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特別支援教育とは?必要な免許・資格と支援対象の子供、教育の課題は?

特別支援教育

特別支援教育とは

特別支援教育とは、特別支援学校などで実践される教育内容です。

文部科学省は、特別支援教育を以下のとおり定義しています。

「特別支援教育」とは、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものです。

引用:特別支援教育について:文部科学省

特別支援教育の推移

旧学校教育法では「特殊教育」という名称で、対象は「視覚障害」、「聴覚障害」、「知的障害」、「肢体不自由」、「病弱」、「その他心身に故障のある者で、特殊学級において教育を行うことが適当なもの」と規定されていました。

しかし、2001年頃から文部科学省が「特別支援教育」という名称を使い始めます。

また、2006年(平成14年)に成立した改正学校教育法では、対象が「その他教育上特別の支援を必要とする児童・生徒及び幼児」に拡大され、学校教育法施行規則で、学習障害やAD/HDも対象に含まれるようになりました。

特別支援学校への一本化

2007年4月、改正学校教育法に基づいて、盲学校、聾学校、養護学校が特別支援学校に一本化されました。

ただし、名称が変更されても、学校ごとに教育を行う主な障害の種別を定めることは認められているほか、地域の幼稚園、小学校、中学校、高等学校に在籍する子供の教育への助言や支援も担うことが求められています。

特殊学級から特別支援教室へ

それまでの特殊学級から特別支援教室という制度への移行も進められています。

特別支援教室とは、発達障害の子供などの個別の教育的ニーズに対応した指導を行う教室です。

通級指導学級と同じく、子供の教育的ニーズに応じた自立活動による指導教育が行われることになっています。

特別支援教育の対象

特別支援教育の対象は、学校教育法第81条に規定されています。

1 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校においては、次項各号のいずれかに該当する幼児、児童及び生徒その他教育上特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対し、文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする。

2 小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。

 知的障害者

 肢体不自由者

 身体虚弱者

 弱視者

 難聴者

 その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの

3 前項に規定する学校においては、疾病により療養中の児童及び生徒に対して、特別支援学級を設け、又は教員を派遣して、教育を行うことができる。

(学校教育法第81条)

また、文部科学省の「特別支援教育の推進について(通知)」では、以下のとおり書かれています。

「特別支援教育は、これまでの特殊教育の対象の障害だけでなく、知的な遅れのない発達障害も含めて、特別な支援を必要とする幼児児童生徒が在籍する全ての学校において実施されるものである」

引用:特別支援教育の推進について(通知):文部科学省

学校教育法の「その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの」には発達障害も含まれることが分かります。

特別支援教育が実施される場所

特別支援教育は、特別支援学校と特別支援学級における教育に加え、通級における指導も行われています。

小学校、中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程において(中略)該当する児童又は生徒(特別支援学級の児童及び生徒を除く。)のうち当該障害に応じた特別の指導を行う必要があるものを教育する場合には、(中略)特別の教育課程によることができる。(以下略)

(学校教育法施行規則第140条)

前条の規定により特別の教育課程による場合においては、校長は、児童又は生徒が、当該小学校、中学校、義務教育学校又は中等教育学校の設置者の定めるところにより他の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部において受けた授業を、当該小学校、中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程において受けた当該特別の教育課程に係る授業とみなすことができる。

(学校教育法施行規則第141条)

特別支援教育に必要な免許・資格

特別支援学級の教員は、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の教諭免許状に加え、特別支援学校の教諭免許状も持っている必要があります。

ただし、「当面の間」は、特別支援学校教諭免許状が無くても、特別支援学校に勤務することが可能です。

また、特別支援学級の担任教諭や、通級指導を担当する教諭には特別支援学校教諭免許状が必要という規定がありません。

この点は、特別支援教育の在り方に関する特別委員会の資料にまとめられています。

  • 特別支援学校の教員は、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校の教諭免許状のほか、特別支援学校教諭免許状を有していなければならない(法第3条第3項)。
  •  ただし、専ら「自立教科等」の教授を担任する教員は、「自立教科等」について授与された特別支援学校教諭免許状を有していればよい(同条同項)。
  • 法第3条の規定にかかわらず、幼・小・中・高の教諭免許状を有する者は、「当分の間」特別支援学校の相当する部の教諭等となることができる(法附則第16項)。
  • 特別支援学級担任や、通級による指導を担当する教員については、特別支援学校教諭免許状を有すること等の法令上の規定はない。

引用:特別支援教育に係る教育職員免許上について:文部科学省

MEMO

特別支援学校免許状は5つの領域(知的障害者、肢体不自由者、病弱者、聴覚障害者、視覚障害者)があります。

 

また、重複障害や発達障害に関しては、教育課程で履修が必要な科目に規定されています。

特別支援教育の課題

特別支援教育が制度化され、障害のある子供一人ひとりへのきめ細かな教育が実践されたり、発達障害の子供も対象とした教育も行われたりするようになったことで、教育を受ける子供が増えています。

しかし、多様化した保護者や子供のニーズに対応できるだけの体制が学校側になく、教室不足などの課題が表面化しています。

また、特別支援学校教諭免許状をもった教員も不足しており、通常の教諭免許状しか持たない教員が特別支援教育を行っているという問題も指摘されています。

上で解説したとおり法的な問題はありませんし、免許状を持っていなくても研修などで必要な知識や技術を得た上で教育に当たっているはずですが、今後は、より高度な知識と技術を持った教員の増加が求められています。

また、高校でも特別支援教育を実践し、高校生のニーズに応じた支援や教育の方法を確立することも課題と言えます。

公認心理師試験の出題歴

特別支援教育は、第1回公認心理師試験に出題されました(正答は赤字)。

問27 特別支援教育について、正しいものを1つ選べ。

①私立学校では実施されていない。

②特別支援学校教諭免許状が必須である。

③対象となる障害種別は発達障害と知的障害である。

④特別支援学校及び特別支援学級の2か所で行われる。

⑤就学に際して専門家及び保護者の意見聴取が義務づけられている。

引用:第1回公認心理師試験

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まとめ

特別支援教育とは

特別支援学校などで、各種障害のある子供を対象として実践される教育

特別支援教育の対象

知的障害者肢体不自由者身体虚弱者弱視者難聴者、その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの(発達障害など)

特別支援教育が実施される場所
  • 特別支援学校
  • 特別支援学級
  • 通級指導
特別支援教育に必要な免許・資格

特別支援学校教員免許状(ただし、持っていなくても教育できることもある)

特別支援教育の課題
  • 保護者や子供のニーズへの対応
  • 特別支援学校教員免許状を持った教員の不足
  • 高校における特別支援教育の充実
公認心理師試験の出題歴

第1回試験・問27