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マクレガーのXY理論(X理論Y理論)とは?動機づけに有効?Z理論もある?

マクレガー XY理論

マクレガーのXY理論とは

マクレガーのXY理論とは、アメリカの心理学者マクレガー,D.が著書「企業の人間的側面」の中で提唱した、人の行動を考えるための人間観や動機づけに関する2つの対立的な理論です。

マクレガーは、XY理論において、マズローの欲求段階説に基づいて人間観を説明し、マネジメント理論を展開しています。

MEMO

マズローの欲求段階説:アメリカ合衆国の心理学者マズロー,A.が提唱した、人の欲求に関する理論。

「人は自己実現へ向けて成長を続ける」という考えに基づいて、人の欲求について、低次のものから生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求の5階層で理論化されている。

日本では5段階説という名称が定着しているが、実は、6段階目の欲求も存在する。

マズローの欲求5段階説については、「マズローの欲求5段階説(自己実現理論)を分かりやすく解説」で詳しく解説しています。

マクレガーのX理論

X理論とは、伝統的な経営管理が拠り所とする古い人間観やそれを前提とするマネジメントに関する理論です。

X理論は、以下の前提に立ちます。

  • 一般的な人は、生まれながらに仕事が嫌いで、できるなら仕事をしたくないと思っている
  • たいていの人は、強制・統制・命令・処罰に対する恐れがない限り、目標達成のために働かない
  • 一般的な人は、命令されることを好み、責任を回避し、安全を確保することを望んでいる

 

つまり、人は生まれつき「怠け者」という、性悪説的な人間観が前提になっているのです。

そして、そうした人間観を前提とした場合、監督・命令・強制・規則で人の行動を監視し、ノルマを課して目標の達成状況に応じて報酬や罰を与える方法によるマネジメントになると説明されます。

簡単に言い換えると、「人が仕事嫌いであると仮定した場合、「アメとムチ」を使い分けながら従業員を管理することになる。」ということです。

マクレガーのY理論

Y理論とは、X理論とは対照的な新しい人間観とマネジメントに関する理論です。

Y理論では、以下の前提に立ちます。

  • 人は、仕事で心身を使うのは当たり前のことだと思っている
  • 人は、自ら選んだ目標のためであれば、自己管理や自己統制を発揮して行動する
  • 目標が達成されるか否かは報酬次第であり、特に、自我・自己実現欲求が重視される
  • 条件が整えば、自発的に責任を引き受けようとする
  • 問題解決に高度な想像力や創意工夫を発揮する
  • 現代企業(1960年頃)では、従業員の知的能力は一部しか活かされていない

つまり、X理論のように「人が生まれながらに怠け者」という前提に立たず、条件を整えることで自発的に仕事をこなして責任を引き受ける存在だとみなします。

そして、こうした人間観を前提とした場合、人の自主性を尊重しながら、魅力的な目標と責任を継続して与えるマネジメントが有効であると説明されます。

Y理論では、企業が、企業目標と従業員一人ひとりの欲求や目標を調整して両者を統合することにより、従業員が自発的に自分の知識、技術、能力、ノウハウなどを向上させ、企業のために活かすとされています。

簡単に言い換えると、「人が仕事嫌いではないと仮定した場合、従業員が自発的に企業のために尽くすよう条件を整えるマネジメントになる。」ということです。

マクレガーの主張

マクレガーは、生活水準が向上し、マズローの欲求段階説における低次の欲求(生理的欲求や安全欲求など)が満たされている現在(XY理論が提唱された当時)においては、Y理論に基づくマネジメントが必要だと主張しました。

低次の欲求が満たされている状況では、X理論の人間観によるマネジメントは従業員の欲求と合致せず、モチベーションを向上させる効果が期待できないと考えたのです。

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現実の従業員マネジメントにおけるXY理論

マクレガーは、X理論は伝統的な管理理論における人間観であり、今後の企業にはY理論を踏まえたマネジメントが求められると主張しています。

しかし、X理論によるマネジメントが必ずしも悪いわけではありません。

マズローの欲求段階説における低次欲求(生理的欲求や安全の欲求)が強い人の場合、X理論に基づくマネジメントが必要になることもあります。

また、従業員の主体性を認め過ぎることで重大なヒューマンエラーを招き、企業や関係者に深刻な悪影響を及ぼすことも考えられます。

例えば、公共交通機関、公務員、ライフライン関係会社などは、一定程度はX理論による従業員のマネジメントを行わないと、社会的影響の大きい問題を生じさせるリスクが高くなります。

また、現実のマネジメントにおいて、従業員全てをX理論とY理論で明確に分けることは困難で、いずれの従業員もX理論とY理論の間のいずれかに位置すると考えられています。

したがって、現実における従業員マネジメントでは、従業員の状況や仕事へのモチベーションを把握し、X理論とY理論のマネジメントを使い分けることになります。

Z理論

Z理論とは、アメリカ合衆国の経営学者オオウチ,W.が、マクレガーのXY理論を基本として提唱した理論です。

Z理論は、権限行使と命令統制という上から押しつけ型のX理論と、従業員の自主性を尊重するY理論の中間的な理論で、上下や横の良好なコミュニケーションが存在する理論とされます。

元々は、マクレガーが、XY理論が万能ではないという指摘を受けて開発を進めていましたが、1964年に死亡して中断しました。

1970年代に入って、オオウチが、「日本型経営システムがX理論とY理論の良いとこ取りではないか。」という仮説に基づいてZ理論を研究し、日本企業(J型)とアメリカ企業(A型)を比較対照して理論を展開しました。

オオウチは、日本型経営システムとして、以下の7つを挙げています。

  • 終身雇用
  • 人事考課と昇進の遅さ
  • ジェネラリストを育成する傾向
  • 評価や意思決定の基準や目標が非明示的
  • 重要な意思決定が稟議などで行われる
  • 集団責任
  • 職場以外の人間関係の形成

オオウチが、上記7つをリストにしてアメリカ合衆国の企業の管理職に見せ、リストの内容に合致すると考える社名を挙げさせたところ、IBMやHPなどの有名企業の名前が挙げられました。

オオウチは、こうした日本型経営システムに類似した特徴を持つ企業をZ型と名づけ、その特徴として平和主義的雰囲気を挙げています。

平和主義的雰囲気とは、個人が思慮を働かせることができて、厳しい監視を受けることなく主体的に働くことができる環境です。

オオウチは、信頼関係が平和主義的雰囲気を可能にしており、それがZ型企業の従業員の仕事への高い意欲や忠誠心、生産性に繋がっていると主張しています。

まとめ

マクレガーのXY理論とは

アメリカの心理学者マクレガー,D.が提唱した、人の行動を考えるための人間観や動機づけに関する2つの対立的な理論

  • X理論:伝統的な経営管理が拠り所とする古い人間観やそれを前提としたマネジメントの理論
  • Y理論:X理論とは対照的な新しい人間観とマネジメントの理論(マクレガーが今後の企業のマネジメントとして必要性を主張)
Z理論
  • アメリカ合衆国の経営学者オオウチ,W.が、マクレガーのXY理論を基本として提唱した理論
  • 上から押しつけ型のX理論と、自主性を尊重するY理論の中間的な理論

【参考】

  • 企業の人間的側面―統合と自己統制による経営|マクレガー,D.著、高橋達男翻訳|産能大学出版部
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