心理学用語や心理学を活かせる仕事を解説

選択的注意とは?具体例はカクテルパーティ効果?

選択的注意

選択的注意とは

選択的注意とは、感覚器官で知覚した外界の情報(刺激)のうち、一部の情報だけを選択して注意を向ける認知機能です。

私たちは膨大な情報に囲まれて生活しており、感覚器官はそれらの情報を無差別に取り込みますが、取り込んだ情報の全てを処理できるわけではありません。

取り込まれた情報のうち、興味や関心が向いた情報だけを選択して注意を向け、また、注意を向けた情報の一部を記憶として貯蔵しているのです。

アメリカ合衆国の心理学者アトキンソン,R.L.とシフリン,R.M.が提唱した記憶の二重貯蔵モデル(多重貯蔵モデル)では、以下の流れで記憶が貯蔵されると説明されています。

ポイント

情報入力→感覚記憶→選択的注意→短期記憶→リハーサル→長期記憶

選択的注意は、以下で解説するカクテルパーティー効果に代表されるように聴覚情報に関する研究が有名ですが、聴覚情報以外でも確認されています。

記憶の二重貯蔵モデルについては、「記憶の二重貯蔵モデル(多重貯蔵モデル)における記憶の種類とは?」で詳しく解説しています。

カクテルパーティー効果

選択的注意の代表例として、カクテルパーティー効果を挙げることができます。

カクテルパーティー効果とは、音声に関する選択的注意で、パーティー会場のような騒がしい場所においても特定の人との会話に注意を向けることができる現象です。

カクテルパーティーは、カクテルと軽食がメインの立食形式のパーティーのことで、大勢の人が雑談している状況を表す単語として使用されています。

カクテルパーティー効果の例

カクテルパーティー効果は、日常生活の至るところで確認することができます。

  • 街中で、大勢の人の話し声や音楽が聞こえる中で友人と会話する
  • オーケストラの演奏中に特定の楽器の音だけに集中する
  • 森の中で鳥の声を聞き分ける

選択的注意の研究(聴覚)

選択的注意は、イギリスの認知心理学者チェリー,E.C.の研究を端緒として、様々な研究が行われてきました。

チェリーの注意フィルター説(早期選択説)

チェリーは、被験者の左右の耳に異なる音声刺激を同時に与える「両耳分離聴」という実験により、選択的注意を研究しています。

両耳分離聴実験の手順は、以下のとおりです。

  1. 被験者の左右の耳に別々の音声メッセージを流す
  2. 被験者に対して左右いずれか一方にのみ注意を払うよう指示する
  3. 被験者に注意を向けた方の音声メッセージをシャドーイングさせる(音声を聴いた後、即座に復唱させる)
  4. 左右の耳から聞こえた音声メッセージの内容を報告させる

この実験では、被験者は注意を向けなかった方の音声メッセージをほとんど復唱することができないという結果が得られました。

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チェリーは、実験の結果から、注意を向けなかった情報が入力の早期段階でフィルターにかかって失われる(知覚された情報を処理しない)と考えました。

また、注意を向けなかった方の音声メッセージに機械音を挿入したところ、被験者が機械音に気づいたことから、注意が向けられなかった情報は、物理的な処理はなされるが意味的な処理はなされないと主張しました。

ブロードベントの記憶のフィルターモデル

アメリカ合衆国の心理学者ブロードベント,D.E.は、被験者の左右の耳にランダムな数字を流し、順不同に数字を再生させるという両耳分離聴の実験を行いました。

そして、実験の結果から、左右の耳のフィルターを切り替えることで処理される情報が選択されると考えました。

また、ブロードベントは、記憶のフィルターモデルという理論を提唱しています。

記憶のフィルターモデルでは、情報処理の初期段階に情報を選択するフィルターが仮定されています。

そして、感覚器官が取り込んだ全ての情報に物理的処理がなされた後、フィルターを通過した情報のみ意味的処理がなされて短期記憶または長期記憶に貯蔵されると説明されています。

トリーズマンの減衰モデル

トリーズマン,A.は、注意を向けていない方の耳から聞こえる情報が完全に失われるわけではなく、意識せず意味的処理がなされることを明らかにしました。

そして、注意が向けられていない情報がフィルターによって完全に排除されるのではなく、弱められているだけであると主張しました。

ドイチェらの最終選択モデル

ドイチュらは、注意を向けていない音声であっても、自分の名前が含まれていると被験者が気づくことなどから、感覚器官が取り込んだ情報は全て意味的処理まで行われた後、意識される情報が選択されると考えました。

ラヴィの負荷理論

ラヴィは、知覚情報処理にかかる資源は有限であるという前提に立ち、選択的注意が初期選択的になされるか後期選択的になされるかは、情報処理にかかる負荷の大きさによって決定されるという負荷理論を提唱しました。

負荷理論では、知覚された情報量が少ない(負荷が低い)状況では注意を向けていない情報にも意味的処理がなされる一方で、情報量が多い(負荷が高い)状況では注意を向けた情報のみが処理されると説明されます。

まとめ

選択的注意とは

知覚した情報のうち一部の情報だけを選択して注意を向ける認知機能

カクテルパーティー効果
  • 音声に関する選択的注意で、パーティ会場のような騒がしい場所でも、特定の人との会話に注意を向けることができる現象
選択的注意の研究(聴覚)
  • チェリーの注意フィルター説
  • ブロードベントの記憶フィルターモデル
  • トリーズマンの減衰モデル
  • ドイチェらの最終選択モデル
  • ラヴィの負荷理論
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