モロー反射|原始反射

モロー反射

モロー反射とは

モロー反射とは、外から大きな刺激が与えられたときに、赤ちゃんが両手を広げてしがみつくような反応を見せる原始反射です。

反射中枢は脳幹です。

英語では「moro reflex」と表記し、日本語ではモロー反射とカタカナ表記されるか「抱きつき反射」と訳されます。

名前の由来は、モロー反射を発見したオーストリアの小児科医モロー,E.のラストネームです。

モロー反射は、人が樹上生活を送っていた頃に備わった、「落ちる感覚を感じたらとっさにお母さんの身体にしがみつく防衛本能」だと考えられています。

また、モロー反射が統合されることにより、首すわりや首の随意運動が可能になっていきます。

原始反射とは

原始反射とは、脳幹や脊髄に反射中枢を持つ、胎児期から乳児期にかけて見られる反射です。

引用:原始反射|psycho-lo

一般的にはモロー反射、手掌把握反射、ギャラン反射などが知られていますが、それ以外にも多くの原始反射が確認されています。

原始反射の役割

原始反射には生命維持と発達促進という役割があると考えらえています。

生命維持 身体機能などが未熟な状態で出生した赤ちゃんの胎外適応を支援するす
発達促進 反応が繰り返されることにより、随意運動の出現が刺激される

指標としての原始反射

原始反射は、健常な赤ちゃんに見られる正常反射であり、出生直後から出現してある時期になると自然消失するため、神経学的障害の有無や程度を見る指標となります。

乳幼児健診では、ある月齢で起こるべき反射がない、消失すべき月齢で残っている、反応の左右差が常にある、一度は消失した反射が再び出現するなどを確認します。

モロー反射の出現時期と消失時期

原始反射が現れる時期が出現時期、消える時期が消失時期です。

  • 出現時期:出生後
  • 消失時期:生後3~4ヶ月

モロー反射は、出生直後から起こります。

しかし実は、胎児期(在胎28週頃)に獲得され、在胎38週頃に成熟しており、妊婦健診における超音波検査(エコー検査)で胎児のモロー反射を確認できることもあります。

健常な赤ちゃんの場合は、生後4ヶ月頃に自然消失します。

しかし、脳性麻痺など脳に異常がある場合、生後4ヶ月を過ぎてもモロー反射が消失しないことがあります。

生後4ヶ月以降にモロー反射が残る場合は、早期受診が必要です。

モロー反射の確認方法

モロー反射の確認方法は、以下のとおりです。

  1. 赤ちゃんを布団やベッドに仰向けに寝かせる
  2. 赤ちゃんの頭と首を支えながら、頭を30度くらい持ち上げる
  3. 頭を支えていた腕を急に下げる
  4. 赤ちゃんの反応の有無を確認する

赤ちゃんが、両腕を伸ばすとともに両手の指を広げて驚くようなポーズをとり、その後、何かにしがみつくように腕を内側に回して身体に引き寄せる動きを見せれば、それがモロー反射です。

ただし、モロー反射の出現期間の大半は首すわり完成前なので、安全面には十分に配慮し、赤ちゃんに負担をかけないよう注意してください。

なお、赤ちゃんが出生した病院を退院する前や、乳幼児健診(1ヶ月健診、3、4ヶ月健診、6ヶ月健診)において、小児科医がモロー反射の有無や反応を確認するため、家庭で無理に確認する必要はありません。

