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療育手帳とは?申請と判定、取得後の手続きとメリットは?

療育手帳とは

療育手帳とは、知的障害児(知的障害者)の福祉向上を目的として、一貫した指導や相談を行い、各種援助を受けやすくするために発行される手帳です。

療育手帳を取得すると、知的障害の子どもに対する指導や相談、各種援助をまとめて受けることができるようになります。

療育手帳の規定

療育手帳は、法律の規定に基づいて発行される身体障害者手帳や精神障害者手帳と異なり、1973年(昭和48年)9月27日付厚生事務次官通知「療育手帳制度の実施について」などに基づいて、都道府県知事や政令指定都市の長が知的障害と判定した人に発行します。

そのため、手帳の名称、様式、申請の流れ、判定機関、等級(認定区分)、受けられる指導・相談・援助の内容は、地方自治体によって異なります。

MEMO
政令指定都市:法定人口が50万人以上の市の中で、政令で指定されたもの

療育手帳の名称

療育手帳という名称が定着していますが、独自の名称がつけられている地域もあります。

  • 東京都:愛の手帳
  • さいたま市:みどりの手帳
  • 横浜市:愛の手帳
  • 名古屋市:愛護手帳
  • 青森市:愛護手帳

療育手帳の申請と判定

療育手帳の申請手続きについて確認していきます。

療育手帳の交付対象

療育手帳の交付対象は、児童相談所または知的障害者構成相談所で知的障害の判定を受けた人です。

療育手帳の申請

療育手帳の交付申請先は、都道府県知事(政令指定都市は市町)ですが、居住地を管轄する福祉事務所の長を経て都道府県知事に申請される取扱いです。

そのため、療育手帳の交付を希望する場合、住んでいる地域の市区町村役場や児童相談所に申請を行います。

申請先市区町村役場の福祉担当窓口(福祉事務所)
必要書類
  • 療育手帳交付申請書(郵送で取り寄せ可能)
  • 写真1枚(申請から1年以内に撮影したもの、縦4cm×横3cm)
  • 印鑑(認印)
申請後
  1. 子どもと保護者が、児童相談所もしくは市区町村役場の福祉担当窓口(福祉事務所)で申請
  2. 児童相談所の小児科医や心理判定員による診察、面接、心理テスト、聴取
  3. 結果通知(郵送)
  4. 市区町村役場の福祉担当窓口(福祉事務所)で療育手帳を受け取り、担当者から手帳の説明を受ける

療育手帳の判定

  • 判定機関:児童相談所(18歳以上の場合は知的障害者更生相談所)
  • 判定方法:精神科の診断書(診断書がない場合、知的障害の有無と程度、社会生活や日常生活における行動上の障害を総合的に判断して判定する)

児童相談所の小児科医や心理判定員による診察、面接、心理テスト、聴取により、子どもの言語能力、感情表現の有無や程度、運動機能、身の回りのことが自力でできるかどうか、一般知識、学力などを見極めた上で判定されます。

療育手帳の等級(認定区分)

療育手帳の等級(認定区分)は、判定する地方自治体によって異なります。

以下、等級と基準となる知能指数について示しておきます。

実際の判定は知能指数だけでなく、社会性、運動能力、意思疎通性、健康、基本的生活などを総合して判定されます。

A区分・B区分

  • A区分:IQが35未満(重度知的障害以上)、もしくは、IQが50未満(中度知的障害以上)で身体障害がある
  • B区分:IQが35~49(中度知的障害)

A1区分・A2区分・B1区分・B2区分

  • A1区分:IQ35未満(重度知的障害以上)
  • A2区分:IQ35~49(中度知的障害)で3級以上の身体障害がある
  • B1区分:IQ35~49(中度知的障害)
  • B2区分:IQ50~69(軽度知的障害)

〇A区分・A区分・B区分・C区分

  • 〇A区分:IQ20未満(最重度知的障害)
  • A区分:IQ20~34(重度知的障害)
  • B区分:IQ35~49(中度知的障害)
  • C区分:IQ50~69(軽度知的障害)

1級・2級・3級

  • 1級:障害者手帳の1級と同程度
  • 2級:障害者手帳の2級と同程度
  • 3級:障害者手帳の3級以上と同程度

1度・2度・3度・4度

  • 1度(最重度):知能指数がおおむね19以下
  • 2度重度:知能指数がおおむね20~34
  • 3度中度:知能指数がおおむね35~49
  • 4度軽度:知能指数がおおむね50~75

療育手帳をが交付された後の手続き

療育手帳が交付された後の手続きとしては、障害程度の再認定、障害程度の変更、療育手帳の再交付、氏名・住所の変更、療育手帳の返還があります。

各手続の必要書類は、以下のとおりです。

再認定

  • 療育手帳障害程度確認申請書
  • 印鑑(認印)

障害程度の変更

  • 療育手帳程度確認申請書
  • 写真1枚(申請から1年以内に撮影したもの、縦4cm×横3cm)
  • 印鑑(認印)

