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乳児期の運動機能発達(粗大運動・微細運動)

赤ちゃん 運動

赤ちゃんの運動機能の発達の原則

赤ちゃんは、生まれたての頃には自分の手足を自由に動かすこともできませんが、日に日にできることが増えていきます。

手足を動かす、頭を上下左右に振る、寝返りや寝返り返りをうつ、ズリバイ・ハイハイで移動する、つかまり立ちや伝い歩きをするなど、乳児期の1年間に運動機能が目覚ましい発達を遂げます。

赤ちゃんの運動機能の発達の原則は、以下のとおりです。

  • 頭から身体の下の方へ発達する
  • 身体の中心から末端へ発達する
  • 原始反射、粗大運動、微細運動の順番で発達する

赤ちゃんの運動機能の発達は個人差が大きいものですが、その中でも一定の方向性、順序、連続性を有しているのです。

運動機能の発達と神経系の成熟には密接な関わりがあり、神経系の成熟に応じて連続的かつ段階的に発達していきます。

また、目的に応じて身体の異なる部位の発達と協調しながら進むことも知られています。

原始反射とは

原始反射とは、脳幹や脊髄に反射中枢を持つ、胎児期から乳児期にかけて見られる反射です。

原始反射は、胎児期に獲得されて出生後すぐに見られますが、大脳皮質が成熟するにつれて反応が抑制され、赤ちゃんの意思による運動が機能するようになります。

引用:psycho-lo

原始反射と生命維持

原始反射には、赤ちゃんの生命維持と運動機能の発達を促すという役割があります。

人の赤ちゃんは、他の哺乳類と比べると未熟な状態で生まれ、生まれたての頃は自力で母乳やミルクを飲むこともできません。

しかし、原始反射が備わっていることで外の刺激に反応し、生活することができるとされています。

例えば、哺乳反射という原始反射が備わっていることで、母乳の飲み方を知らない赤ちゃんが、生まれたその日からお母さんの乳首に吸い付き、母乳を飲むことができます。

一方で、原始反射の中には、現代生活においてはあまり意味のない反射もあります。

原始反射と運動機能の発達

原始反射が繰り返し起こることで、中枢神経系が発達して反応に必要となる筋肉もつきます。

そして、原始反射の反応として起こっていた行動を、赤ちゃんが自分の意思で実行できるようになっていきます。

例えば、哺乳反射が繰り返し起こるうちに、赤ちゃんが母乳の飲み方を覚えて自力で乳首に吸い付き、母乳を飲めるようになります。

主な原始反射

原始反射の主な種類は、以下のとおりです。

原始反射の種類 反応
交叉伸展反射 あお向けに寝た赤ちゃんの片膝を押さえて足を伸ばして足の底を強めに押すと、反対側の足が曲がり、その後、足を伸ばして内側に回す(交叉)
屈筋逃避反射 あお向けに寝た赤ちゃんの足先を針や爪で刺激すると、刺激した方の足を曲げてひっこめる
手掌把握反射 指や綿棒で赤ちゃんの手の平を刺激すると、手の平をギュッと握る
足底把握反射 赤ちゃんの足の裏を指や綿棒などで刺激すると、足の指が5本ともギュッと曲がる
バビンスキー反射 尖った物で赤ちゃんの足の裏を強めにこする(かかとからつま先に向かって)と、足の親指が足の甲側に曲がり、親指以外の指が外側に開く
ギャラン反射 大人の膝の上に赤ちゃんをうつ伏せに寝かせ、指先で肩甲骨から背骨に沿って上から下にゆっくりこすると、こすった側へ身体を曲げる
陽性支持反射 赤ちゃんの両わきを支えて立たせ、足の裏を床につけさせると、つま先を突っ張るようにして身体を支える
台乗せ反射 赤ちゃんの両わきを支えて立たせ、足の甲を台に押し付けると、足を曲げて台の上に足を乗せる
自立歩行反射 陽性支持反射を起こした上で、赤ちゃんの身体をゆっくり前の方へ傾けると、歩いているかのように両足を交互に出す
哺乳反射(探索反射、捕捉反射、吸啜反射、嚥下反射) 乳首に触れると口を開けて吸い付き、母乳やミルクを飲む
押し出し反射 舌に触れた固形物を舌で押し出そうとする
引き起こし反射 あお向けに寝た赤ちゃんの両手を持って引き起こすと、頭が持ち上がり、両手両足や身体が曲がって起き上がろうとする
モロー反射 あお向けに寝た赤ちゃんの頭を少し持ち上げてから下ろすと、赤ちゃんが両腕を外側に向けて開くポーズをして、その後、しがみつくような動きをする
緊張性迷路反射 あお向けでは両手両足や身体を伸ばし、うつ伏せでは両手両足を曲げて身体を丸める
非対称性緊張性頸反射 あお向けに寝た赤ちゃんの顔を左右どちらかに向けると、顔を向けた側の手足が伸び、反対側の手足が曲がる
対称性緊張性頸反射 うつ伏せに寝た赤ちゃんの頭を上げると両腕が伸びて両足が曲がり、頭を下げると両腕が曲がって両足が伸びる

