心理学用語や心理学を活かせる仕事を解説

ユングの発達理論の発達段階における人生の正午と個性化の過程とは?

ユング 発達理論 人生の正午 個性化

ユングの発達理論(ライフサイクル論)とは

ユングの発達理論(ライフサイクル論)とは、スイスの心理学者であり精神分析学者のユング,C.G.が提唱した発達理論です。

ユングは、分析心理学(ユング心理学)の創設やコンプレックスの概念を提唱したことで知られる人物ですが、人の発達(人生)をサイクルとして捉えた最初の人物であるとも言われています。

ユングの発達段階

ユングの発達理論では、人のライフサイクルを太陽の一日の運行(日の出から日の入りまで)になぞらえて「少年期」、「成人前期」、「中年期」、「老年期」の4つに分類され、半円の図で表示されます。

半円の左半分が太陽が昇っていく午前(少年期と成人前期)、真ん中が正午、右半分が太陽が沈んでいく午後(中年期と老年期)です。

各時期の間には転換期という危機が設定され、ある時期から次の時期へ進むには、それまでの考え方や行動を大きく変える必要があるが、人は簡単には変化することはできず、危機の乗り越え方がその後の発達に影響が及ぶとされています。

そして、人生の中で問題が多いのは成人前期と中年期、人生の危機の中で特に大きな危機が人生の午前から午後へと移行する「中年期の転換期」と説明されます。

つまり、太陽が昇る(=心身ともに成長し、周囲の世界が広がっていく)時期から、太陽が暮れる(=心身ともに衰え、老いと死へ向かっていく)時期への転換期が重要と考えられたのです。

人生の正午とは

人生の正午とは、成人前期から中年期に差し掛かる時期で、ユングが人生最大の危機と考えた時期です。

ユングのライフサイクル論の中では「中年期の転換期(人生の午前から午後に移行する時期)」で、人生を80年とした場合、40歳頃が人生の正午ということになります。

人生の正午には、キャリア形成と職業選択(現職を続けるかどうかなど)、家族の悩み(夫婦関係や子どものことなど)、心身の衰え(物忘れが増えた、老眼が始まった、体力が落ちたなど)など心身や周辺環境が変化し、戸惑いや混乱し、アイデンティティの揺らぎが生じます。

ユングは、人生の正午について、以下のように述べています。

太陽は、予測しなかった正午の絶頂に達する。予測しなかったというのは、その一度限りの個人的存在にとって、その南中点を前もって知ることができないからである。正午12時に下降が始まる。しかも、この下降は午前すべての価値と理想の転倒である。太陽は、矛盾に陥る

また、男性は、社会的成功を目指して様々な犠牲を払いながら邁進するが、40歳前後で人生の正午を迎えると、現状がずっと続くわけではないと気付き、それまで犠牲にしてきたものを取り戻す必要がある。」とし、人生の後半を個性化の過程と呼びました。

個性化とは

ユングは、人の心理的発達が生涯にわたって継続すると考え、人生の課題を2つに大別しました。

前半(少年期と成人前期)の課題は、自我とペルソナの発達です。

この時期には、アイデンティティを確立して社会的・文化的に適応することにより、所属する社会において大人としての役割を果たせるようになることが課題とされます。

例えば、働くこと、家族を持つこと、子育てをすることなどが前半の課題となります。

後半(中年期と老年期)の課題は、人生の前半で犠牲に(無視)してきた潜在的な能力や性質を活用し、それまで以上に自分らしくなること(=個性化)」です。

「社会的成功のために犠牲にしたものに目を向けて、自分とは何かに気づき、自分らしさを追求すること」と言い換えることもできます。

ユングが提唱する個性化とは、自分勝手に生きることではありません。

個性化は、社会や他人との調和を維持しながら実現できるものであり、また、そうでなければならないとされています。

ユングは、人生の正午以降(人生の後半)は、個性化の過程であるとしています。

中年の危機

人生の正午から後半にかけて、自分の生き方や価値観をうまく変えることができない場合、アイデンティティが拡散し、強い混乱状態に陥ります。

この状態を、心理学者のレビンソン,D.J.は「中年の危機(Midlife crisis)」と名づけました。

レビンソンは、中年の危機が起こる時期には、それまでの人生を振り返って再評価し、不満があるところを修正するとともに、新しい可能性を試し、人生の午後に入るに際して生じた問題を見つめる必要があると述べています。

まとめ

ユングの発達理論(ライフサイクル理論)とは

ユングが提唱した発達理論

人のライフサイクルを日の出から日の入りまでになぞらえ、「少年期」、「成人前期」、「中年期」、「老年期」の4つに分類

次の発達段階(時期)に進むためには、それまでの考え方や行動を大きく変えなければならないが、簡単に変えることができず、うまく変えられないとその後の発達に影響を及ぼす

人生の正午とは

成人前期から中年期に至る時期

ユングは、人生の正午が人生の転換期の中で最大の危機と考えていた

個性化とは

人生の前半で犠牲にした潜在的な能力などを活用し、自分らしくなること

レビンソンは人生の正午前後の問題を「中年の危機」と表現