鏡文字とは?鏡文字を書く子どもは発達障害(学習障害・ディスレクシア)?

鏡文字 ディスレクシア

子どもの鏡文字とは

鏡文字とは、左右反対に書かれた文字のことです。

日本では「く」を「>」と書いたり、「し」を「J」と書いたりするなど平仮名の鏡文字が多く、英語圏では「b」を「d」、「J」を「し」と書く鏡文字がよく見られます。

書くことを覚えたての子どもにはよく見られる現象で、通常は、書く練習を重ねるうちに自然に解消します。

しかし、幼児期を過ぎても鏡文字を書き続ける子どもが一定数います。

例えば、左利きの子どもに鏡文字を書く子どもが多いことが分かっている他、ディスレクシア(読み書き障害)が原因となっていることもあります。

子どもが鏡文字を書く原因

子どもが鏡文字を書く原因は、「書きやすさ」から「発達障害」まで様々なものがあります。

鏡文字の方が書きやすい

通常、筆記用具でカーブや円を書く時、右利きの人は「時計回り」の方が書きやすいものです。

しかし、書くことを習いたての子ども(右利き)の中には、「時計回り」のカーブを書きにくいと感じる子どもがいます。

特に、平仮名の「あ」、「お」、「ぬ」、「め」などカーブが複雑な文字を書くのは難しく、ついつい手を動かしやすい「反時計回り」でカーブを書いて、鏡文字になることがあるのです。

左利き

鏡文字は、右利きの子どもよりも左利きの子どもに多いことが分かっています。

左利きの人は、右利きの人とは反対で、「反時計回り」の方がカーブや円を書きやすいものです。

そのため、時計回りのカーブが多い平仮名を書く時に、手を動かしやすい「反時計回り」でカーブを書いてしまい、鏡文字になります。

左右の区別が難しい

書くことを習いたての子どもは、まだ左右の区別が難しいことがあります。

そのため、左右を意識せずに書きやすいように文字を書いた結果、鏡文字になることがあります。

左右の区別が難しいのは、大脳の右半球と左半球の機能が未分化なためで、大脳が発達するにつれて鏡文字も解消されていきます。

左脳が未発達

人の脳は大きく右脳と左脳に分かれており、それぞれ異なる役割を担っています。

  • 右脳:視覚と空間の情報をまとめて記憶して処理する
  • 左脳:論理的な思考や計算を行い、情報を順序立てて処理する

大人の場合、目から取り入れた情報が右脳でイメージされ、左脳で解釈された上で、手を動かして文字を書きます。

しかし、乳児期から3歳頃までの子どもは、左脳が未熟で右脳が優位に働いているため、右脳にあるイメージだけで文字を書いており、鏡文字になることが多いのです。

左脳の未発達が原因で鏡文字を書いている場合は、3歳以降に左脳が発達するにつれて自然と鏡文字を書かなくなります。

発達障害

発達障害の一つである学習障害のうち「ディスレクシア(読み書き障害)」がある場合も、鏡文字を書くことがあります。

鏡文字とディスレクシアの関係については、後の項目で解説します。

鏡文字への対応

鏡文字への対応は、幼児期と学童期で異なります。

幼児期の鏡文字を改善させる方法

幼児期の鏡文字は、多くの場合、脳の発達や文字の練習をするうちに自然に解消されていくため、あえて修正する必要はありません。

気になる場合は、「逆さまになってるね~」、「あらら、パパママの書いたのと反対だね~」などとさりげなく鏡文字であることを指摘して修正を促しましょう。

また、文字の練習時にお手本を置いて練習すると、鏡文字の改善に効果があります。

トイレやリビングに平仮名表を貼りつけるなど、日頃から文字を目にする機会を増やすと、子どもが自ら鏡文字に気づいて修正することもあります。

学童期に入っても鏡文字が残り、改善されない場合

一方で、学童期(小学校入学後)に入っても鏡文字が残り、進級を重ねても改善されない場合は、ディスレクシアの可能性があります。

学習障害の症状は自然治癒することはほぼなく、成長するほど生活への支障が大きくなるため、小児科に相談した上で専門機関を受診し、療育を受ける必要があります。

なお、イギリスの数学者であり作家の「ルイス・キャロル」やルネサンス期の芸術家である「レオナルド・ダヴィンチ」が、大人になっても鏡文字を書いていたことは有名で、「有名人も鏡文字を書いていたのだから大丈夫。」という意見もあります。

