心理学用語や心理学を活かせる仕事を解説

類型論と特性論の違いは?長所と短所は?心理学のパーソナリティ(人格)分類

心理学におけるパーソナリティ(人格)の分類

パーソナリティとは、個人の感情・思考・行動の一貫したパターンを規定する心理的な特性です。

英語では「personality」と表記され、日本語では「人格」や「性格」と訳されるかパーソナリティとカタカナ表記されます。

心理学においては、長年にわたってパーソナリティ研究が行われてきており、様々な理論が発表されてきました。

心理学におけるパーソナリティ理論は、大きく類型論と特性論に分類することができます。

類型論とは

類型論とは、パーソナリティをいくつかの類型(カテゴリー)に分け、類型に個人を当てはめてパーソナリティを理解しようとする考え方です。

簡単に言えば、「パーソナリティをいくつかのカテゴリーに分けて質的に分類する」のが類型論です。

類型論の長所

類型論は、個人をあらかじめ設定したカテゴリーに当てはめ、そのパーソナリティを直感的に把握することができます。

まあ、個人のパーソナリティの全体像を大まかに理解するのに適しています。

例えば、「O型の人はおおざっぱだ。」、「日本人は几帳面だ。」など、「このカテゴリーに当てはまる人は、こういう傾向を持っている。」という捉え方ができます。

類型論の短所

類型論は、類型に当てはまらない特徴を見逃してしまい、ステレオタイプ的な見方(偏見)につながりやすいという短所があります。

また、人の性格は環境との相互作用によって変化しますが、類型論では性格を固定的に捉えて変化が考慮されにくいという点も問題点として指摘されています。

類型論の代表的な理論

類型論の代表的な理論として、身体的な特徴に着目したクレッチマー,E.とシェルドン,W.H.の類型論、心理的特徴に着目したシュプランガー,E.とユング,C.の類型論について解説していきます。

クレッチマーの類型論

クレッチマーは、8000人を超える精神病患者の分析から体型による性格の違いを発見し、著書「体系と性格」において、性格を「細身型」「肥満型」「闘士型」の3つの型に分類した類型論を発表しました。

分類気質性格
細身型分裂内気、繊細、非社交的
肥満型循環(躁うつ)明るい、躁とうつが交互に現れる
闘士型粘着几帳面、粘り強い、融通が利かない

シェルドンの類型論

シェルドンは、クレッチマーの類型論が過剰に観念的であり、また、精神病患者の分析に基づいていることを批判し、健常な男子の体型調査に基づいて発達部位による類型論を展開しました。

分類気質性格
外胚葉型神経緊張内気、過敏、易疲労、非社交的
内胚葉型内臓緊張前向き、社交的
中胚葉型身体緊張活動的、自己主張が強い

ユングの類型論

ユングは、心の活動をエネルギー現象にたとえ、外向性と内向性という2つの向性(心的エネルギーの方向)を仮定しました。

外向性心的エネルギーを自分の内的世界に向ける
内向性心的エネルギーを自分の外側に向ける

また、外界の情報を認知する働き(心的機能)を「思考」「直感」「感覚」「感情」の4つに分類しました。

思考物事を客観的、合理的、論理的に理解して判断する
直感物事をカンなどで無意識に判断する
感覚物事を五感で認識して快-不快で判断する
感情物事を好き-嫌いで捉えて判断する

そして、外向性・内向性と4つの心的機能の組み合わせによって、人を8つの類型に分類しました。

外向性内向性
思考物事を着実にこなす

人間味にかけることがある

物事を独自の視点で捉える

自分の考えに固執する

直感実行力や指導力がある

新しい環境に適応しやすい

飽きっぽい

慎重さにかける

凝り性で粘り強い

他人に理解されにくい

感覚人に好かれる

交際範囲が広い

騙されやすい

交際範囲は狭く深い

批判に敏感

傷つきやすい

感情社交的

感情表現が豊か

諦めが早い

流されやすい

穏やかで物静か

感情表現が控えめ

気難しい

ヒステリック

シュプランガーの類型論

シュプランガーは、基本的な生活領域のどの領域に最も価値を置くか」によって、「理論型」「経済型」「審美型」「宗教型」「権力型」「社会型」の6つの類型を設定しました。

類型心理的特徴
理論型知性、知識、知恵の獲得、合理的かつ効率的な思考や行動を重視する
経済型金銭、利益、実利に価値を置き、効率や有用性など経済的な観点から物事を捉える
審美型美や美学に価値を置き、日常生活よりも美しいの獲得に精を出す
宗教型神、愛、慈悲に価値を置き、博愛的で非利己的な傾向がある
権力型権力、支配、命令に価値を置き、権力を得たときに充足感を覚える
社会型援助、奉仕、後見に価値を置き、社会に貢献したり、困った人を助けたりすることに喜びを覚える

