心理学用語や心理学を活かせる仕事を解説

保護観察官とは?なるには?採用試験の難易度と仕事内容は?

保護観察官

保護観察官とは

保護観察官とは、保護観察所や地方更生保護委員会事務局に勤務し、保護観察処分を受けた少年や成人の指導や教育を行う専門職員です。

保護観察官というのは職業の名前で、官職としての名称は「法務事務菅」です。

法務省専門職員(人間科学)採用試験(保護観察官区分)に合格することで採用されます。

保護観察官は、非行をした少年や犯罪をした成人が、再び犯罪に手を染めず社会内で自立した生活を送ることができるよう、本人の資質や能力を引き出したり周辺環境の力を活用したりしながら指導や援助を行います。

心理学などの人間科学の専門的な知見と技術を駆使して対象者と関わる他、必要に応じて保護司に助言や指導を行ったり、関係機関と有機的に連携したりしながら対象者の更生を図るなど幅広い活動を行っています。

保護観察官の仕事内容

保護観察官の中心業務は保護観察所における保護観察ですが、他にも様々な仕事をしています。

保護観察とは

保護観察とは、刑事政策の一つであり、犯罪をした人に対する処遇のうち社会内で行う処遇です。

少年院や刑務所などで行われる処遇が「施設内処遇」、「院内処遇」、「収容処遇」と呼ばれるのに対し、保護観察官が担う保護観察は「社会内処遇」と呼ばれます。

保護観察には以下のような種類があります。

1号観察 家庭裁判所が決定する保護処分としての保護観察
2号観察 少年院仮退院後から収容期間満了日または本退院まで受ける保護観察
3号観察 刑務所など刑事施設の仮釈放中に受ける保護観察
4号観察 保護観察付の執行猶予判決を受け、執行猶予期間中に受ける保護観察
5号観察 婦人補導院を仮退院した者が受ける保護観察

原則として、対象者の居住地を管轄する保護観察所が司り、担当の保護観察官と保護司が保護観察を行います。

実務上は、事件数と比較して保護観察官の数が足りず、多くのケースで保護司が中心となって保護観察を行い、緊急時などに限って保護観察官が対応するようになっています。

保護観察開始時には、対象者の問題性に応じて社会内生活を継続する上で守らなければならない遵守事項(一般遵守事項と特別遵守事項)を定めます。

一般遵守事項
  1. 健全な生活態度を保持すること
  2. 保護観察官や保護司の指導監督を誠実に受けること
  3. 保護観察官や保護司の呼び出しに応じること
  4. 保護観察官や保護司に生活状況を申告すること
  5. 住所を定めて保護観察所長に届け出を行い、その住所に居住すること
  6. 転居や旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所長の許可を受けることなど
特別遵守事項 対象者の問題性に応じて個別に設定

保護観察期間中は、保護観察官や保護司が、遵守事項を守って生活するよう対象者に指導や監督を行ったり、社会生活を軌道に乗せて持続させるために必要なサポートを行ったりします。

こうした対応により、対象者の更生を図り、ひいては再非行や再犯を抑止するのが保護観察です。

MEMO
  • 保護観察所:保護観察を行う機関。
  • 保護司:更生保護法や保護司法に基づいて法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員(無給)。保護観察中の非行少年や犯罪者の更生を担う。

保護観察所における保護観察以外の業務

保護観察所に配置された保護観察官は、保護観察以外にも様々な業務を行っています。

例えば、矯正施設収容中の少年や成人の帰住先の環境調整、BBS会(更生保護に携わるボランティア)や更生保護女性会との連絡調整、協力雇用主との連絡調整、更生保護法人の監督、保護司の研修の講師なども保護観察官の仕事です。

地方更生保護委員会事務局に配置された場合

地方更生保護委員会事務局に配置された場合、保護観察に関する事務手続きに従事します。

例えば、少年院からの仮退院や刑務所などからの仮釈放の審理の準備調査を行ったり、仮退院中の少年の本退院、仮釈放の取り消し、保護観察付の刑の執行猶予中の人の保護観察仮解除などを行います。

いずれも保護観察制度を裏で支える重要な仕事です。

保護観察官の待遇

保護観察官は国家公務員なので、心理職の中では収入が安定しており、福利厚生も充実しています。

保護観察所で勤務する保護観察官の待遇は、以下のとおりです。

給与 行政職俸給表(一)が適用

保護観察官に任命されると俸給の調整額が加算

東京都の場合、地域手当込みで初任給が216,840円

手当 扶養手当、住居手当、通勤手当、期末・勤勉手当、超過勤務手当など
勤務時間 原則として、1日7時間45分勤務(午前8時30分~午後5時15分、庁によっては宿直勤務がある)。

