心理学用語や心理学を活かせる仕事を解説

系列位置効果とは?心理学の実験と日常例は?

系列位置効果とは

系列位置効果とは、単語の系列をリスト形式で被験者に提示した後、それらの単語を思い出したまま再生させると、提示した順番によって単語の再生されやすさが変化するという効果です。

もう少し具体的に言うと、系列の最初と最後に提示された単語が再生されやすく、それ以外の単語は再生されにくいというものです。

系列位置ごとの再生率を折れ線グラフで表すと、系列位置曲線がU字型になります。

つまり、最初と最後に提示された単語は、他の情報と比較して脳内に記名(インプット)されやすく、想起(アウトプット)もされやすいということです。

単語を用いた実験が有名ですが、単語や文字情報に限らず、聴覚や臭覚への刺激についても系列位置効果が生じることが明らかにされています。

また、系列位置効果が知られるようになり、「覚えるのが難しい単語を最初または最後に覚える」という学習方法が広まりました。

記憶については、「記憶の二重貯蔵モデル(多重貯蔵モデル)における記憶の種類とは?」で詳しく解説しています。

系列位置効果の種類と実験・日常例

系列位置効果には、初頭効果と新近効果があります。

初頭効果とは

初頭効果とは、系列の最初に提示された刺激が再生されやすいという系列位置効果です。

単語に限らず複数の刺激を認知して処理する場合、最初の刺激情報ほど記憶に残りやすく、再生もされやすいのです。

複数の刺激を処理する場合、その一つひとつを機械的に処理するのではなく、複数の刺激の比較や反芻が行われることで記憶されますが、最初に接した刺激はそれ以降の刺激と比べて比較や反芻の回数が多くなるため、記憶として残りやすくなると考えられています。

初頭効果の実験

アメリカ合衆国の心理学者ミラー,J.A.は、被験者である学生に物語を読ませた上で、物語の主人公の人物像について「社交的-非社交的」の質問を行いました。

この実験では、主人公の人物描写の内容を前半と後半で入れ替えた2つの物語が使用されました。

前半後半
物語A積極的・外交的な人物描写消極的・内向的な人物描写
物語B消極的・内向的な人物描写積極的・外交的な人物描写

実験の結果、物語Aを読んだ学生のほとんどが「主人公は社交的」と回答し、物語Bを読んだ学生のほとんどが「主人公は非社交的」と回答しました。

ミラーは、この実験結果から、系列の最初に提示された刺激が再生されやすいという初頭効果を明らかにしています。

初頭効果の日常例

初頭効果は、意識されることは多くありませんが、私たちの生活の至るところで生じています。

例えば、単語の暗記で最初に覚えたものが再生されやすい、第一印象が強いと記憶に残りやすいなどの現象は初頭効果によるものです。

新近効果とは

新近効果とは、複数の刺激を処理する場合に、最後に知覚した情報が記憶に残りやすいという系列位置効果です。

再生時から時間的に近い時点で知覚した刺激ほど再生されやすいという現象と言い換えることもできます。

文章などの視覚情報に限らず、声や音楽、人に対する印象、匂いなどについても、系列の最後に知覚した情報が残りやすいと考えられています。

再生されやすいということは、刺激が情報として脳内に残っているということです。

記憶の多くは時間とともに減衰するため、記銘時点から時間が経過するほど記憶の一部または全部が検索・再生できなくなりますが、記銘時点から間がなく欠損が少ない新しい情報は簡単に検索して再生できるのです。

ただし、残存効果によって再生できた情報が、時間が経過した後にも再生できるとは限りません。

新近効果の実験

新近効果の実験で有名なのは、模擬裁判の実験です。

この実験では、模擬陪審員を演じる被験者に対して、基本的な情報を提供して不安定要素を除去した上で、内容の異なるAとBという2人の主張書面を読ませました。

被験者は2つのグループに分けられ、1つ目のグループはAの主張→Bの主張の順番で書面を読み、2つ目のグループはBの主張→Aの主張の順番で主張を読みました。

実験の結果、Aの主張→Bの主張の順番で読んだ被験者と、Bの主張→Aの主張の順番で読んだ被験者では判断や判断の理由が大きく異なり、いずれも後に読んだ主張書面の影響を強く受けたものとなりました。

新近効果の日常例

日常生活においては、新近効果も様々なところで生じています。

例えば、話の終わり方や会話の語尾が強い印象を残すことは、一般的にも知られています。

また、「〇〇は不満だが、△△は良かった。」などと何かを評価する場合も、後半の評価が印象に残りやすく、本音だと思いやすいものです。

公認心理師試験の出題歴

系列位置効果は、第1回公認心理師試験に出題されました(正答は赤字)。

問6 記憶の実験によって示される系列位置効果について、正しいものを1つ選べ。

①初頭効果は、学習直後に遅延を置くと消失する。

②系列再生法を用いた記憶の実験によって示されるものである。

③新近効果は、長期記憶に転送された情報の量を反映したものである。

④学習段階で単語の呈示時間を長くすると、リスト中間部の再生率は低下する。

⑤系列位置ごとの再生率を折れ線グラフとして表した系列位置曲線は、U字型になる。

引用:第1回公認心理試験問題

公認心理師試験については、「公認心理師とは?受験資格と特例措置、試験合格率は?臨床心理士との違いは?」で詳しく解説しています。

まとめ

系列位置効果とは

単語の系列を提示した後に思い出したまま再生させると、提示順によって単語の再生されやすさが変化する

系列位置効果の種類と実験、日常例
  • 初頭効果:系列の最初に提示された刺激が再生されやすい
  • 新近効果:系列の最後に提示された刺激が再生されやすい
公認心理師試験の出題歴

第1回試験・問6

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