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P-Fスタディとは?心理検査の分析・解釈の方法は?

P-Fスタディ

P-Fスタディとは

P-Fスタディとは、欲求不満状況(何らかの妨害または障害で欲求が充足できないことによる、苛立ち、挫折、失望などの不快な感情を抱いた状況)に対する反応傾向によって、被検査者のパーソナリティを把握する投影法の心理検査です。

正式名称は「Picture-Frustration Study」ですが、一般的にはP-Fスタディと呼ばれています。

P-Fスタディは、アメリカの精神分析家ローゼンツァイク,S.らが、TATと自由連想法を参考にし、欲求不満耐性理論に基づいて作成しました。

2人の登場人物が描かれた24場面(欲求不満状況)のイラストを被検査者に呈示し、登場人物の一人の吹き出しに「この人ならどう答えるか」を記入させ、怒り・適応性・攻撃性などの性格特性を分析・解釈します。

P-Fスタディで設定された場面は、日常生活の中で経験する比較的軽い欲求不満場面ばかりで、それに対する被検査者の反応について9つの分類概念に基づいて分類し、被験者の反応の背後にあるパーソナリティの独自性を探ります。

P-Fスタディの場面には、欲求不満状況には自我阻害場面と超自我阻害場面があり、ランダムに入れ込まれています。

自我阻害場面人為的または被人為的によって直接的に自我が阻害され、欲求不満を抱いている場面
超自我阻害場面他人から非難されることで超自我が阻害され、欲求不満を招いている場面

P-Fスタディの種類

被検査者の年齢によって児童用、青年用、成人用の3種類ありますが、それぞれ適用範囲が重なっており、被検査者の年齢が重複期間に当てはまる場合は、どちらの検査も実施することができます。

なお、日本版の検査のうち児童用は、小中学生約3000人のデータに基づいて2006年に全面改訂されており、より現代にマッチした内容になっています。

種類年齢
児童用6~15歳
青年用中学・高校・大学2年
成人用15歳以上

P-Fスタディは投影法に分類される

P-Fスタディは検査用紙に記入するタイプの心理検査であり、「質問紙法ではないの。」と思う人が少なからずいます。

しかし、被検査者の反応自由度の低さから、投影法(制限的投影法、完成法的投影法)に分類されます。

反応自由度が低いというのは、あらかじめ場面が設定されていて、被検査者の反応がある程度制限されるという意味です。

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P-Fスタディの分析・解釈

P-F1スタディは、欲求不満状況を描いた24場面について、「自分ならどう答えるか」ではなく「…この右側の人の答えると思われる内容を書き込んでください」と教示し、吹き出しに書き入れさせます。

そして、各場面ごとに、P-Fスタディのマニュアルに記載された表現の中から、被検査者が吹き出しに書き入れた発言に合致または近いものを選択し、評定します。

このとき、マニュアル記載の表現と被検査者の書き入れた内容は「外見的、表出的意味」に基づいて選びます。

24場面の評定が終わったら、アグレッション(Aggression)の方向とアグレッションの型の組み合わせでできた、「9つのパーソナリティのパターン」に被検査者を分類します。

アグレッションの方向

アグレッションの方向は、他責的、自責的、無責的の3つが規定されています。

他責的アグレッションを外界に向ける(他人を責める)傾向
自責的アグレッションを自分に向ける(自分を責める)傾向
無責的アグレッションを向けることを回避する(誰も責めない)傾向

アグレッションは、日本語では「攻撃性」と訳されますが、ローゼンツァイクは「Aggression」について以下のように定義しています。

  • 日常生活における一般的な主張性
  • 主張性の行動の元になる神経系のメカニズム
  • これらの行動を伝達または促進する生理学的条件

つまり、P-Fスタディにおける攻撃性(Aggression)は「主張性」というより広いニュアンスで使用されているのです。

そして、アグレッション=主張性であることを踏まえると、無責的というのは、「攻撃性が無い」ことではなく「責めることを回避している」、「主張性がない」ということになります。

「攻撃性」という訳語に惑わされて誤解している人が多いため、注意してください。

アグレッションの型

アグレッションの型は、障害優位型、自我防衛型、要求固執型の3つが規定されています。

障害優位型・障害の指摘に重きを置く(逡巡反応)

・率直な表明を回避するため、欲求不満は解消されない。

自我防衛型・基本的かつ直接的に自我を防衛する(他罰・自罰・無罰反応)

・欲求不満の解消のために、率直に表明する。

要求固執型・問題解決に重きを置く(固執反応)

・問題解決や欲求充足のためになる表明をする。

9つのパーソナリティパターン

アグレッションの方向とアグレッションの型を組み合わせにより、9つのパーソナリティパターンが規定されています。

型/方向他責的自責的無責的
障害優位型他責逡巡反応(E’)自責逡巡反応(I’)無責逡巡反応(M’)
自我防衛型他罰反応(E)自罰反応(I)無罰反応(M)
要求固執型他責固執反応(e)自責固執反応(i)無責固執反応(m)

P-Fスタディでは、アグレッションの方向と型以外に、GCR,反応転移、超自我因子の分析も行います。

GCR(Group Conformity Rating、集団一致度)

GCRとは、標準集団の典型的反応と被検査者の反応との一致度をパーセント表示(%)したものです。

簡単に言えば、「普通の反応の割合」です。

GCRが有意に高いと過剰適応の可能性があり、不安や神経症との関連を疑うことになります。

一方でGCRが有意に低い場合、適応が困難であると考えられます。

反応転移

反応転移とは、P-Fスタディの検査前半と後半の反応に質の変化が出ることです。

反応の流れと転移は、情緒の安定性、アグレッションを表明するときの葛藤、欲求不満耐性などを考える上で重要な指標となります。

社会不適応者は、適応者と比較して反応転移の率が有意に高いとされています。

超自我因子

超自我因子とは、超自我阻害場面で、他人からの避難や詰問を否認する反応です。

超自我因子欄を見ながら被検査者の特徴を読み取ります。

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公認心理師試験の出題歴

P-Fスタディは、第1回公認心理師試験で出題されました(正答は赤字)。

問17 P-Fスタディの実施と解釈について、正しいものを1つ選べ。

①葛藤場面は、自我の退行場面と超自我が阻害される場面とで構成される。

②攻撃性の方向が内外ともに向けられずに回避される反応を無責傾向と解釈する。

③依存性と攻撃性の方向とパターンを分類及び記号化して、社会的関係の特徴を把握する検査である。

④他者との葛藤状況における言語反応を、愛着関係の方向とパターンとに分類及び記号化して解釈する。

⑤欲求不満を来す状況について、もしも自分であったらという想定における被検者の言語反応を分類及び記号化して解釈する。

引用:第1回公認心理師試験問題

公認心理師試験については、「公認心理師とは?受験資格と特例措置、試験合格率は?臨床心理士との違いは?」で詳しく解説しています。

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まとめ

P-Fスタディとは

欲求不満状況への反応傾向で、被検査者のパーソナリティを把握する心理検査(投影法)

P-Fスタディの分析・解釈
  • アグレッションの方向とアグレッションの型の組み合わせでできた9つのパーソナリティパターンに分類
  • GCR
  • 反応転移
  • 超自我因子
公認心理師試験の出題歴

第1回試験・問17