーションのための言語

ピアジェは、内言を用いて思考できるようになってから外言を話し始めるようになると考えました。

言語の発達は内言から外言へと進むと考えたのです。

また、幼児期の子どもが遊びの場面などで発する私的言語を、コミュニケーションのための社会的な言語と、独語や反復などの非社会的な言語が入り混じった状態だと考え、自己中心語と呼びました。

そして、自己中心性が減少してコミュニケーション機能を備えた発話が増えていくにつれ、成熟した言語が機能するようになると考えていました。

MEMO

ピアジェの考える言語発達の順序:内言→(自己中心語)→外言

ピアジェの発達理論については、「ピアジェの発生的認識論とは?認知発達段階説における発達段階の内容は?」で詳しく解説しています。

ヴィゴツキーの内言と外言に関する考え方

旧ソビエト連合の心理学者ヴィゴツキー,L.S.は、言語を「人の思考を媒介する道具(記号)」と捉え、内言と外言を定義しました。

内言音声を伴わない、内面化された思考の道具としての言語(考えるための言語)

特徴:述語中心、省略や圧縮が多い、非文法的

外言音声を伴う、伝達の道具としての言語(コミュニケーションツールとしての言語)

特徴:主語中心、文法的に整合性がとれている

ヴィゴツキーは、「人の思考は、言語を使用する場面で生じる相互作用と切り離すことができない」と考え、人の言語発達が他人との間で行われる外言から始まって、外言が内在化されて内言へ転化していくと考えました。

簡単に言い換えると、子供は「考えてから言葉を発するのではなく、言語を使って他人とコミュニケーションをとるうちに外的な言語が獲得され、それが内言としても使えるようになる。」ということです。

言語は「外言から内言へ」と発達(移行)していくと考えたのです。

また、自己中心語については、内言と外言が分化する過程で、頭の中で考えていることに発声が伴ったものであるとし、外言から内言へと進化する過程で起こる現象だと主張しました。

ピアジェは、自己中心語を自己中心性という幼さの表れだと捉えていましたが、ヴィゴツキーは「外言と内言をつなぐ役割を果たす」という肯定的な機能と考えたのです。

MEMO

ヴィゴツキーの考える言語発達の順序:外言→(自己中心語)→内言

ヴィゴツキーの発達理論については、「発達の最近接領域とは?具体例とヴィゴツキーの発達理論の概要」で詳しく解説しています。

まとめ

内言と外言とは(内言語と外言語とは)
  • 内言(内言語):音声を伴わない、思考のための言語活動
  • 外言(外言語):音声を伴うコミュニケーションのための言語活動
内言と外言(内言語と外言語)に関する心理学の研究

内言と外言が獲得される順序

  • ピアジェ:内言→(自己中心語)→外言
  • ヴィゴツキー:外言→(自己中心語)→内言(社会から個人へ)

自己中心語の捉え方

  • ピアジェ:幼児の自己中心性という幼さの表れ(肯定的な意味合いなし)
  • ヴィゴツキー:外言から内言へ変化する過程(肯定的な意味合い)