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ザイアンス効果(単純接触効果)とは?具体例は営業や恋愛?

ザイオンス効果

ザイアンス効果(単純接触効果)とは

ザイアンス効果(単純接触効果)とは、同じ対象と接する回数が増えるほど、その対象の印象や評価が高まる効果です。

平たく言うと、「最初は興味がなく好きでもなかった対象について、頻繁に接するうちに警戒心が薄れて好意的な印象を持つようになる」というものです。

英語では「zajonc-effect」または「mere exposure effect」と表記され、日本語では「ザイアンス効果」、「ザイアンスの熟知性の原則」、「単純接触効果」と訳されます。

「ザイアンス」というのは、ザイアンス効果を発見したアメリカ合衆国の社会心理学者ザイアンス,R.B.に由来します。

ザイアンスは、1968年に発表した論文「Attitudinal effects of mere exposure.」の中でザイアンス効果を提唱しました。

ザイアンスの実験

ザイアンスは、ミシガン大学の教員時代に大学生を被験者とする実験を行い、その結果からザイアンス効果を見いだしました。

ザイアンスの実験の手順は、以下のとおりです。

  1. 被験者の大学生に、卒業アルバムの中から12人の卒業生の顔写真を選んで見せる
  2. 各卒業生の写真を見せる回数について、1~25回の間でばらつきを作る
  3. 12人の卒業生の写真を並べて被験者に見せ、最も好印象を持った人を選ばせる

実験では、被験者の大学生の多くが、25回提示された写真を選ぶという結果が得られ、実験結果に基づいてザイアンス効果が提唱されました。

ザイアンス効果は無意識の接触でも起こる

ザイアンスは、以下の実験により、対象と無意識に接触した場合にもザイアンス効果が起こることを明らかにしました。

  1. 被験者である大学生に、意味のない図形12個を各1000分の4秒ずつ見せる
  2. 同じ図形を見せる回数について、被験者間でばらつきを作る
  3. 全ての図形を所定の回数だけ見せた後、見た目だけの印象でどの図形が最も良かったか、点数を付けさせる

1000分の4秒というのは、人間の脳では意識できないレベルの早さです。

しかし、被験者の多くが、見せられた回数の一番多い図形に最も高い点数を付けるという実験結果が得られ、無意識の接触でもザイアンス効果が起こることが明らかになりました。

ザイアンス効果は単純接触の頻度が重要

ザイアンス効果は、単純接触する時間よりも「頻度」が多いほど高い効果を示すことが分かっています。

例えば、年に1ヶ月間だけ一緒に過ごす人よりも、1日数十分程度でも毎日会っている人の方がより好印象を抱きやすいのです。

夫への愛情がなくなったわけではないが、夫が単身赴任中に知り合った男性と仲良くなって浮気をしてしまうのも、ザイアンス効果の一つです。

ザイアンス効果の具体例

ザイアンス効果は、マーケティングの分野で活用されており、日常生活の様々な場面で確認することができます。

テレビCM

ザイアンス効果の最たる例は、テレビCMです。

見知らぬ芸能人が登場するテレビCMを初めて見たときは、「見慣れないCMだな。」程度の関心しか持たず、何のCMなのかも、背景で流れるBGMにも興味は持ちにくいものです。

しかし、毎日のように同じCMを見ているうちに芸能人の顔を覚えて好印象を持つようになり、CMの内容にも良いイメージをを抱くようになります。

CMのBGMも耳に残り、気がついたら口ずさむようになることもあります。

ザイアンス効果の影響でテレビCMに好印象を持つと、ある商品を買う時に見知らぬ商品よりも「テレビCMで見て印象も良い商品」を買おうとするようになります。

テレビCMだけでなく、ネット広告やラジオ広告なども同じ狙いで掲載(放送)されています。

営業活動

企業の営業マンが営業先に足繁く通って挨拶や雑談だけして帰るのも、ザイアンス効果を狙っています。

契約するわけでもないのに何度も訪問する意味が分からないと思っていたかもしれませんが、何度も訪問することで、営業先の担当者が自分に好印象を持つようにすることを目的としているのです。