大規模庁では時間差通勤が可能

年次休暇(年間20日)、特別休暇(夏季休暇、産前産後休暇など)、病気休暇、介護休暇、育児休業など

勤務地 勤務地:本人の希望を考慮

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異動:原則として、採用施設を所管する矯正管区の管轄地域内(全国異動もありうる)

宿舎:勤務先の近くに設置され、原則として無料

福利厚生 健康保険:国家公務員等共済組合に加入し、組合員として病気や怪我、出産などに関連する各種給付を受けることができる

年金:退職、高度障害、死亡などによる年金制度が適用される

その他:疾病予防、人間ドック受検、臨時出費などに対する資金貸付け、財形貯蓄、保険など

研修制度

採用された後は、保護観察所または地方更生保護委員会事務局に配属され、指導官の指示監督の下で基本的な事務をこなした後に、保護観察官に任命されます。

保護観察官に任命されてから2年間は、保護観察官の業務に必要な基礎的能力を習得する実務訓練機関とされ、所属庁で実務経験を積みながら、指導官から実務の指導を受けます。

また、保護観察官中等科研修と保護観察官専修科研修という合宿形式の研修にも参加し、保護観察官としての能力を伸ばします。

保護観察官の仕事は、関係機関との有機的な連携が肝であることから、関係機関の業務に関する理解を深める目的で、少年院、刑務所、地方検察庁などに短期で派遣される研修も実施されています。

昇任(昇進)

保護観察官は能力主義が採用されており、実務経験や勤務実績に応じて統括保護観察官や保護観察所長などに昇任する道が開かれています。

保護観察官になるには

保護観察官になるには、法務省専門職員(人間科学)採用試験(保護観察官区分)に合格しなければなりません。

法務省専門職員(人間科学)採用試験には、保護観察官区分以外に矯正心理専門職区分と法務教官区分がありますが、重複受験は認められていません。

いずれも心理学などの人間科学を活用できる仕事なので、各職種の特徴を把握し、自分がどのような仕事をしたいか具体的にイメージして決めることが大切です。

受験資格

2019年度の受験資格は、以下のとおりです。

⑴ 1989(平成元)年4月2日~1998(平成10)年4月1日生まれの者

⑵ 1998(平成10)年4月2日以降生まれの者で次に掲げる者

ア 大学を卒業した者、2020年3月までに大学を卒業する見込みの者、人事院がこれらの者と同等の資格があると認める者

イ  短期大学または高等専門学校を卒業した者、2020年3月までに短期大学または高等専門学校を卒業する見込みの者、人事院がこれらの者と同等の資格があると認める者

試験の科目・方法

科目 内容 時間 配分
基礎能力試験 公務員として必要な基礎能力

知能:27題(文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈)

知識:13題(自然、人文、社会)

2時間20分 2/10
専門試験多肢 法務省専門職員(人間科学)として必要な専門的知識

40題出題(全問回答):心理学、教育学、福祉及び社会学に関する基礎(各10題)

2時間20分 3/10
専門試験記述 法務省専門職員(人間科学)として必要な専門的知識

心理学、教育学、福祉、社会学に関する領域から各1題(合計4題)

1時間45分 3/10
人物試験 個別面接

人柄、対人関係能力

2/10

その他、身体測定と身体検査が実施されます。

合格率(試験の難易度)

2018年度の受験者数、合格者数、合格率は、以下のとおりです。

区分 受験者数 合格者数 合格率
保護観察官 220 80 36%

まとめ

保護観察官とは

保護観察所や地方更生保護委員会事務局に勤務して、保護観察、保護司の助言指導、関係機関との有機的な連携など幅広い業務をこなす法務省の専門職員

保護観察官の仕事内容
  • 保護観察所:保護観察、収容者の帰住後の環境調整、BBS会・更生保護女性会・協力雇用主との連絡調整、更生保護法人の監督、保護司の研修の講師など
  • 地方更生保護委員会事務局:仮退院などの審理準備調査、仮退院中の少年の本退院、仮釈放の取り消し、保護観察付の刑の執行猶予中の人の保護観察仮解除など
保護観察官の待遇

本文に記載のとおり

保護観察官になるには

本文に記載のとおり

【参考】

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