心理学用語や心理学を活かせる仕事を解説

法務教官とは?試験の難易度と合格率、転勤などの待遇は?

法務教官とは

法務教官とは、少年院などの矯正施設や少年鑑別所などに勤務する専門職員です。

法務省専門職員(人間科学)採用試験(法務教官区分)の合格者の中から採用され、心理学などの人間科学の知見を用いて、非行少年などの個性や能力を伸ばして健全な社会人として社会復帰させるための指導や教育を行う仕事です。

対人援助職という特性上、心理学などの専門的知見に加え、幅広い知識・経験や人としての温かさを持って非行少年などと接することも求められます。

非行少年など未成年者を担当することが多いですが、刑務所や拘置所などに勤務して犯罪をした成人に対し教育や指導を行うこともあります。

法務教官の仕事内容

法務教官の勤務先としては以下のような機関があり、仕事内容は勤務先によって大きく異なります。

少年鑑別所、少年院、刑務所、少年刑務所、拘置所など

この記事では、法務教官の主な勤務先である少年鑑別所と少年院における仕事内容を解説します。

少年鑑別所における法務教官の仕事

少年鑑別所とは、家庭裁判所の観護措置決定を受けた非行少年などを収容して資質や環境の調査を行い、非行原因の解明や処遇方針の策定を行う施設です。

少年鑑別所の事務は、鑑別を含めて3つに大別されます。

  • 鑑別対象者の鑑別を行う
  • 観護措置がとられた少年などを収容し、必要な観護措置を行う
  • 地域社会の非行や犯罪の防止に関する援助

少年鑑別所における法務教官の仕事は、収容された少年などに規則正しい生活を送らせ、落ちついて鑑別所生活が送れるようにしながら面接や行動観察を実施します。

そして、随時、矯正心理専門職(法務技官(心理))と協力しながら、非行に結び付いた少年の問題性を明らかにし、問題性の改善に必要な処遇を検討します。

処遇については、大きく社会内処遇(保護観察)か処遇処遇(少年院送致)の意見があり、少年の資質や環境などを考慮し、社会内での更生が可能か見込めるかどうかで判断されます。

日々の鑑別所生活の中では、少年などが社会復帰した後のことを考慮し、少年などの希望に応じて、学習支援や教養教育、情操の涵養など教育的な働きかけを行うのも法務教官の大切な仕事です。

少年鑑別所の職員の中で最も少年などと接する時間が長く、関係性に基づいて指導や教育を行うことができます。

少年院における法務教官の仕事

少年院とは、家庭裁判所で少年院送致決定を受けた少年などが収容され、矯正教育を受ける施設です。

少年院には、大きく4つの種類があります。

初等少年院心身に著しい故障のない、おおむね12歳以上おおむね16歳未満の者
中等少年院心身に著しい故障のない、おおむね16歳以上20歳未満の者
特別少年院心身に著しい故障はないが犯罪傾向の進んだ、おおむね16歳以上23歳未満の者
医療少年院心身に著しい故障のある、おおむね12歳以上26歳未満の者

少年院という名称ですが、特別少年院と医療少年院は20歳を過ぎても在院することがあります。

また、特別少年院は、事情に応じて16歳未満の少年院収容受刑者も収容されます。

男子と女子はそれぞれ別の少年院に収容され、女子が収容される少年院は「女子少年院」と区別されることもあります。

少年院では、少年などが社会復帰した際に再非行に至らず、健全な社会生活を送ることができるよう、各種指導や各種矯正プログラムが実施されています。

  • 一般的な矯正教育:生活指導、教科(義務教育で必要な教科、必要があれば中等教育に準ずる教科)、職業補導、適当な訓練、医療(少年院法第4条)
  • 個別プログラム:対人関係指導、薬物指導、性指導、親子関係指導など

少年院に勤務する法務教官は、少年などに対する生活指導、教科指導、職業指導などを担当します。

少年などの問題性に応じて、対人関係指導や薬物指導などの個別プログラムの実施について法務技官(心理)と検討し、実際に対応するのも法務教官の大きな役割です。

また、出院後の生活環境の調整、就学または就労支援など、少年などが社会復帰後に生活を軌道に乗せられるように、出院前から関係機関と有機的に連携して立ち回る仕事もあります。

