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自己効力感(セルフ・エフィカシー)とは?高める方法とバンデューラの理論

自己効力感 セルフ・エフィカシー

自己効力感(セルフ・エフィカシー)とは

自己効力感とは、「ある状況において、自分が行動の主体であり、行動をコントロールできており、外部からの要請にも対応できるという自分自身の認知」のことです。

「自分がこれからしようとしている行動について、どれくらいできると思っているかという自信」と言い換えることもできます。

英語では「self efficacy」と表記され、日本語では「自己効力感」と訳されるか「セルフ・エフィカシー」とカタカナ表記されます。

アメリカ合衆国の心理学者バンデューラ.A.が、社会的学習理論を発展させた社会的認知理論の中で提唱した概念であり、その理論の中核となるものです。

バンデューラの社会的学習理論については、「バンデューラの社会的学習理論とは?観察学習とモデリングの内容は?」で詳しく解説しています。

自己効力感は自分自身の「認知」

自己効力感は、自分自身の認知、つまり、「自分のことを自分がどう思っているか」です。

他人からどう評価されているか、客観的に見てどうかよりも、「自分自身をどう評価しているか。」が重要になります。

自己効力感が高い人と低い人の特徴

自己効力感が高い人と低い人では、物事に取り組む姿勢や日常生活における言動や態度が大きく異なります。

自己効力感特徴
高い何事にも積極的に取り組む

地道に努力する

困難なことでも失敗を恐れずチャレンジする

失敗しても立ち直る

低い何事にも消極的な姿勢を示す

結果が見えないとすぐ諦める

簡単なことでも失敗を恐れて行動を躊躇する

失敗すると落ち込んで立ち直りにくい

自己効力感と自尊心の違い

自己効力感と混同されやすいものに、自尊心があります。

自尊心(self esteem)とは、自分自身を価値ある存在であると肯定的に捉えるタイトです。

他人からの評価ではなく、「自分自身が自分をどう思い、どう感じるか。」という点は自己効力感と共通します。

しかし、自己効力感が「自分がどの程度のことができるかの自信」であるのに対して、自尊心は「自分のありのままを受け入れる態度」でああり、この点が違います。

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社会的認知理論

社会的認知理論とは、人の行動(知的発達や社会的発達など)を、個人要因、状況(環境)要因、自分や他人の行動の相互関係の中で捉えて説明する理論です。

バンデューラは、社会的認知理論において、人が持つ基本的な認知能力を5つ挙げています。

象徴的能力象徴を用いる能力
代理的能力直接経験やそれに伴う強化がなくても、他人の行動を観察するだけで学習する能力
予期能力行動をどの程度うまくできるか、行動によってどのような結果が得られるかを予期する能力
自己制御能力「自分として望ましい達成レベル」と「社会的に望ましいレベル」に応じて自分の行動を制御する能力
自己反省能力過去の経験を分析し、経験を次に活かす能力

自己効力感に関わりが深いのは、予期能力と自己制御能力です。

予期能力(効力予期と結果予期)

バンデューラは、人の行動には効力予期と結果予期の両方が必要であると説明しています。

効力予期ある結果を得るための行動をどの程度うまくできるかに関する予期
結果予期ある行動をすることで得られる結果に関する予期

2つの予期が生じる時期と行動、結果の順番は、以下のとおりです。

人→【効力予期】→行動→【結果予期】→結果

人は、自分の行動がどのような結果を生み出すかを予期(結果予期)し、良い結果をもたらすと予期すればその行動を積極的に行い、悪い結果をもたらすと予期すればその行動を回避します。

しかし、結果だけを予期しているわけではなく、ある結果を得るための行動を「自分がどれくらいうまくできるか」についても予期(効力予期)しています。

この予期が「自己効力感(セルフ・エフィカシー)」です。

人は、自己効力感が高い行動にはチャレンジしますが、自己効力感が低い行動には消極的になりやすいものです。

効力予期と結果予期の組み合わせによって、人は様々な行動をします。

効力予期
良い悪い
結果予期良い自発的に行動

自信を持って行動

劣等感を抱く

自分に失望する

悪いチャレンジする

行動する前に言い訳する

諦める

抑うつ状態になる

自己制御能力(願望的基準と社会道徳的基準)

人は、願望的基準(自分が望ましいと考える達成レベル)と社会道徳的規準(社会的に望ましいレベル)に応じて、自分の行動をコントロールします。

願望的基準は、知識やスキルを獲得したり目標を達成したりすることで常に変化し、目標達成が自己効力感の向上をもたらし、次の行動へのモチベーションを高めます。

一方で、社会道徳的基準は、日常生活の中で親などから示される基準です。

基準に合致した行動をすると周囲から賞賛されることを、合致しない行動をすると罰せられることを予期するようになり、所属する社会のルールに応じた行動を身につける土台となります。