粗大運動とは

粗大運動とは、胴体と両手足の筋肉を供応させた姿勢や移動に関する運動です。

「全身を使った運動」と考えると分かりやすいでしょう。

例えば、手足バタバタ、寝返り、寝返り返り、ズリバイ、ハイハイ、お座り、伝い歩き、一人歩き、走る、泳ぐなどが粗大運動です。

粗大運動は、環境ではなく成熟によって獲得される運動で、一般知能とはほぼ関係がないとされています。

粗大運動 獲得される時期
身体の曲げ伸ばし 新生児期
頭を持ち上げる 生後2ヶ月頃
頭と肩を持ち上げる 生後3ヶ月頃
首すわり 生後3~4ヶ月頃
寝返り 生後5~6ヶ月頃(首すわりの完成後)
寝返り返り 生後5~6ヶ月頃(寝返りの完成後)
お座り 生後7~8ヶ月頃(お座り姿勢は生後5~6ヶ月頃から)
ズリバイ・ハイハイ 生後7~8ヶ月頃
つかまり立ち 生後10ヶ月頃(生後8ヶ月頃からチャレンジ開始)
伝い歩き 生後11ヶ月頃(生後10ヶ月頃からチャレンジ開始)
階段のよじ登り 生後1歳頃(生後10ヶ月頃からチャレンジ開始)

獲得される時期は標準的な時期です。

赤ちゃんの運動機能の発達は個人差が大きいため、標準的な時期から遅れていても過剰に心配する必要はありません。

ただし、乳幼児健診で指摘された場合や、同月齢の子どもと比較して明らかに運動機能の発達に遅れが見られる場合は、かかりつけ医に相談してください。

微細運動とは

微細運動とは、手や腕を使った細かな運動のことです。

例えば、腕を伸ばして目的の物に触れる、手で物を掴む、掴んだ物を離す、つまむなどが微細運動です。

微細運動の獲得には、協調運動(別々の動きを一つにまとめる運動)の発達と原始反射の消失が関係しています。

例えば、赤ちゃんが自分の意思で興味を持った物を掴めるようになるのは、原始反射の一つである手掌把握反射が消失した後です。

赤ちゃんは、まず全身を使った粗大運動を獲得し、それから微細運動を覚えていきます。

例えば、腕で身体を支えたり、手を強く握りしめたりする運動をしっかり練習した後でないと、クレヨンで字を書いたりお箸を使って物を掴んだりすることは難しいものです。

微細運動 獲得される時期
ハンドリガード(自分の手を見つめる) 生後2ヶ月頃
熊手掴み(熊手で物をかきよせて掴む) 生後3ヶ月頃
平手掴み(手の平で物を掴む) 生後4ヶ月頃
握る 生後5ヶ月頃
親指以外で物を掴む 生後7ヶ月頃
5本の指で物を掴む 生後8ヶ月頃
両手に持った物を打ち合わせる 生後9ヶ月頃
5本の指を個別に動かせるようになる 生後10ヶ月頃
指差し 生後10ヶ月頃
クレヨンを持って殴り書きする 生後11ヶ月頃
親指と人差し指・中指の3本で物をつまむ 生後12ヶ月頃
大きめのはめ込み式パズルができる 生後12ヶ月頃

獲得される時期は標準的な時期です。

赤ちゃんの運動機能の発達は個人差が大きいので、参考程度に考えて下さい。

まとめ

赤ちゃんの運動機能発達の原則
  • 頭から下に向かう
  • 身体の中心から末端へ向かう
  • 原始反射⇒粗大運動⇒微細運動の順
原始反射とは

胎児期から乳児期にかけて見られる反射

粗大運動とは

身体全体を使った姿勢や移動に関する運動

微細運動とは

手や指など身体の一部を使う運動