例えば、ある企業に対して2つの会社が営業をかけ、1つの会社の営業マンは、何度も企業を訪問して担当者と関係を作った上で自社製品の売り込みをかけたのに対し、もう1つの会社の営業マンは、初回でいきなり製品を売り込んだとします。

このとき、企業の担当者は、製品によほどの差がない限り、ザイアンス効果によって何度も足を運んできた前者との契約を検討するはずです。

恋愛

頻繁に会う人の方が、ごくたまに会う人よりも好印象を持ちやすく、恋愛関係に発展しやすいのもザイアンス効果によるものです。

また、浮気の話を書きましたが、元々は近くに住んでいた恋人同士が進学や就職で離れて暮らすことになり、互いに近くにいる異性に好意を持って離れた恋人との関係を解消するというケースも珍しくありません。

メルマガ

ウェブマーケティングの一つであるメルマガもザイアンス効果を狙って配信されます。

ネット通販や旅行会社などのネットサービスを利用すると、多くの場合、メルマガ登録を促されます。

メルマガ登録をすると、定期または不定期で登録先から商品情報などが届きますが、企業側はメルマガによってユーザーと頻繁に接触することにより、ユーザーに自社や自社製品に好印象を持たせ、商品購入を促そうとしています。

ザイアンス効果の注意点

ザイアンス効果によって、必ずしも対象に好印象を抱くわけではありません。

印象を良くする頻度には限度がある

単純接触の頻度が高くなるほど対象に好印象を抱きやすいといっても、青天井というわけではありません。

通常は、一定の限度を超えるとザイアンス効果が薄れ、それでもなお単純接触の頻度が高くなると、かえって対象に悪い印象を抱くこともあります。

頻度が増えすぎると逆効果

東日本大震災発生時、テレビでACジャパンのCMばかりが流れたのを覚えている人は多いでしょう。

テレビ番組は、スポンサーが支払うスポンサー料で番組が運営されており、番組の合間にはスポンサーの商品などに関するCMが流れます。

しかし、大規模災害やテロなどが発生した場合、スポンサーがCMを流すのを自粛しますが、CMの枠が空くと放送に支障が出るため、穴埋めにACジャパンのCMが流されることになります。

その結果、東日本大震災発生時のように、ACジャパンのCMばかりが延々と流されることになるのです。

ザイアンス効果によってACジャパンへの印象が良くなると思うかもしれませんが、実際は、ACジャパンへの批判が相次ぎ、出演者にも飛び火するなど大きな問題となりました。

このように、単純接触が過剰に繰り返されることにより、かえって印象が悪くなってしまうことがあります。

印象を反転させる効果はない

ザイアンス効果は、単純接触の頻度が高い対象に好印象を持ちやすくする効果ですが、印象を反転させる効果はありません。

例えば、元々悪い印象を持っている対象との単純接触が繰り返された場合、印象が良くなるのではなく、悪い印象が強まるだけです。

例えば、強引な営業をかけてくる営業マンが仕事中にも関わらず毎日やって来たり、不快な内容のメルマガが1日に何度も届いたりすると、元々の悪い印象がさらに強まります。

したがって、対象に対して好印象も悪印象も持っていない場合か、ある程度は好印象を持っている場合でないと、ザイアンス効果は発揮されません。

まとめ

ザイアンス効果とは

同じ対象と接する頻度が多いほど、対象に好印象を抱く効果

ザイアンス効果の具体例
  • テレビCM
  • 営業活動
  • 恋愛
  • メルマガ
ザイアンス効果の注意点
  • 限度がある
  • 単純接触の頻度が多すぎる
  • 元々、対象に悪い印象を抱いていた場合