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ひきこもりの定義とは?ひきこもり対策推進事業やひきこもりサポーターの役割は?

ひきこもり支援

ひきこもりとは

ひきこもりとは、様々な要因が複雑に絡み合って社会参加の機会が狭くなり、家族以外との親密な人間関係を持たず、自宅以外の生活の場を失って長期的に社会参加をしていない状態です。

「ひきこもり」という語感から「家に閉じこもっていること」だと勘違いしている人が多いですが、外出をしていても家族以外と関係を持っていない人はひきこもりとして扱われます。

ひきこもりは、ネガティブな文脈で語られることが多いですが、本人にとっては、自分では対処できないストレスから身を守るために自分の殻に閉じこもる行為です。

つまり、ストレスですり減った心を癒すための休息期間なのです。

厚生労働省の「ひきこもり」の定義

厚生労働省のウェブサイトでは、引きこもりは「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」と定義されています。

また、「ひきこもりの評価・支援のためのガイドライン」では、以下のとおり定義されています。

様々な要因の結果として、社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職員を含む就労、家庭外での交遊)を回避し、原則的には6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を示す現象概念

引用:引きこもりの評価・支援に関するガイドライン

ひきこもりの原因

引きこもりの原因は、不登校、いじめ、挫折体験、会社に馴染めない、病気、人間関係がうまくいかない、退職、別居・離婚、親の離婚など様々です。

発達障害の影響で対人関係がうまくいかなくなった、吃音やチックがあり人前で話すのが恥ずかしい、軽度の知的障害があり友人の会話についていけないなど、病気や障害の影響でひきこもりになる人も少なくありません。

ひきこもりの人数

内閣府が2015年(平成27年)に実施した調査では、15~39歳の「若年引きこもり」状態にある人が推計54.1万人いるという結果が公表されました。

また、2018年(平成30年)度の調査結果では、40~64歳の「中高年ひきこもり」状態にある人が全国に61、3万人いると推計されています。

「ひきこもりは若い人に多い。」と思われがちですが、内閣府の統計では40~64歳のひきこもりの方が多いという結果になっています。

調査時期や手法が異なるため、若年ひきこもりと中高年ひきこもりの推計を単純に合計することはできませんが、ひきこもり状態にある人は100万人を超えるとされています。

なお、内閣府の調査では、狭義のひきこもり(自室や自宅からほとんど外に出ないひきこもり)に、広義のひきこもり(趣味などでは外出するひきこもり)を加えて推計されています。

ひきこもり対策推進事業

ひきこもり対策推進事情とは、ひきこもり対策を推進する体制を整備し、ひきこもり状態の人やその家族などを支援することで、ひきこもり状態の人の自立促進と本人・家族などの福祉の増進を図ることを目的とした、厚生労働省の施策です。

ひきこもり推進事業は、「ひきこもり地域支援センター設置運営事業」と「ひきこもり支援に携わる人材の養成研修・ひきこもりサポート事業」の2つの事業から構成されます。

ひきこもり地域支援センター設置運営事業

ひきこもり地域支援センター設置運営事業

出典:ひきこもり対策推進事業|厚生労働省

ひきこもり地域センター設置運営事業とは、2009年(平成21年)から始まった、都道府県と指定都市に「ひきこもり地域支援センター」を設置して運営する事業です。

ひきこもり地域支援センターは、ひきこもり対応の第一次相談窓口に特化した施設で、ひきこもり状態の人やその家族がひきこもりについて相談できる場所を明らかにし、適切な支援を受けることができるようにするために設置されます。

センターには臨床心理士、公認心理師、社会福祉士、精神保健福祉士などの資格を持つひきこもり支援コーディネーターが配置され、地域内で関係機関とのネットワークを構築したり、ひきこもり対策に関する情報を提供したりする機能を担っています。

2018年度(平成30年度)からは、ひきこもり地域支援センターによる市町村後方支援機能の強化、各機関相互の連携の強化が図られています。

具体的な事業内容

・相談支援:ひきこもり支援コーディネーターが、ひきこもり状態にある本人、家族からの電話、来所等による相談や、必要に応じ家庭訪問を中心とした訪問支援を行うことにより、早期に適切な関係機関につなぐ。

