把握反射(パーマー反射)|原始反射

手の把握反射

把握反射(パーマー反射)とは

把握反射とは、赤ちゃんの手の平を指などで押すと、押したものを握りしめる原始反射です。

英語では「palmer grasp relex」と表記し、日本語では「把握反射(手掌把握反射)」と訳されるか「パーマー反射」と呼ばれます。

指以外でも、お箸やペンなどの先で赤ちゃんの手の平の小指側から親指側に向けて刺激すると、把握反射による反応が起こります。

把握反射は、外の刺激から身を守るために備わった原始反射障害だと考えられており、異常がある場合、握る反応が起きなかったり、握りしめた物を手離せなくなったりします。

把握反射の読み方

把握反射と書いて「はあくはんしゃ」と読みます。

「把握」とは、「物を手でしっかり掴む」という意味の単語です。

最近は「状況を理解すること」という意味で使われる機会が増えましたが、「手で掴む」が元々の意味です。

原始反射とは

原始反射とは、脳幹や脊髄に反射中枢を持つ、胎児期から乳児期にかけて見られる反射です。

引用:原始反射|psycho-lo

把握反射以外にも、これまでに多くの原始反射の存在が確認されています。

ポルトマン,A.は、人の赤ちゃんが生理的早産の状態で生まれてくると表現しましたが、原始反射という優れた能力を生まれながらに持っているのです。

MEMO
生理的早産:ポルトマン,A.が、他の離巣性の哺乳類と比較して未熟な状態で生まれてくる人の赤ちゃんを表現するために用いた心理学用語

原始反射の役割

原始反射には、生命維持と発達促進という役割があり、いずれも赤ちゃんの成長や発達に重要なものです。

生命維持 未熟な状態で出生した赤ちゃんが胎外生活に適応するのをサポートする
発達促進 原始反射による反応が繰り返し起こることで、赤ちゃんの意思による行動の出現が刺激される

指標としての原始反射

原始反射は、健常な赤ちゃんに見られる正常反射で、出生直後から出現し、ある時期になると自然消失します。

こうした特徴から、神経学的障害の指標として活用されます。

例えば、乳幼児健診では、ある月齢で起こるべき反射がない、消失すべき月齢で残っている、反応の左右差が常にある、一度は消失した反射が再び出現するなどについて確認します。

把握反射の出現時期と消失時期

把握反射には、標準的な出現時期と消失時期があり、その期間外で反射が見られたり、期間内に反射が見られなかったりした場合は、異常を疑います。

  • 出現時期:出生後
  • 消失時期:生後4~6ヶ月

把握反射は、胎児の頃(在胎28週頃)に出現して在胎32週頃には成熟しており、出生後すぐ確認できます。

また、健常な赤ちゃんの場合は、生後4~6ヶ月頃には自然消失します。

「自然消失」とは、手の平に触れた物を「握ることができなくなること」ではなく、「反射が統合されて反応がなくなること」です。

把握反射が統合されて消失すると、赤ちゃんが自分の意思で物を握りしめることができるようになります。

つまり、把握反射が消失するのは赤ちゃんが健全に成長した証なのです。

把握反射の確認方法

把握反射は、以下の方法で確認することができます。

  1. 赤ちゃんの手を開く(または開いているときを見計らう)
  2. 指で赤ちゃんの手の平を軽くなでる

刺激によってすぐ赤ちゃんが手を握りしめた場合は反応が残っており、少し間があってから握りしめたり、握りしめなかったりした場合は消失したと考えます。

ポイントは、赤ちゃんが握りやすいように、親指と平行方向(他の指と垂直方向)に撫でることです。

なお、赤ちゃんは、把握反射が消失した後、自分の意思で手の平に触れた物を握るようになります。

そのため、原始反射なのか自分の意思による行動なのかお区別が難しいことがあります。

把握反射の異常

何らかの原因により、把握反射が起こらないことがあります。

把握反射が「出現しない」または「手を握る力が弱い」

把握反射が出現しない、または、手を握る力が弱い場合、脳(中枢神経系)や上部脊髄に重い障害を抱えている可能性があります。

稀ですが、手や指の以上により反射は起こっているが乏しいというケースも確認されています。

把握反射が残ると、その後の生活で以下のような支障が生じます。

  • 手先を使った作業が苦手
  • 鉛筆やお箸の握り方が不適切
  • 文章を手書きするのが苦手(時間がかかる)
  • 手作業をするときの姿勢が悪くなる
  • 椅子に座る姿勢が悪くなる

※いずれも、練習をしても改善しにくい

なお、把握反射は、赤ちゃんの吸啜(母乳やミルクを飲むこと)により促進されるという研究結果があります。

把握反射の異常への対応

把握反射の異常は、脳の異常など重い病気や障害が原因の可能性が高いため、迅速な受診が大切です。

脳の異常の場合は完治が難しいこともありますが、早期発見と早期治療により、日常生活への支障を抑えられる可能性はあります。

まとめ

把握反射(パーマー反射)とは

赤ちゃんの手の平を指などで押すと、押したものを握りしめる原始反射

把握反射の出現時期と消失時期
  • 出現時期:出生後
  • 消失時期:生後4~6ヶ月

【確認方法】

  1. 赤ちゃんの手を開く(または開いているときを見計らう)
  2. 指で赤ちゃんの手の平を軽くなでる
把握反射の異常

把握反射が出現しない、または、手を握る力が弱い:脳(中枢神経系)や上部脊髄の障害の可能性

【参考】

  • 人間脳を育てる 動きの発達&原始反射の成長|灰谷孝著|花風社

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