特性論とは

特性論とは、個人の特性をパーソナリティを構成する要素とし、特性の組み合わせや配分によってパーソナリティを理解しようとする考え方です。

簡単に言えば「パーソナリティを特性に分類し、各特性をどれくらい持っているかによって量的に分類する」のが特性論です。

特性論の長所

特性論は、パーソナリティの特徴を詳細に把握するのに適しています。

また、個人間の違いを比較しやすいことも長所です。

特性論の短所

特性論は、詳細に過ぎて人の独自性や全体像が把握しにくいという短所があります。

また、個人のパーソナリティの傾向がつかみにくいところも問題点です。

特性論の代表的な理論

特性論の代表的な理論には、オルポート,G.W.の理論、アイゼンク,H.の理論、キャッテル,R.B.の理論、ビッグファイブモデルがあります。

オルポートの特性論

オルポートは、人の特性を共通特性と個人的特性に分類しました。

個別特性個人が持つ、他の人にはない独自の特性
共通特性誰もが持っている特性

そして、共通特性には個人差があり、比較が可能であると考えました。

また、パーソナリティの特徴を一目で理解できるように、「サイコグラフ(心的プロフィール)」を用いました。

アイゼンクの特性論

アイゼンクは、人の類型が特性から形成されると考えて「類型論と特性論の統合」を目指し、性格特性を4水準の階層で捉えられると提唱しました。

階層水準
個別的(特殊)反応水準
習慣反応水準
特性水準
類型水準

また、人のパーソナリティには内向-外交、神経症傾向、精神病的傾向という3つの次元があることを因子分析の結果に基づいて示しました。

なお、アイゼンクが考案したモーズレイ人格目録(MPI)は、内向-外向(大脳皮質の興奮しやすさ)と神経症傾向(自律神経の安定度)の2つの次元で構成される性格検査です。

キャッテルの特性論

キャッテルは、オルポートの特性論の考え方を踏まえ、人の特性を量的特性の「共通特性」と質的特性の「独自特性」に分類しました。

また、共通特性と独自特性に基づいて観察可能な「表面的特性」と、観察ができない「根源的特性」からパーソナリティの特性を明らかにしようとしています。

共通特性数量化できる他人と共通する特性
独自特性数量化できない個別の特性
表面的特性外部から客観的に観察できる特性(行動、発言、動作、表情など)
根源的特性表面的特性を根底で規定する、外部から観察できず因子分析で抽出した特性(特性価値観、遺伝因子、環境要因など)

キャッテルは、オルポートらが抽出した4505語の独立した性格特性に因子分析を行い、以下の16の変数(根源的特性)を抽出し、キャッテル16因子質問紙(Cattell Sixteen Personality Factor Questionnaire)を作成しました。

知能、情感、自我強度、自己充足、支配性、衝動性、大胆さ、繊細さ、空想性、抗争性、不安の抑制、浮動的不安、公共心、猜疑心、狡猾、罪悪感

ビッグファイブモデル

ビッグファイブモデルとは、人のパーソナリティの特徴を5つの因子(特性次元)の組み合わせで捉える理論です。

アメリカの心理学者ゴールドバーグ,L.R.がパーソナリティ理論として確立し、現在は、アメリカの心理学者コスタ,P.T.とマックレー,R.R.のモデルが有名です。

因子(特性次元)下位特性
情緒不安定性

(neuroticism; N)

不安、敵意、抑うつ、自意識、衝動性、傷つきやすさ
外向性

(extraversion; E)

知的、文化的、美的好奇心・探求心や相続力の強さ
開放性

(openness; O)

知的、文化的、美的好奇心・探求心や相続力の強さ
調和性

(agreeableness; A)

信頼、実直さ、利他性、応諾、慎み深さ、優しさ
誠実性

(conscientiousness; C)
コンピテンス 、秩序、良心性、達成追求、自己鍛錬、慎重さ

ビッグファイブの5因子の頭文字を並べ替えると、「OCEAN=海」という単語になります。

ビッグファイブについては、「ビッグ・ファイブ理論(特定5因子モデル)とは?類型論と特性論を踏まえて解説」で詳しく解説しています。

類型論と特性論の違い

類型論と特性論の長所・短所と特徴を踏まえ、類型論と特性論の違いをまとめておきます。

類型論特性論
長所個人のパーソナリティを直感的に把握しやすい

個人のパーソナリティの全体像を大枠で理解しやすい

個人のパーソナリティを詳しく把握しやすい

パーソナリティーの比較ができる

 

短所類型に当てはまらない特徴を見逃しやすく、偏見につながりやすい

パーソナリティの変化が考慮されにくい

個人の全体像を把握しにくい

個人のパーソナリティの傾向を掴みにくい

 

公認心理師試験の出題歴

パーソナリティー理論は、第1回公認心理師試験で出題されました(正答は赤字)。

問9パーソナリティの特性に根源特性と表面特性とを仮定し、根源特性として16因子を見出した心理学者は誰か。正しいものを1つ選べ。

①C.R.Cloninger

②G.A.Kelly

③H.J.Eysenck

④J.P.Guilford

⑤R.B.Cattel

引用:第1回公認心理師試験問題

公認心理師試験については、「公認心理師とは?受験資格と特例措置、試験合格率は?臨床心理士との違いは?」で詳しく解説しています。

まとめ

心理学におけるパーソナリティ(人格)の分類

大きく類型論と特性論の2つに分類される

類型論とは

あらかじめ設定した類型に当てはめることにより、パーソナリティを理解しようとする

  • 長所:パーソナリティを直感的に把握しやすく、全体像を大まかに把握しやすい
  • 短所:偏見につながりやすく、パーソナリティの変化も考慮されにくい
特性論とは

特性をパーソナリティ構成要素とし、特性の組み合わせや配分でパーソナリティを理解しようとする

  • 長所:パーソナリティを詳しく把握でき、また、個人間の比較もできる
  • 短所:パーソナリティの全体像や傾向がつかみにくい
類型論と特性論の違い

本文記載のとおり

公認心理師試験の出題歴

第1回試験・問9

スポンサーリンク