歩行反射(自動歩行)|原始反射

歩行反射 自動歩行

歩行反射(自動歩行)とは

歩行反射とは、両脇を支えて立たせた赤ちゃんの足の裏を床につけさせ、陽性支持反射を起こした状態で、身体を前方へ傾けると、歩いているように足を交互に出す原始反射です。

英語では「stepping reflex」と表記し、日本語では「歩行反射」や「自動歩行」と訳されます。

歩行反射は、出生後すぐに立って歩くことができる動物だった頃の名残で、二足歩行するための基礎となる反射だと考えられています。

実際に自分の足で立って歩き始めるのは幼児期に入ってからですが、その基礎は新生児の頃から培われているのです。

なお、妊婦健診時の超音波検査(エコー検査)で、赤ちゃんが子宮内で歩行反射する様子を確認できることもあります。

陽性支持反射

陽性支持反射とは、両わきを支えて立たせた赤ちゃんの足の裏を床につけると、つま先を突っ張るようにして身体を支える原始反射です。

つまり、歩行反射が起こる前提となる反射です。

陽性支持反射は、在胎35週頃に出現して生後2ヶ月頃に自然消失するのが正常で、消失しない場合は脳性麻痺などの障害を疑います。

原始反射とは

原始反射とは、脳幹や脊髄に反射中枢を持つ、胎児期から乳児期にかけて見られる反射です。

引用:原始反射|psycho-lo

以前は、ポルトマン,A.が「生理的早産」と表現したように、人の赤ちゃんは無力で弱い状態で出生すると考えられていました。

しかし、研究が重ねられ、赤ちゃんが様々な能力を持って生まれることが明らかにされており、原始反射もその一つとされています。

MEMO

生理的早産:ポルトマンが、出生時の人の赤ちゃんが、他の離巣性の哺乳類と比較して未熟な状態にあることを表現したもの

原始反射の役割

原始反射には2つの大きな役割があります。

生命維持 生まれたばかりの未熟な赤ちゃんが、胎外に適応するのを支援する
発達促進 原始反射による反応が継続的に起こることにより、赤ちゃんの随意行動の出現が刺激される

指標としての原始反射

原始反射は、出生直後から確認でき、一定の時期に消失するという特徴があります。

そのため、神経学的障害を確認する指標として乳幼児健診や小児科の現場で活用されています。

ある月齢で起こるべき反射がない、消失すべき月齢で残っている、反応の左右差が常にある、一度は消失した反射が再び出現するなどの場合、原始反射の異常を疑います。

歩行反射(自動歩行)の出現時期と消失時期

歩行反射の出現時期と消失時期は、以下のとおりです。

  • 出現時期:出生後
  • 消失時期:生後3~4ヶ月

歩行反射は、在胎37週頃に出現し、胎内でも頻繁に歩行反射が起きており、生まれた直後から確認することができます。

健常な赤ちゃんの場合、生後3ヶ月に消失すると考えられていました。

しかし、セレン,Eらは、歩行反射が消失(したように見える)赤ちゃんの両足を水中(陸上と比較して両足にかかる負荷が軽い)に入れる実験を行い、水中では歩行反射のように足を動かす様子が見られることを明らかにしました。

つまり、歩行反射が生後3ヶ月頃に消失するわけではなく、体重増加に見合う筋力が発達していないために一時的に消失したように見えるだけであることが明らかにされたのです。

赤ちゃんの歩行反射が消失し、「足を痛めたのではないか。」、「異常があるのではないか。」などと心配する親がいますが、体重と筋力のアンバランスによって一時的に見られなくなっているだけです。

そして、こうした現象は健常な赤ちゃんが通る過程であり、問題なく成長している証であり、生後1歳前後になると自発的な歩行が見られるようになります。

歩行反射(自動歩行)の確認方法

歩行反射は、以下の方法で確認することができます。

  1. 赤ちゃんが安全に歩くことができる場所を準備する
  2. 赤ちゃんの両わきを後ろから支えて立たせる
  3. 赤ちゃんの足の裏を床につけさせる
  4. 陽性支持反射を起こさせる
  5. 赤ちゃんの身体を前方へ傾ける(赤ちゃんが怖がらないようにゆっくり)

赤ちゃんが、左右の足を交互に出せば反射が残っており、足を出さなければ消失したと考えます。

乳幼児健診では、効率的に検査項目を全て確認するために、診察室のベッド上などで他の項目と一緒に短い時間で確認します。

しかし、家庭で確認する場合は、安全を確保した上で慎重に行ってください。

布団やソファの上など柔らかい場所だとうまく足を出せないため、つまづきの原因になる物を取り除いたフローリングや畳の上などに足をつけさせるのが基本です。

また、急に身体を傾けると怖がってしまうので、赤ちゃんの様子を見ながらゆっくり傾けてなければなりません。

歩行反射(自動歩行)を確認するときの注意点

歩行反射を確認するで注意したいのが、赤ちゃんの身体の状態です。

陸上で歩行反射が見られる赤ちゃんの多くは、首すわりが完成していません。

自分で歩くことはもちろん、自分の体を支えたり、立ったままバランスを保ったりすることもできない状態です。

低月齢であるほど両脇を抱えると頭が前後左右に揺れますし、身体も折れ曲がります。

そのため、歩行反射を確認する場合は、2人以上が立ち会い、一人が赤ちゃんを抱えて反射を促し、もう一人が赤ちゃんの首の辺りに手を添えてください。

近年、我が子の歩行反射を動画に残そうとして、反射を起こさせる役と撮影役を一人で担おうとした結果、赤ちゃんが転んで床で頭を強打するという事故が頻発しています。

「歩行反射を見てみたい。」、「記録に残したい。」という親の気持ちは理解できますが、安全面には十分すぎるほど配慮しなければなりません。

まとめ

歩行反射(自動歩行)とは

陽性支持反射を起こした状態で、赤ちゃんの身体を前方へ傾けると、歩いているように足を交互に出す原始反射

陽性支持反射:赤ちゃんの両わきを支えて立たせ、足の裏を床につけると、つま先を突っ張るようにして身体を支える原始反射

歩行反射の出現時期と消失時期
  • 出現時期:出生後
  • 消失時期:生後3~4ヶ月

【確認方法】

  1. 赤ちゃんが歩いても安全な場所を確保する
  2. 両わきを支えて立たせる
  3. 足の裏を床につけさせる
  4. 陽性支持反射を起こす
  5. 身体を前方へ傾ける

【参考】

  • 発達心理学の最先端 認知と社会科の発達科学|中澤潤編著|あいり出版

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