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スーパーの発達理論における発達段階と発達課題

スーパー 発達理論

スーパーの発達理論とは

スーパーの発達理論とは、アメリカ合衆国のキャリア研究者であるスーパー,D. E.が提唱した発達理論です。

スーパーは、人のキャリアが生涯を通して発達すると考えた人物です。

ギンズバーグのキャリア発達理論などの研究を発展させて人生を5つの発達段階に分け、人が、各段階の発達段階に取り組むことで人間的な成長を遂げるというライフステージ論を提唱しました。

また、人がキャリアを通して「自己概念」を形成して自分らしさを発揮しようとするという、ライフロール論も提唱しています。

自己概念(職業的自己概念)とは

スーパーが提唱した自己概念とは、「自分はどのような存在か」「自分とは何者か」など、自分自身や他人が見た自分像のことです。

アイデンティティと似た概念ですが、スーパーの理論では、人生における役割(ライフロール)を演じる中で自己概念が形成されると説明されます。

自己概念の形成は乳児期の赤ちゃんの頃から始まり、生涯にわたって発展するとされています。

過程内容
第1(分化)自分が、他人や外界とは独立した存在であると理解する

時期:乳児期

第2(分化対象との同一化)無意識に同性の親と同一視して行動や感情を模倣する

時期:幼児期前期

第3(職業名を伴う同一化)自分を役割モデルに置き換える

時期:幼児期後期以降

また、スーパーは、職業を通して自分の職業的自己概念を実現すると主張しています。

職業的自己概念とは、ある職業に関わっているという自己イメージのことで、職業選択や職場への適応の過程で変化するものです。

職業的自己概念は、スーパーの理論で特に重視される概念です。

14の価値観

スーパーは、人は重要と考える価値観を「役割」を通して達成しようとすると考え、人が重要とする価値観を14種類にまとめています。

価値観内容
能力活用能力や技術を活用できる
達成良い結果が得られたという実感
美的追及美しいものを見い出せる、創造できる
愛他制人の役に立てる
自律自律できる
創造性新しい物や考えを想像できる
経済的報酬お金を稼いで高水準の生活ができる
ライフスタイル自分の思い通りに生活できる
具体的活動身体を動かす機会がもてる
社会的評価成果が他人に認められる
危険性リスクを伴う体験ができる
社会的交流他人と一緒に働ける
多様性様々な活動に参加できる
環境心地良い環境にいられる

ライフステージ論とは

スーパーは、人のキャリアが生涯を通して発達するという考えに基づいて、人生を時間軸に沿って5段階に分類しました。

また、発達の各段階(ライフステージ)にはキャリアの視点から発達課題(職業的発達課題)を設定して、課題への取り組みを通して、人として成長を遂げると主張しています。

段階年齢発達課題
成長0~15歳自分がどのような人間か知る

職業的世界への積極的な態度を養う

働くことの意味を深める

探索16~25歳職業の希望を形成する

職業の実践を開始する

実践を通して、現職を生涯継続するか考える

確立26~45歳職業への方向づけを確定する

職業において自己確立を図る

維持46~65歳確立した地位や有利性を保つ
下降66歳以降職業活動などが減退(スローダウン)する

退職する

セカンドライフの開発と謳歌

スーパーがライフステージ論を提唱したのは現在から60年以上前なので、現在の感覚とは少しずれているところがあります。

日本では現在、大学・大学院・短大・専門学校などを卒業してから社会に出る人が多くなっているため、探索段階は20~22歳(場合によっては30歳前後)から始まり、それに伴って探索段階移行も遅くなっています。

スーパーのライフステージ理論では、社会人になってから約10年間は、実際に働きながら自分に適した職業が何であるかを見極める時期とされています。

就職先で任された仕事に全力を注ぎ、「自分には合わない」と感じる場合には部署異動や転職をして、「やりがいを感じる」、「楽しくて仕方ない」という仕事を探すのです。

そして、自分に適した仕事を見つけたら確立期に進み、仕事を通して自分らしさを掘り下げて自己確立を図ることになります。

確立期を経て維持期に進むと、それまでの職業生活で獲得した地位や優位性を保つことに注力するようになり、下降期では職業活動が減る一方でセカンドライフを見つけて楽しむようになるとされています。

なお、スーパーは、ライフステージ論を提唱して数十年経ってから、将来的には確率段階に入った後に探索段階に戻り、再び職業を選択する人が増加する可能性に言及しています。

つまり、確立期以降も柔軟に自分のキャリアを変更する人が増えることを予想していたのです。

そして、2019年現在、日本や欧米諸国においてはスーパーの予想が的中しています。

ライフロール論とは

スーパーは、「ある年齢や場面における役割の組み合わせでキャリアが構成される」、「自己概念は、複数の役割を同時並行で果たす中で確立される」と考え、人は場面に応じて8つの役割を演じていると提唱しました。

役割内容
子供親との関係における役割

例:息子、娘

学生学ぶ立場にあるという役割

例:小学生、中学生、高校生、大学生など

職業人仕事をしているという役割

例:アルバイト、パート、仕事など

配偶者法律婚かどうかを問わず、夫婦間における役割

例:夫、妻、内縁の夫、内縁の妻など

家庭人家事をこなすという役割(親元を離れたときから開始)

例:家事をこなす自分、主夫、主婦など

子どもを育てるという役割

例:父、母など

余暇を楽しむ人好きなことを楽しむという役割

例:趣味やスポーツを楽しむなど

市民社会の構成員としての役割

例:無償でボランティアをするなど

人は誰でも、職場では職業人としての役割をこなし、家では配偶者・親・家庭人としての役割をこなしていますし、休日には余暇を楽しむ人や市民の役割をこなすこともあります。

また、人の知的好奇心は年齢を経ても失われないため、働きながら学生の役割を演じる人も少なくありません。

このように、人は生涯にわたって8つの役割のうち1つ以上を常に演じながら生活しており、複数の役割を並行して演じている場合は、どの役割にどれだけ時間を割くかを考慮して各役割のバランスを取っています。

そして、役割のバランスをどのようにとるかということが、自己概念(自分らしさ)を形成することにもなります。

まとめ

スーパーの発達理論とは

スーパーが、人のキャリアが生涯を通して発達するという考え方に基づいて提唱した発達理論

ライフステージ論とは

人生を時間軸に沿って、成長、探索、確立、維持、下降の5段階に分類

各段階に発達課題(職業的発達課題)を設定し、課題に取り組む中で人間的成長を遂げると主張

ライフロール論とは

キャリアは「役割の組み合わせで構成される」、自己概念は「複数の役割を同時並行でこなす中で確立される」という理論

8つの役割:子供、学生、職業人、家庭人、余暇を楽しむ人、親、配偶者、市民