療育手帳の再交付

  • 療育手帳再交付申請書
  • 写真1枚(申請から1年以内に撮影したもの、縦4cm×横3cm)
  • 印鑑(認印)

氏名・住所変更

  • 療育手帳氏名・住所変更届
  • 療育手帳原本
  • 印鑑(認印)

療育手帳の返還

  1. 療育手帳変換届
  2. 療育手帳原本
  3. 印鑑(認印)

療育手帳のメリット

療育手帳の取得によって得られるメリット(利用できるサービスや援助など)は多いですが、いずれも住んでいる地方自治体によって異なるため、事前に申請窓口に問い合わせる必要があります。

以下、一般的なメリットについて紹介します。

特別児童扶養手当の受給

特別児童扶養手当とは、精神または身体に障害のある20歳未満の児童の福祉増進を図る目的で、心身に障害のある児童の保護者に支給される手当です。

根拠法令は、特別児童扶養手当等の支給に関する法律です。

療育手帳(一定の等級以上)を取得している場合、特別児童扶養手当を受給できます。

ただし、特別児童扶養手当と療育手帳は異なる制度であり、交付や支給の要件が異なるため、療育手帳を取得していれば必ず特別児童扶養手当が受給できるわけではありません。

例えば、「A1区分・A2区分・B1区分・B2区分」を採用する地方自治体では、B区分では受給対象とならないことがあります。

障害児福祉手当

障害児福祉手当とは、重度障害児の福祉向上を目的として、障害のために必要な精神的・物質的負担軽減のために支給される手当です。

支給対象は、精神または身体の重度の障害によって日常生活に常時介護が必要な状態にある在宅の20歳未満の人です。

療育手帳とは別に手続きが必要であり、療育手帳の取得以外の要件も満たさなければなりません。

重度心身障害者医療費支給制度

重度心身障害者医療費支給制度とは、健康保険に加入する重度心身障害者が医療機関等を受診した場合に、窓口で支払われる医療費のうち自己負担額を地方自治体が負担する制度です。

療育手帳とは別に申請しなければなりません。

療育手帳の判定によっては対象とならない場合があり、また、負担額は地方自治体によって異なります。

また、以下の条件に当てはまる場合も対象から除外されます。

  • 生活保護法による医療扶助を受けている
  • 後期高齢者医療制度の適用を受ける
  • 本人の所得が所得制限額を超えている
  • 配偶者及び本人の生計を維持している扶養義務者(直系血族及び兄弟姉妹)の所得が所得制限額以上
  • 他の市町村において本制度と同様の制度の適用を受けている

特別障害者手当

特別障害者手当とは、精神または身体の著しく重度な障害によって日常生活で常時特別介護を必要とする人の福祉向上を目的として、重度障害のため必要な精神的・物質的負担軽減のために支給される手当です。

支給対象は、精神または身体に著しく重度の障害があり、日常生活で常時特別介護を要する在宅の20歳以上の人です。

療育手帳とは別の制度であり、別途申請が必要です。

その他

その他、以下のようなサービスや援助を受けることができます。

  • 地方税・住民税の控除
  • 自動車税・軽自動車税・自動車取得税の減免
  • 公営住宅への優先入居
  • 有料道路の料金割引
  • JRの旅客運賃や料金の割引
  • 日本国内線の航空運賃の割引
  • NHK受信料免除
  • 生活保護の障害者加算
  • 生活福祉資金の貸し付け
  • NTT番号案内料金無料
  • 携帯電話使用料の割引
  • 公共施設の利用料金割引

療育手帳を提示するだけで利用できるものもあれば、療育手帳の取得を条件として、別途手続きが必要になるものもあります。

発達障害で療育手帳は取得できるか

発達障害の子どもが知的障害を合併している場合は、知的障害の程度に応じて療育手帳を取得できます。

一方で、例えば、アスペルガー症候群のように知的発達水準に遅れのない発達障害の子どもについては、原則として、取得されません。

地方自治体によって判定基準がまちまちで、おおむね同じ症状を持つ子どもが、ある地域では療育手帳を取得できたにも関わらず、転居後に更新できなくなったという例もあります。

発達障害については、「発達障害とは?乳児期の赤ちゃんに見られる特徴や兆候は?」で詳しく解説しています。

まとめ

療育手帳とは

知的障害児(者)の福祉向上を目的として、一貫した指導や相談、各種援助を受けやすくするために発行される手帳

療育手帳の申請と判定
  • 療育手帳の交付対象:児童相談所などで知的障害の判定を受けた人
  • 療育手帳の申請:必要書類を揃えて市区町村役場に申請
  • 療育手帳の判定:精神科の診断書などで行われる
  • 療育手帳の等級(認定区分):地方自治体によって異なる
療育手帳が交付された後の手続き
  • 再認定
  • 障害程度の変更
  • 療育手帳の再交付
  • 氏名・住所変更
  • 療育手帳の返還
療育手帳のメリット

各種サービスや指導・相談が受けられる

発達障害で療育手帳は取得できるか

知的障害を合併してる場合は、障害の程度に応じて取得できる

【参考】

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