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脳の機能局在論とは?ブロードマンの地図と脳の各機能について

脳の機能局在論

脳の機能局在論とは

脳の機能局在論とは、脳(主に大脳皮質)が部位ごとに異なる機能を司っていると考える理論です。

英語では「Theory of localization of brain function」と表記され、日本語では脳の機能局在論と訳されます。

脳の機能局在論の萌芽は、ドイツの医師ガル,F.J.の骨相学(脳は各種精神活動に対応する複数の器官の集合体で、器官や機能の差異が頭蓋の大きさや形状に反映されるという説)とされています。

この説はまもなく否定されますが、1800年代中盤から終盤に行われた失語症と脳損傷の関係が研究され、言語中枢の部位が推定されたことで、再び注目されるようになります。

ドイツの神経学者ブロードマン,K.が作成したいわゆる「ブロードマンの脳地図」も脳の機能局在論を支える根拠とされました。

ブロードマンの脳地図

ブロードマンの脳地図とは、大脳新皮質を大脳新皮質を解剖学・細胞構築学的に分類したものの通称です。

ブロードマンの脳地図では、大脳皮質組織の神経細胞に色を付けて視覚的に区分できるようにし、組織の構造が均一な部分ごとに区分して1から52の番号が振られています。

様々な種の脳地図が作成されており、異なる種では番号が同じ領野でも構造が異なることが視覚的に理解できます。

ブロードマン以降の研究

2度の世界大戦を含む世界各地の戦争の死傷者を治療、統合失調症患者などに対するロボトミー治療、ペンフィールドの地図、スペリーの分離脳(大脳半球の間をつなぐ脳梁などが切断された脳)の研究、CT・MRI・脳機能イメージングを用いた研究などが行われてきました。

全ての実験や研究を1つの記事で書くのは不可能ですし、専門的な領域になるため、割愛します。

脳の構成部位と機能

脳を構成する各部位と機能について確認していきます。

大脳

大脳は、頭蓋骨の直下にある脳の大部分を占める部位です。

大脳の側性化

脳の側性化とは、スペリーが分離脳研究によって明らかにした、高次脳機能は左脳または右脳のいずれか一方が主要な機能を司っていることです。

大脳は、大脳縦裂(大脳縦隔)という溝によって左右の大脳半球に分かれており、脳梁などでつながっています(通常は、言語中枢がある半球を優位半球、内半球を劣位半球と呼びますが、優劣があるわけではありません。)。

運動や感覚については右脳と左脳が分担して司っていますが、思考や計算、言語などの高次な機能については左右いずれかの半球に機能が偏っています。

右利きの場合、言語性操作(言語、文字、単語、書字、計算など)は左脳が優位になり、心象性操作(顔などのパターン認識、画像処理、音楽、環境音など)は右脳に優位となるのが一般的です(稀に逆の場合もあります。)。

優位半球は出生時には決定されていて途中で変更されることはありません。

大脳の構造

大脳は、大脳皮質、白質、大脳基底核という3つの構造に分類されます。

名称場所
大脳皮質・大脳の表面にある、神経細胞からなる厚さ1.5~4.0mm程度の灰白質の薄い層

・前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉という4つの部位に分類され、各葉が知覚、随意運動、思考、推理、記憶など異なる脳の高次機能を司る

・縦方向に走る溝(中心溝)と横方向に走る溝(外側溝、シルビウス溝)がある

白質・大脳皮質の下にある、神経細胞がなく有髄神経線維の束だけの部位
大脳基底核・大脳の中心部

・間脳の周りを囲み、大脳皮質と視床、脳幹を結ぶ神経細胞の集合体

・運動調節、認知機能、感情、モチベーション(動機づけ)、学習などの機能を司る

大脳皮質の4つの部位の機能は、以下のとおりです。

名称機能
前頭葉・大脳の前部(中心溝の前、外側項の上)

・知能、人格、理性、言語、手足を動かすなどを司る

・言語野(ブローカ野、右利きの場合は左半球):言葉を話す能力を司る、障害されると失語症になる

・一次運動野(中心前回の背側部と中心溝の前壁):右運動野は左上下肢、左運動野は右上下肢を動かす(損傷すると麻痺が生じる)

