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マクレランドの欲求理論とは?達成動機の内容とその他の動機の種類は?

アトキンソンモデル

マクレランドの欲求理論とは

マクレランドの欲求理論とは、アメリカ合衆国の心理学者マクレランド,D.C.が提唱した、達成動機(モチベーション)に関する理論です。

マクレランドは、社会の発展や衰退には人の達成動機が反映されると考えました。

つまり、ある社会に所属する人の達成動機がその社会の活性化につながり、ひいてはより大きな社会の経済成長や発展をもたらすと考えたのです。

そして、人の行動には、達成動機、権力動機、親和動機の3つの動機(欲求)が存在する(後に回避動機を追加)という欲求理論を提唱しました。

マクレランドの欲求理論では、どの人も達成動機、権力動機、親和動機の全てを持っているが、そのうちの1つが、個人の人格や経験などの影響で優勢に現れると説明されます。

また、3つの動機はそれぞれ独立したものであり、動機間の階層や移行は想定されていません。

達成動機(達成欲求)

達成動機(達成欲求)とは、達成して成功しようとする動機(欲求)です。

成功や達成によって外から与えられる報酬のためというより、自分自身が成し遂げたいという内から湧いてくる欲求です。

マクレランドは、達成動機を「前回よりもよりうまく、より効率的に行いたいという欲求」と表現しています。

達成動機が高い人には、以下の特徴があると考えられています。

  • より良い成績をあげたいと強く望み、そのための努力を惜しまない
  • 何よりも自分の成長に関心が強く、何でも自ら行うことを望む
  • 適度なリスクをとる
  • 自分の行動の結果について、早期のフィードバックを求める

達成動機は訓練で高くなる

マクレランドは、訓練によって達成動機を高めることができると考え、達成動機を高めるためのプログラム(管理者訓練プログラム)を開発しました。

そして、このプログラムをインドの実業家に実施した結果、実業家の起業などの行動が飛躍的に増加したと主張しています。

権力動機(権力欲求)

権力動機(権力欲求)とは、他人にインパクトを与えて影響力を行使し、コントロールしたいという動機(欲求)です。

権力動機が高い人は、他人と密接な関係を築いて良好な関係を維持するよりも、他人に影響を及ぼすことを重視します。

権力動機が強い人には、以下の特徴があると考えられています。

  • 責任を与えられることを楽しむ
  • 他人から影響を与えられるよりも、他人に影響力を及ぼしてコントロールすることを望む
  • 地位や身分を重視して激しい競争が繰り広げられる状況を好む
  • 結果そのものよりも他人に影響を及ぼすことを重視する

親和動機(親和欲求)

親和動機(親和欲求)とは、他人と友好的で密接な関係性を築きたいという動機(欲求)です。

親和動機が高い人は、他人に影響を及ぼしたり他人をコントロールしたりするよりも、他人と良好な関係を作り上げることを重視します。

親和動機が高い人には、以下の特徴があると考えられています。

  • 他人から好かれたいという願望が強い
  • 他人の役に立つ行動をいとわない
  • 心理的緊張場面では他人と一緒にいたいと望む

回避動機(回避欲求)

回避動機(回避欲求)とは、失敗や困難な状況を避けようとする動機(欲求)です。

マクレランドは当初、達成動機、権力動機、親和動機の3つを軸として欲求理論を提唱しましたが、後に4つ目の動機として回避動機を提唱します。

回避動機が高い人には、以下の特徴があると考えられています。

  • 成功や達成よりも失敗を避ける
  • 周囲に合わせて行動する

マクレランドの研究

マクレランドの欲求理論の基礎となった研究についても触れておきます。

マクレランドは、過去の文学作品の語句や表現を達成動機尺度、石炭輸入量の指標を経済繁栄尺度として調査し、達成動機の研究を行いました。

  • 文学作品(達成動機尺度):イギリスにおいて過去の約400年間(1500年代~1800年代)に出版された文学作品(小説や戯曲など)からランダムに100行を抜き出して、達成動機に関する語句や表現が含まれる量を調査
  • 石炭の輸入量(経済繁栄尺度):石炭の輸入利率(使用量)が多い時期は経済的に豊かだったと仮定

この調査の結果、達成動機に関する表現などが増加した約50年後に石油の輸入量が増加し、達成動機に関する表現などが減少した約50年後に石油の輸入量が減少することが分かりました。

つまり、達成動機に関する表現などと経済的な繁栄が、約50年ずれて現れていることを発見したのです。

マクレランドは、この調査結果に基づいて、幼少期に達成動機が刺激されるか否かがその後の行動に影響を与えると考えました。

そして、人の達成動機が行動につながり、行動が所属する社会の活性化につながり、所属する社会の活性化がより大きな社会の繁栄につながると主張しました。

ポイント

幼少期に達成動機を刺激される経験→達成動機を抱く→達成的行動→所属する社会が活性化→より大きな社会の繁栄

まとめ

マクレランドの欲求理論とは

マクレランドが提唱した、人の行動には4つの欲求(達成動機、権力動機、親和動機、回避動機)のいずかが作用するという理論

  • 達成動機:達成や成功をしたいという動機
  • 権力動機:他人に影響力を行使してコントロールしたいという動機
  • 親和動機:他人との友好的かつ密接な関係性を求める動機
  • 回避動機:失敗や挫折を回避しようとする動機
マクレランドの研究
  • 過去の文学作品を達成動機尺度、石炭輸入量の指標を経済繁栄尺度として調査し、作品中の達成動機に関する表現などと経済的な繁栄が、約50年ずれて現れることを発見
  • 調査結果に基づいて、人の達成動機が行動につながり、行動が所属する社会の活性化につながって、所属する社会の活性化がより大きな社会の繁栄につながると主張

【参考】

  • モチベーション―「達成・パワー・親和・回避」動機の理論と実際|マクレランド,D.C.著、梅津祐良、横山 哲夫、薗部 明史翻訳|生産性出版