・包括的な支援体制の確保:地域の関係機関との連携体制の構築。

・情報発信:ひきこもりに関する普及啓発、利用可能な相談

・支援機関情報の発信。

・後方支援:地域の支援関係機関への助言、相談対応等の実施。

引用:引きこもり対策推進事業|厚生労働省

実施主体は都道府県と指定都市です。

ひきこもり支援に携わる人材の養成研修・ひきこもりサポート事業

ひきこもり支援に携わる人材の養成研修

ひきこもり支援に携わる人材の養成研修・ひきこもりサポート事業とは、2013年度(平成25年度)から始まった、ひきこもりの長期化・高齢化や、それに伴うひきこもり状態の人やその家族からの相談にきめ細かく、継続的に訪問支援などを行うことを目的とする事業です。

都道府県や指定都市で「ひきこもりサポーター(ピアサポーター)」を養成し、サポーターを地域に派遣して訪問支援などを行います。

2018年度(平成30年度)からは、市町村においても、ひきこもり相談窓口や支援機関の情報発信や、ひきこもり支援拠点づくりなどを行うサービスが開始されています。

具体的な事業内容

・支援従事者養成研修:市町村職員、ひきこもり支援関係機関従事者等に対し、知識及び技術を習得させる研修を実施。

・ひきこもりサポーター養成研修:ひきこもり本人や家族等に対する訪問支援等の担い手となる「ひきこもりサポーター」を養成。

・情報発信:利用可能な相談窓口・支援関係機関情報の集約と住民への発信。

・支援拠点づくり:早期発見・早期支援につなげるためのネットワーク構築や、ひきこもり本人等が安心して参加できる居場所の提供等。

・ひきこもりサポーター派遣:訪問支援や居場所運営等へのサポーター派遣。

引用:ひきこもり対策推進事業|厚生労働省

主体は都道府県と市区町村です。

ひきこもりサポーターとは

ひきこもりサポーターとは、地域に潜在するひきこもりを早期に発見し、適切な支援機関に早期につなぐことで、ひきこもりからの脱却の短期化を目指す役割を果たすボランティアです。

ひきこもりの概要、支援方法、支援上の注意点などひきこもりに関する研修を修了し、サポーターとして活動することを同意すると、名簿に登録されて、ひきこもりサポーターとして派遣されることになります。

ひきこもりサポーターの主な活動は、以下のとおりです。

  • 地域に潜在するひきこもり状態の人の発見
  • 訪問支援
  • 支援機関につなぐ
  • 普及啓発活動

公認心理師試験の出題歴

ひきこもり支援は、第1回公認心理師試験に出題されました(正答は赤字)。

問19 ひきこもりの支援について、正しいものを1つ選べ。

①ハローワークでは、生活面での助言や障害福祉サービスの利用支援を行う。

②ひきこもり地域支援センターは、市町村が行う相談支援業務を援助する機関である。

③地域若者サポートステーションは、早期に医療機関へのつながりを確保する機関である。

④地域障害者職業センターでは、障害者手帳の所有者でなくても専門的な職業評価と職業指導が受けられる。

⑤ひきこもりサポーターは、長期にわたるひきこもりの当事者及び家族を支援することを主な目的としている。

引用:第1回公認心理師試験問題

 

公認心理師試験については、「公認心理師とは?受験資格と特例措置、試験合格率は?臨床心理士との違いは?」で詳しく解説しています。

まとめ

ひきこもりとは

仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態

引きこもり対策推進事業

ひきこもり対策を推進する体制を整備し、ひきこもり状態の人やその家族などを支援することで、ひきこもり状態の人の自立促進と本人・家族などの福祉の増進を図ることを目的とした事業

  • ひきこもり地域センター設置運営事業:ひきこもり地域支援センターを設置・運営する事業
  • ひきこもり支援に携わる人材の養成研修・ひきこもりサポート事業:ひきこもりの長期化・高齢化や、それに伴うひきこもり状態の人やその家族からの相談にきめ細かく、継続的に訪問支援などを行う事業
公認心理師試験の出題歴

第1回試験・問19