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自己効力感の種類

バンデューラは、自己効力感を「自己統制的」、「社会的」、「学習的」の3つに分類しています。

自己統制的自己効力感自分の行動をコントロールできるという確信や自信

【例】

失敗をしても立ち直る

困難な壁でも試行錯誤して乗り越えるなど

社会的自己効力感所属する集団(社会)における対人関係に関する自己効力感

【例】

上司と部下の間に立って職場の人間関係を良好に保つ

自分は職場で欠かせない人材であるなど

学習的自己効力感学習場面における自己効力感

【例】

知識やスキルを獲得する

地道に勉強して良い成績をとるなど

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自己効力感を高める要因

バンデューラが自己効力感を高める要因として挙げたのは4つですが、その後、マダックス.J.E.が5つめの要因を挙げています。

達成経験

達成経験とは、自分自身が何らかの行動を起こして目標を達成したり成功したりした経験です。

自己効力感を高めるために最も重要な要因とされています。

目標達成により、自分の行動やその行動を選択したことに対する自己評価が向上し、その他の行動に対するモチベーションが高まります。

代理経験

代理経験とは、他人が行動して目標を達成したり成功したりする様子を観察する経験です。

バンデューラは、社会的学習理論の中で、人が模倣という代理学習の能力を有し、他人の行動を観察するだけでも学習を成立することを明らかにしています。

代理経験のメカニズムは代理学習と同じです。

つまり、他人の経験を自分が経験したかのように感じることで、「自分にもできるかもしれない。」という感覚を持ち、自己効力感を高めることができるのです。

言語的説得

言語的説得とは、他人から評価されたり激励されたりすることです。

人は誰でも何らかの社会に所属しており、その中で評価されたり激励されたりすることで自信や有能感を高めています。

言語的説得によって自己効力感が高まるか否か、また自己効力感が高まる程度は、言語的説得をした相手によります。

評価されたいと思っていた人からの言語的説得であれば自己効力感が高まりますが、赤の他人や関わりの薄い人から説得されても効果は乏しくなります。

また、経験に裏付けられた自己効力感と違い、実際に困難な状況に直面すると急速に自信や有能感が低下するという特徴があります。

生理的情緒的高揚

生理的情緒的高揚とは、生理的または情緒的に高揚した状態になることです。

飲酒、喫煙、服薬などによる心と身体の変化によって自己効力感が高まることがあります。

想像的体験

想像的体験とは、成功や達成を想像の中で体験することです。

いわゆる「思い込み」ですが、成功や達成をそこへ至る筋道を含めて具体的に思い描くことにより、自己効力感が高まることがあります。

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公認心理師試験の出題歴

自己効力感は、第1回公認心理師試験に出題されました(正答は赤字)。

問22 自分の特定の行動を成功裏に遂行できるという感覚や信念を表す用語として、最も適切なものを1つ選べ。

①自己効力

②自己調整

③自尊感情

④コンピテンス

⑤ポジティブ感情

引用:第1回公認心理師試験問題

公認心理師試験については、「公認心理師とは?受験資格と特例措置、試験合格率は?臨床心理士との違いは?」で詳しく解説しています。

まとめ

自己効力感とは

自分自身の行動について、どれくらいうまくできると思っているかという認知(効力予知)

社会的認知理論

人の行動を、個人要因、状況(環境)要因、自分や他人の行動の相互関係の中で捉えて説明する理論

【予知能力】

  • 効力予知:結果を得るための行動をどの程度うまくできるかに関する予期(自己効力感)
  • 結果予知:行動することで得られる結果に関する予期

【自己制御能力】

  • 願望的基準:知識やスキルの獲得や目標達成など常に変化する基準で、目標達成が自己効力感の向上をもたらす
  • 社会道徳的規準:社会に応じた行動を身につける基礎
自己効力感の種類
  • 自己統制的自己効力感
  • 社会的自己効力感
  • 学習的自己効力感
自己効力感を高める要因
  • 達成経験
  • 代理経験
  • 言語的説得
  • 生理的情緒的高揚
  • 想像的体験
自己効力感を高める要因

第1回試験・問22

【参考】

  • セルフ・エフィカシーの臨床心理学|坂野 雄二 (著、 編集)、 前田 基成 (著、 編集)、 川原 健資 (著)、 嶋田 洋徳 (著)、 鎌原 雅彦 (著)、 鈴木 伸一 (著)ら|北大路書房