モロー反射の異常

モロー反射の異常が疑われるのは、以下のような場合です。

  • 「出現しない」または「弱い」
  • 「激しい」または「激しくなる」
  • 「消失しない」
  • 「左右非対称に出現する」

モロー反射が「出現しない」または「弱い」

モロー反射が出現しない場合、脳(中枢神経系)の障害、左右両方の上腕神経の損傷、左右両方の鎖骨の骨折などが疑われます。

また、モロー反射が弱い場合、高ビリルビン血症(新生児黄疸)の一つである核黄疸の発症を疑います。

ただし、モロー反射の強弱は家庭で判断することが難しいため、発見が遅れる傾向があります。

モロー反射が「激しい」または「激しくなる」

モロー反射が極端に激しくなる場合、低血糖や頭蓋内出血が疑われます。

頭蓋内出血を起こした場合、激しいモロー反射が出現してから徐々に弱まり、最終的には消失します。

モロー反射が「消失しない」

生後4ヶ月以降もモロー反射が消失せず残る場合、先天的または後天的な要因で脳に障害が生じている可能性を考えます。

例えば、脳性麻痺の赤ちゃんは、生後4ヶ月以降もモロー反射が消失しないことがあります。

モロー反射が「左右非対称に出現する」

モロー反射は、健常な赤ちゃんの場合は左右対称に出現します。

しかし、左右非対称なモロー反射が出現する場合、左右いずれかの鎖骨の骨折、左右いずれかの上腕神経の損傷、分娩麻痺などが疑われます。

モロー反射に異常がある場合の対応

モロー反射の異常の背景には、骨折、神経損傷、頭蓋内出血など重いケガや病気が潜んでいる可能性が高く、早急に適切な診断と治療を受けさせることが重要です。

脳性麻痺など治療が難しい病気もありますが、身体疾患であれば治療やリハビリにより症状が改善する可能性があります。

モロー反射と赤ちゃん

子育て場面で目にすることが多い、モロー反射に対する赤ちゃんの反応にも触れておきます。

モロー反射と赤ちゃんの大泣き

赤ちゃんは、モロー反射が起こった瞬間に驚いたような表情を浮かべ、反応が終わった後に不安や恐怖を感じて泣き出すことがあります。

モロー反射が出現すること自体は、赤ちゃんが健常な証であり、身体の成長や発達に悪影響を与えるものではありません。

しかし、モロー反射による反応を赤ちゃんが極度に怖がる場合、繰り返し反応が起こると気持ちが不安定になるおそれがあります。

そのため、意図的にモロー反射を起こすことを控えるとともに、大きな刺激を与えないよう配慮することが大切です。

モロー反射への過剰反応が継続する場合、念のため小児科医にも相談しておくと安心です。

モロー反射で赤ちゃんが起きる

モロー反射は、赤ちゃんを抱っこで寝かしつけた後に布団やベッドに寝かせるときにも起こります。

モロー反射の反応に驚いた赤ちゃんが目を覚まして大泣きしてし、寝かしつけをやり直すことになるのです。

一般的には、「背中スイッチ(覚醒スイッチ、お腹スイッチ)がオンになる」といわれています。

赤ちゃんが大泣きしたら、まずは落ち着くまで抱きしめて、歌を歌ったりあやしたりして寝かしつけてあげるのが基本です。

もし、寝かしつけの度にモロー反射が起きて赤ちゃんが泣きだすようなら、ベビータオルやおくるみを羽織らせた状態で寝かしつけると、反射が起こる頻度が下がります。

ベビータオルやおくるみは、身体に密着しすぎない程度に巻き付けておきます。

まとめ

モロー反射とは

大きな物音や姿勢の急な変化など外からの大きな刺激に対して、両手を大きく広げて抱きつくような反応を見せる原始反射

モロー反射の出現時期と消失時期
  • 出現時期:出生後
  • 消失時期:生後3~4ヶ月

【モロー反射の確認手順】

  1. 赤ちゃんを布団などに仰向けに寝かせる
  2. 赤ちゃんの頭と首を支え、頭を持ち上げる
  3. 頭を支えていた腕を急に下げる
  4. 赤ちゃんの反応の有無を確認する
モロー反射の異常
  • 「出現しない」または「弱い」:脳の障害、左右両方の上腕神経損傷や鎖骨骨折
  • 「激しい」または「激しくなる」:低血糖、頭蓋内出血
  • 「消失しない」:脳の障害(脳性麻痺など)
  • 「左右非対称に出現する」:左右いずれかの鎖骨骨折や上腕神経損傷、分娩麻痺
モロー反射と赤ちゃん
  • モロー反射と赤ちゃんの大泣き
  • モロー反射で赤ちゃんが起きる

【参考】

  • 人間脳を育てる 動きの発達&原始反射の成長|灰谷孝著|花風社

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