・補足運動野(一次運動野の前):運動の補助、運動の開始や抑制を一次運動野に伝達、動作の順序や左右の手足の動きの調整など

頭頂葉・大脳の上部(中心溝より後ろ、頭頂後頭溝より前)

・体の感覚(体性感覚)や認知機能、計算、複雑な動作を司る

・頭頂葉が障害されると失認や失行の症状が出現する

後頭葉・頭頂葉の後方

・人の顔を認識する、字を読むなど視覚に関連した機能を司る

・左右の眼球の視野情報は左右反対の後頭野に送られるため、左後頭葉が損傷すると右半分が、右後頭葉が損傷すると左半分が見えなくなる(右同名半盲、左同名半盲)

・網膜上の特定の視神経領域だけに視覚受容野が反応し、それに対して特徴検出細胞が反応する階層的な情報処理が行なわれる

側頭葉・外側溝より外側

・聴覚、言語、味覚、情動の処理を司る

・ウェルニッケ野(右利きの場合は左半球):聴覚理解の中枢で、障害されると言葉を聞いても理解できなくなる(感覚失語)

脳幹

脳幹は、上から中脳、橋、延髄で構成されています。

脳の部位で最も重要な部位であり、脳幹が障害されると意識障害、四肢麻痺、感覚障害、運動失調が出現し、脳幹の機能が全て失われると脳死になります。

名称機能
中脳・意識の中枢

・第3脳神経(動眼神経)と第4脳神経(滑車神経)が出る

・視覚反射を司る

・下部(下丘)は聴覚の中継する

・第5脳神経(三叉神経)、第6脳神経(外転神経)、第7脳神経(顔面神経)、第8脳神経(前庭神経と蝸牛神経)が出る
延髄・呼吸、血圧、飲み込み(嚥下)の中枢がある

・第9脳神経(舌咽神経)、第10脳神経(迷走神経)、第11脳神経(迷走神経)、第12脳神経(舌下神経)が出る

小脳

小脳は、手足のバランスを保つ、体幹の平衡感覚(虫部)などの姿勢制御、運動のプログラム化などを司り、不随意筋運動や協調運動の制御や調節を行います。

虫部が損傷されると立った姿勢を維持するのが難しくなり(体幹失調)、右小脳半球が損傷されると右手足の動きがぎこちなくなります。

間脳(視床、視床下部)

間脳は、師匠と視床下部から構成されます。

名称機能
視床・感覚の入力を大脳皮質に中継する(嗅覚を除く)

・感覚や細かい運動を統合する

・視床が障害されると、反対側の半身の感覚低下やしびれ、強い痛みが出現する

・認知症や失語、手足の震えなどの障害が出ることもある

視床下部・体中にホルモンを分泌する中枢がある(自律神経系や内分泌系を統合的に調節)

・視床下部から命令が発せられ、下垂体柄を伝って下垂体前葉と後葉からホルモンが血中に分泌される

・本能的行動や情動の中枢がある

その他の部位(大脳辺縁系、海馬、偏桃体)

名称機能
大脳辺縁系・大脳の周辺にある

・大脳皮質の高次脳機能、視床下部、脳幹の生命維持機能を結ぶ

・本能的行動や情動に関与する

海馬・側頭葉の下部の凹みにある

・短期記憶を長期記憶に転送することに関与する

偏桃体・側頭葉の内側の奥にある

情動反応の処理と記憶で中心的な役割を果たす

公認心理試験の出題歴

脳の機能局在は、第1回公認心理師試験で出題されました(正答は赤字)。

大脳皮質の機能局在について、正しいものを1つ選べ。

①Broca野は頭頂葉にある。

②一次視覚野は側頭葉にある。

③一次運動野は後頭葉の中心前回にある。

④Wernicke野は側頭葉と前頭葉にまたがる。

⑤一次体性感覚野は頭頂葉の中心後回にある。

引用:第1回公認心理師試験

公認心理師試験については、「公認心理師とは?受験資格と特例措置、試験合格率は?臨床心理士との違いは?」で詳しく解説しています。

まとめ

脳の機能局在論とは

脳が部位ごとに異なる機能を司るとする理論

脳の構成部位と機能

本文記載のとおり

公認心理師試験の出題歴

第1回試験・問11