心理学用語や心理学を活かせる仕事を解説

プライミング効果とは?具体例と心理学の実験内容は?

プライミング効果

プライミング効果とは

プライミング効果とは、先行刺激(プライム、学習や記憶の課題など)の処理が、無意識のうちに後続刺激(ターゲット)の処理に影響を与える効果です。

簡単に言い換えると「先行する情報に影響を受けて、後に起こる行動が変化すること」です。

英語では「priming effect」と表記され、日本語では「プライミング効果」や「先行刺激呈示効果」と訳されています。

MEMO
  • プライム(プライム刺激):先行する刺激
  • ターゲット:後続の刺激

プライミングとは

プライミングとは、事前にある刺激を知覚することにより、ある分野の知識や概念などが活性化される現象です。

特定の知識などを活性化させるだけでなく、活性化された知識と同じカテゴリーの知識も同時に活性化されると考えられています。

プライミング効果の種類

プライミング効果は、先行刺激(プライム)と後続刺激(ターゲット)の関係から直接プライミング効果と間接プライミング効果に分類されます。

直接プライミング効果

直接プライミング効果とは、同じ刺激がプライムとターゲットとして繰り返し提示された場合に、ターゲットの処理が促進されるプライミング効果です。

反復プライミング効果とも呼ばれます。

直接プライミング効果は、学習者にある単語を提示した後に、同じ単語の一部をマスキングして提示し、単語を完成させるテスト(単語完成テスト)で確認することができます。

例えば、以下のような単語完成テストで直接プライミング効果が見られます。

  1. 学習者にプライムとして「サイコロ」という単語を提示する
  2. その後、ターゲットとして「サ◯コ◯」を提示し、単語を完成させる
  3. プライムを与えた場合とそうでない場合を比較し、ターゲットの正答率や反応時間を調べる

プライムが与えられた場合にターゲットの正答率向上や反応時間短縮が見られれば、直接プライミング効果が生じています。

直接プライミング効果は、潜在的な想起過程で生じる現象です。

つまり、単語完成テストの回答時にはプライムを意識的に想起しているわけではなく、潜在的に想起されているのです。

間接プライミング効果

間接プライミング効果とは、異なる刺激をプライムとターゲットとして、2つの刺激を時間を空けずに提示した場合に、ターゲットの処理が促進されるプライミング効果です。

「同一ではないが関連性のある刺激」をプライムとターゲットとして提示する方法により、間接プライミング効果を確認することができます。

間接プライミング効果が見られる例としては、以下のようなものを挙げることができます。

  • ターゲットが「バ○○」:プライムとして「果物」や「黄色」を与えると「バナナ」を、「水」や「雨漏り」を与えると「バケツ」を思い浮かべやすくなる
  • プライムが「ネコ」:ターゲットとして「イヌ」を提示される方が、「猫じゃらし」を提示されるよりも、ターゲットの語彙判断にかかる時間が短くなる

直接プライミング効果と同じく、ターゲットの回答時にはプライムが潜在的に想起されおり、意識的には想起されません。

そのため、プライミング効果によって行動した本人は、その効果に気づいておらず、反応時間が早くなった理由などを聞いても答えられません。

また、プライムとターゲットの間に意味や音韻の関連がある場合の方が、それらの関連がない場合と比較してターゲットの認知が促進されます。

意味プライミング効果

意味プライミング効果とは、間接プライミング効果のうち、先行刺激と後続刺激の意味の関連性が認知処理に影響を与える効果です。

意味プライミング効果の例は、以下のとおりです。

  • 2つの異なる単語を短い時間間隔で提示し、後続の単語が有意味綴りか無意味綴りか答えさせたとき、2つの単語の間に意味関連性がある場合の方が反応時間が短くなる
  • 「パ〇ロ〇〇犬」というターゲットが提示された場合、プライムなしでは回答に時間がかかるが、「古典的条件付け」というプライムを提示すると短時間で「パブロフの犬」と回答できる

日常生活におけるプライミング効果

プライミング効果は、私たちの日常生活の至るところで生じています。

ピザとヒザ

子どもの有名な遊びで、相手に「ピザ」を10回言わせた後に、肘を指差して「ここは?」と尋ねる遊びがあります。

このとき、相手は「ピザ」というプライムを提示されたことにより、「ヒジ」ではなく「ヒザ」と誤って答えやすいものです。

先行の情報が後続の行動に影響を与えるというプライミング効果の典型的な例です。

連想ゲーム

子ども同士で「赤」という色で連想するものを言い合う連想ゲームをするとします。

このとき、連想ゲームの前に食べ物の話をしていると、ニンジンやトマトなど食べ物に関する単語が出やすくなります。

また、車の話をしていると、消防車や赤信号など車に関する単語が想起されやすくなります。

洗剤の匂い

プライミング効果についての実験結果も確認しておきます。

ある実験では、被験者を2グループに分け、1グループにはわずかに洗剤の匂いのする部屋で、もう1グループには匂いのしない部屋で食事をさせました。

その結果、洗剤の匂いがする部屋で食事したグループは、匂いがしない部屋で食事したグループと比較して、食後にテーブルの上を掃除する人が増加しました。

洗剤の匂いというプライムに影響を受けて、掃除という行動の出現頻度が上がったと考えられます。

まとめ

プライミング効果とは

先行刺激(プライム)の処理が、無意識のうちに後続刺激(ターゲット)の処理(行動)に影響を与える効果

プライミング効果の種類
  • 直接的プライミング効果:同じ刺激をプライムとターゲットとして提示すると、ターゲットの処理が促進される
  • 間接的プライミング効果:プライムとターゲットで異なる刺激を提示すると、ターゲットの処理が促進される
日常生活におけるプライミング効果
  • ピザとヒザ
  • 連想ゲーム
  • 洗剤の匂い

【参考】

  • 認知心理学キーワード|森敏昭、中條和光編|有斐閣