しかし、彼らが鏡文字で苦労を強いられていた可能性は否定できません。

少なくとも、現在においては、鏡文字によって学校や仕事で支障をきたしているケースは多く、早期に療育を受けることが社会適応に資することは間違いありません。

ディスレクシア(学習障害)

学習障害(限局性学習障害)とは、発達障害の一つであり、知的発達水準の遅れや、視覚・聴覚など感覚器官の異常がないにも関わらず、特定の能力(聞く、話す、読む、書く、計算、推論)の習得と使用が困難な状態です。

教科書を読んだり、ノートを書いたり、読み書き計算ができなかったりするなど、特に学習場面において大きな支障が出る発達障害です。

ディスレクシア(dyslexia)とは、学習障害の一つで、知的発達水準の遅れや感覚器官の異常がないにも関わらず、「読み書き」能力が障害された状態です。

日本では、失読症、識字障害、読み書き障害などと訳されます。

日本では全人口の約5%、欧米では全人口の約10%はいると言われています。

ディスレクシアの特徴

ディスレクシアの特徴は、以下のとおりです。

  • 読み書きがまったくできないわけではなく、「流ちょうに読めず、正確に書けない」
  • 文字の形や部分をまとまりとして認識する力が低い:書き間違えや鏡文字が多くなる
  • 文字と、文字が示す物のイメージを結び付ける力が低い:「でんしゃ」という文字を見た時に、「で」と「ん」と「しゃ」という文字の集まりだと捉えてしまい、「電車」と認識しにくい
  • 言葉と文字を結び付ける力が低い:「でんしゃ」という言葉を聞くと「電車」をイメージできるが、「でんしゃ」という文字には結びつけにくい

鏡文字の原因となるのは、「文字の形や部分をまとまりとして認識する力が低い」という症状です。

ディスレクシアを持つ子どもへの関わり方

ディスレクシアと診断された場合、療育センターなどの専門機関で療育を受けることになります。

また、家庭や学校においてもディスレクシアの特徴に配慮した対応を工夫することが求められます。

ディスレクシアを持つ子どもへの対応としては、以下のようなことが考えられます。

  • 印刷物の文字の書体、大きさ、行間を工夫する:ゴシック体、12ポイント、行間を広めにするなど
  • 漢字は1文字ずつ見せる:1ページに1文字ずつ書くなど
  • 文章を読ませる時は一行ずつ示す:教科書にフィルターを当てて、読む行だけ見えるようにするなど
  • 読み聞かせによって言葉の意味を理解させる

ただし、症状や日常生活への支障の程度は一人ひとり異なります。

まずは、子どもの特徴や生活環境を慎重に把握した上で、関わり方を考えていくことが大切です。

まとめ

鏡文字とは

本来の文字の形と左右反対に書かれた文字

子どもが鏡文字を書く原因
  • 書きやすい
  • 左利き
  • 左右の区別が困難
  • 左脳が未発達
  • 発達障害(ディスレクシア)
鏡文字への対応

幼児期のうちは、書く練習や脳の発達によって自然解消されるのを見守る

学童期に入っても残る場合、ディスレクシアを疑って病院や専門機関を受診させ、必要に応じて療育を受けさせる

ディスレクシア(学習障害)

学習障害の一つで、知的発達水準の遅れや感覚器官の異常はないが、読み書きの能力が障害された状態

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