少年などの矯正教育計画が思うように進まず、収容継続が必要になった場合には、調査に訪れた家庭裁判所調査官と面接して少年の状況を伝える仕事も発生します。

法務教官の待遇

法務技官(心理)は国家公務員なので、他の心理職と比較して収入が安定しており、福利厚生も充実しています。

以下、少年鑑別所に勤務する法務教官の待遇を例示しておきます。

給与公安職俸給表(二)が適用

※一般の国家公務員に適用される行政職俸給表(一)よりも給与水準が12%程度高い

東京都の場合、地域手当込みで初任給が246,360円

手当扶養手当、住居手当、通勤手当、期末・勤勉手当、超過勤務手当など
勤務時間1週間38時間45分勤務(週休2日)、昼間と昼夜間の交代制勤務制が原則

年次休暇(年間20日)、特別休暇(夏季休暇、産前産後休暇など)、病気休暇、介護休暇、育児休業など

勤務地勤務地:本人の希望を考慮

異動:原則として、採用施設を所管する矯正管区の管轄地域内(全国異動もありうる)

宿舎:勤務先の近くに設置され、原則として無料

制服:定期的に貸与(勤務中は制服着用が原則)

福利厚生健康保険:国家公務員等共済組合に加入し、組合員として病気や怪我、出産などに関連する各種給付を受けることができる

年金:退職、高度障害、死亡などによる年金制度が適用される

その他:疾病予防、人間ドック受検、臨時出費などに対する資金貸付け、財形貯蓄、保険など

法務教官は、収容された少年の生活を24時間体制で見守り、必要な指導や教育を与える立場にあるため、原則として、昼間または昼夜間の勤務を担わなければなりません。

また、制服の着用も義務付けられています。

研修制度

法務教官は、心理学などの人間科学の専門的な知識や技術を駆使して仕事をするため、採用当初から継続的に充実した研修を受けることができる仕組みが整っています。

まず、採用年度には新採用職員として基礎科研修を受け、法務教官としての基礎的な知識を習得します。

また、採用5年目には、矯正研修所で専門性向上のための応用科研修を受けることができ、実務経験で得た知識や経験を整理したりブラッシュアップしたりすることが可能です。

その他、管理職や幹部職員を目指す人向けの高等科研修や教育に関する専門研修など幅広い研修制度が整備されており、キャリアプランに応じて受講することができます。

昇任(昇進)

法務教官の昇任制度は能力主義が採用されており、年齢や性別に関わらず、能力や意欲がある人が承認していくことができます。

一般的には、採用から5年程度で専門官に昇任し、後輩指導などを行います。

また、統括専門官や首席専門官、施設庁などに昇任することもできます。

法務教官になるには

法務教官になるには、法務省専門職員(人間科学)採用試験(法務教官区分)に合格しなければなりません。

法務省専門職員(人間科学)採用試験には、矯正心理専門職区分、法務教官区分、保護観察官区分の3つがあり、重複受検は認められていないため、慎重に選択する必要があります。

受験資格

2019年度の受験資格は、以下のとおりです。

【法務教官】

⑴ 1989(平成元)年4月2日~1998(平成10)年4月1日生まれの者
⑵ 1989(平成元)年4月2日以降生まれの者で次に掲げるもの

ア 大学を卒業した者及び2020年3月までに大学を卒業する見込みの者、並びに、人事院がこれらの者と同等の資格があると認める者

イ 短期大学又は高等専門学校を卒業した者及び2020年3月までに短期大学又は高等専門学校を卒業する見込みの者、並びに、人事院がこれらの者と同等の資格があると認める者

【法務教官(社会人)】
1979年4月2日~1989(平成元)年4月1日生まれの者

 

試験の科目・方法

科目内容時間配分
基礎能力試験公務員として必要な基礎能力

知能:27題(文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈)

知識:13題(自然、人文、社会)

2時間20分2/10
専門試験多肢法務省専門職員(人間科学)として必要な専門的知識

40題出題(全問回答):心理学、教育学、福祉及び社会学に関する基礎(各10題)

2時間20分3/10
専門試験記述法務省専門職員(人間科学)として必要な専門的知識

心理学、教育学、福祉、社会学に関する領域から各1題(合計4題)

1時間45分3/10
人物試験個別面接

人柄、対人関係能力

2/10

その他、身体測定と身体検査が実施されることになります。

合格率(採用の難易度)

2018年度の受験者数、合格者数、合格率は、以下のとおりです。

区分受験者数合格者数合格率
法務教官A
(男性)
83415919%
法務教官B
(女性)
31410433%
法務教官A

(男性・社会人)

692333%
法務教官B

(女性・社会人)

26519%

まとめ

法務教官とは

少年院などの矯正施設や少年鑑別所などに勤務し、心理学などの人間科学の知見や幅広い知識・経験、人としての温かさなどを駆使して、非行少年などを健全な社会人として社会復帰させるための指導や教育を行う仕事

法務教官の仕事内容
  • 少年鑑別所:収容された少年に規則正しい生活を送らせる、気持ちを落ち着かせる、面接や行動観察など
  • 少年院:生活指導、職業指導、教科指導、各種矯正プログラムなど
法務教官の待遇

本文記載のとおり

法務教官になるには

本文記載のとおり

【参考】

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